晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

入道ヶ岳 月食観測&耐寒訓練で一人テント泊 2011.12.10

光が溢れる

 

<メンバー>
単独
      
<山域、形態>
鈴鹿、テント泊

 

<コース>
宮妻キャンプ場~宮妻林道~北ノ頭(泊)~宮妻林道~宮妻キャンプ場

 

 冬山シーズンに備え重荷に耐える練習がいると思いテント泊を企てる。折しも10日土曜日は皆既月食という天体ショーも見られるので、鈴鹿の奥深い山頂、イブネ辺りにテントを張って・・などと考えていたが、金曜日の飲み会で少々飲み過ぎてしまい翌日はダウン・・。昼前に起き出して準備をし、ようやく出発できたのは14時を回っていた。

 

 短時間で登れてしかも闇下でも歩ける所、それに冬型の気圧配置の影響を極力受けない所はと言う事で行き先は入道ヶ岳に決定。頂上は風がきつそうだが張れない事は無いだろう。

 宮妻キャンプ場で出発の準備が整ったのは15時30分。日没まで1時間余りになってしまった。久しぶりのテント装備を且ついで宮妻新道の急傾斜を登る根性は無かったので、迷わず宮妻林道を歩く事にした。少々時間が掛かるかも知れないが闇下でも大丈夫だ。いつかこのルートを使って星見山行をやろうと思っているのでその下見にもちょうどいい。

 

 ゲートから歩き始める。カズラ谷、ジャリガ谷、中ノ谷と勝手知ったるエリアを過ぎ、水沢峠への分岐を越えると未知のゾーンになる。すぐに現れる奥の沢出合いはとても立派な堰堤になっていた。

 荷物の重さも体に馴染み体も温まって来たころに小雨が降り出した。空を見ると頭上は雲がすごいスピードで流れており、典型的な冬の空だ。林道が高度を上げ、徐々に山側へ切れ込んで行くに従って雨エリアに近づいてきたのだろう。途中何度か引き返そうかと思ったが、夜半には雲が取れると信じて歩き続ける。

 

 林道は登って行くに従って荒れ方も酷くなってくる。標高700mを越える辺りでは落石が林道を埋めている。林道が標高750mで尾根を乗り越す辺り(地形図上は林道の終点)で登山道に乗り換え、山頂を目指す。

 

 樹林帯を過ぎ、笹が現れ始めるとすっかり夜の帳が辺りを包み足元が不安になって来たのでヘッデンを点灯する。急斜面にヒーコラいいながら眼下を見るといつの間にか雲は晴れ、四日市方面は光が瞬き始めている。丁度、北ノ頭から少し東へ行った辺りに馬酔木の陰になった見晴らしのいい平坦地があったのでそこにテントを張る。入道山頂を見ると既に真っ暗だ。

 

もう月が出ていた

 

 テント設営が終わると18時。月食が始まるまで時間があるので、シュラフに包まりながら夕飯を食べてのんびり。ウイスキーを舐めながらラジオをBGMに本を読んでいるといつの間にかうとうとしてしまった。

 

 強風がテント地を叩く音で目を覚ますと風の音以外にザーとテントを叩く嫌な音がする。外を覗くと細かい霰が降っているようだ。幸い、霰は日本海側から飛ばされてきたようで月は見えている。まだ月食は始まらないのでもう一度うとうと。

 

 時計のアラームで目が覚めた。テントの外を覗くと丁度月が欠け始めた所だ。服を全て着込んでテントの外に出る。月はほぼ頭上にあり、写真で撮ると他に写るものが無いのでイマイチだが不思議な光景にしばし見とれる。

 

 寒くなってテントに戻り、また月を見る為にテントの外に這い出すと言うのを繰り返し、結局12時近くまで星空を眺める。月が完全に地球の影になった時は月に膜がかかったように暗くなり、周りの星が一斉に輝きだした。

 

欠け始めた

冬の星座が美しい

御在所とカシオペア

 

 月を見るのにもいい加減飽きて来たので街の灯りを撮ったり星を撮ったりして遊ぶ。あまり長い時間カメラで遊んでいたので電池切れになってしまった。明日も下山してから別の山なのでもう寝る事にする。

 

光が溢れている

夜景パノラマ

 

 翌日は5時起床。真っ暗の中の撤収作業を終え、再び宮妻林道をゆっくりと下っていく。下に着くころには夜はすっかり明けてしまい、これから山に登るたくさんの登山者とすれ違ったが、だれも「もう下山ですか?」とは聞いてくれなかった。