晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

北鎌尾根から槍ヶ岳② ギザギザの尾根を行く 2015.08.23

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お約束「YARI」

<メンバー> サークル 4人+1人

<山域、形態> 北アルプス バリエーション

<コース> 北鎌沢出合(4:50)~北鎌沢のコル(6:45)~独標(9:35)~北鎌平(13:20)
    ~槍ヶ岳(14:20~14:50)~ヒュッテ大槍(15:55)

<天気> 晴

 テント場が気持ちいいのでつい寝坊してしまった。あわてて飛び起きてテントを撤収すると他のメンバーはもう朝食を終えていた。今日はいよいよ北鎌尾根に挑戦だ。普通に行けば明るい内に槍ヶ岳に辿り着けるはずだが、コースミスで夕暮れ近くに頂上、または途中でビバークなんて話も聞く。気を引き締めてまだ暗い内からスタートする。


 北鎌のコルまではほぼ沢登り。昨日の雨のせいで結構水が流れている。1時間ほど歩くと稜線らしきものが見えて来たので余裕かなあと思っていたらそこからが大変。急傾斜のゴーロをいくら詰めてもコルは近づかない。噂のクライマーズホイホイには引っかからなかったようだが、コル直前でコースミス。数メートルのヤブコギをする羽目になってしまった。


 コルはテントが1つ晴れる程度の平坦地。小さな焚き火の跡もある。それよりもひどかったのがキジ(大)の跡・・。みんなここでしたくなるのはわかるけど、後から来た人の目に付かないようにしておこうよ・・。これは泊適地の度に見る羽目になる。北鎌尾根ハウンコ尾根だ。


 スタートはまだ回りに木が生えているのでそれほど高度感は無い。ルートは急なアップダウンがあるものの、普通の登山道って感じ。ガスが天井沢側を常に覆っていて展望もさえない。しかし、ガスが晴れると目の前に独標の姿がドーンと立ちはだかる。あれを超えて行くのかと思うとやれやれって感じ。



 岩稜帯に入るとちょっとばかりスリリングになってくる。風化した岩が崩れやすく困難ではないが、気が抜けない歩きが続く。やがて、岩の要塞のような独標の基部に出た。



 ルートがどこか目を凝らすと緑の残置ロープがトラバース路の入り口にかかっている。これはネットでもよく見る箇所だ。ロープを頼りに慎重に通過すると、次はこれもネットでよく出てくる逆コの時のトラバース。ここは見た目ほど怖くなかった。



 この辺りから踏み跡が錯綜し、ルート探索に若干の行ったり来たりがあったが致命的なミスもなく順調に行程を消化して行く。ゆるい傾斜のスラブを登ると独標の頂上のすぐ近くに飛び出した。槍の穂先にはまだガスが掛かっている。



 怪しい踏み跡に何度か騙されそうぬなりながら進んで行く。気が付けば後ろから二人組のパーティーが追い付いて来た。聞けば我々と同じ時間に肩の小屋を出発し、北鎌沢から登って来たそうだ。世の中には凄い人たちがいるもんだなあ。


 小さな尾根を回り込むと急に視界が広がり、槍ヶ岳がバーンと目の前に立ちはだかる。小槍、孫槍、ひ孫槍が並ぶその姿はとてもかっこいい。荒々しい岩壁が今まで見て来た槍ヶ岳とは違った雰囲気を醸し出している。ひょっとしたらここから見る槍ヶ岳が一番槍ヶ岳らしいんじゃないだろうか、と思った。さっそくみんなして記念撮影大会。




 写真を撮り終えたらいざ穂先を目指して出発。いつの間にか大岩の堆積する岩稜帯になり、少し歩きやすくなって来た。追い抜いていった二人組はどんどん小さくなっていく。その二人組を目で目で追いながら、穂先までのルートをイメージする。さあ、もうすぐだ!



つづく