晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

北アルプス 残雪の穴毛谷 2016.05.22

穴毛大滝

 

<メンバー>
サークル 7人

 

<山域、形態>
北アルプス バリエーションハイキング

 

<コース>
新穂高温泉P(4:55)~穴毛谷渡渉(6:15)~冬靴へ履き替え(7:15)~穴毛大滝(9:15)~杓子平(12:00~13:00)~穴毛大滝(14:50)~渡渉ポイント(17:25)~新穂高温泉P(18:30)

 

 5月最終週の剣岳遠征に向け雪渓歩き訓練を計画したが今年は記録的な寡雪。当初予定していた猫又谷は雪が溶けてヤブヤブになっているとの情報が入り急遽代案を考える。悩んだあげく候補に上がったのは笠ヶ岳に突き上げる穴毛谷。昔の登山ルートでもあり、雪のない時の記録もチラホラあるので少々雪がなくても大丈夫だろう。と判断し行き先を変更する。

 

 前夜、退社後帰宅せずに集合場所に現れたOLTBっちとTよっさんを回収し、新穂高を目指す。登山者用無料駐車場についたのは12時を回っていた。前日、高山で観光してきた先乗りチームは既に寝ているようだ。

 

 4時に起きて出発準備。直近の記録では雪が少なく標高1500m付近までは沢登り状態だった、ということで沢靴スタート。登山指導センターを越え、左俣林道をポクポク歩く。穴毛谷の堰堤工事用林道に続く橋を渡って穴毛谷へ。

 

ひと気の無い、新穂高温泉を行く

ここで橋を渡る

 

 工事用林道を歩いていくと堰堤にぶち当たる。一旦、堰堤を越えてから直ぐに右岸に渡渉し、あとは巨石ゴーロ帯を飛び石を交えて登っていく。乾いた岩に沢靴のフリクションは良好でとても快適。

 

穴毛谷の堰堤群、ここで右岸に渡るのが良い

沢靴なので渡渉も楽々

雪は奥まで後退している

これぞ残雪

 

 事前の情報どおり標高1500m付近で雪渓が連続しだしたので冬靴に履き替える。(ザックに冬靴を入れるのはきつかった)雪渓歩きに慣れるのも今回山行の目的だ。一番怖いのが雪渓の踏み抜き。中央部の下には水が滔々と流れているはずだし、壁に近寄りすぎると落石の危険。安全かな~と思われるルートで歩いていく。

 

やっと雪が出て来た

四ノ沢の出合辺り

 

 やがて右手に岩壁にぽっかりと大穴の明いた穴毛岩が現れた。「この谷の名前の由来になっているんだよ」って説明すると「何で穴毛なんだろう」との問い。今回は女性メンバーが多いので有耶無耶にしておく。

 

穴毛大岩

 

 五ノ沢の出合を過ぎるといよいよ穴毛大滝が見えて来る。今日は事前に見たどんな記録よりも雪が少ないので滝が大きく見える。さすがにアルプスの雪解け水を集めた滝はすごい水量だ。(雪渓の下をこれだけの水が流れているかと思うとぞっとした)

 

 

滝が見えてきた

穴毛大滝

記念撮影

 

 雪が申し訳程度に残っているザイテングラートを少し登り、尾根の弱点を乗越す。幸いルートはすぐに判ったのでこれで今日の核心は超えたかな。尾根の上でしばしの休憩をとる。六ノ沢から稜線まで続く雪渓がまるで竜のようだ。

 

弱点への取り付き

六ノ沢の雪渓

 

 何とか本谷に降りて再び雪渓を詰める。威圧的な壁は無くなり気持ちのいい青空の下を歩くが、足元の雪はどんどん怪しくなり滝には水が滔々と流れている。雪渓が薄くなっているところは踏み抜かないように高巻いてまるで沢登りのようになって来た。小滝をいくつか巻くと傾斜がゆるくなり雪のカール地形になり、最後のひと踏ん張りでポンと稜線に飛び出した。

 

解放感が出て来た

Tよっさんオーバーヒート

ありや、小滝が出て来た

巻きますか・・

笠ヶ岳をバックに

カール地形に

もうすぐ稜線だよ

 

 飛び出した場所はちょうどP2472の北側の鞍部のようだ。稜線の向こう側には予想以上の大きさで槍穂の稜線が目に飛び込んできた。うーん、絶景、頑張った甲斐があったというもんだ。絶景を眺めながらゆっくり昼食。TBっちも今日はばてずにちゃんとご飯を食べている。

 

槍穂をバックに

笠ヶ岳をバックに

 

 ゆっくり絶景を楽しんだ後下山にかかる。雪渓の下りはノーアイゼンでグリセード気味に降りて行けば楽々だが慣れていないTBっちはおっかなびっくりで屁っ放り腰でいつまでたって降りられそうに無い。仕方が無いのでアイゼンを装着し何とか下る。

 

すばらしい景色

キックステップで慎重に

 

 雪が無くなった所で再び沢靴に換装して沢下り。テープに誘われて本流の左側を進んでしまい、しなくてもいい渡渉をしてしまったのは反省点。何とか明るい内に新穂高温泉の駐車場まで戻れてほっと一息。

 

最後はゴーロ歩き

 

 代案ではあったがいつかは行きたいと思っていた残雪の穴毛谷。こんなにも早いタイミングで行く事が出来、大満足の山行だった。今回の標高差は約1200m。劔岳の長次郎谷よりも長くしかも雪渓の状態が悪い中で登れたのはいい自信になったかな。参加された皆さん、ありがとうございました。