晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

奥美濃 川浦谷本流 沢登り ゴルジュ突破は真夏の格闘技? 2011.08.13

川浦谷本流ゴルジュ セカンド以降は楽なんだけど・・

 

<メンバー>
山仲間(3名)
      
<山域>

 

<コース>
板取川キャンプ場~海の溝洞出合~海の溝洞(少し遊ぶ)~本流ゴルジュ~林道
~板取川キャンプ場

 

 連日猛烈な暑さの続く8月中旬。絶好の沢日和のはずだが仕事のトラブルで連日セブンイレブン(7:00-23:00勤務)を強いられる。それでも日曜日に仕事をする事で土曜日の昼間に時間を捻出し、アルプス遠征に変わってのこの夏の一大イベントになるはずの川浦谷へ向かう。板取川キャンプ場は夏休みの親子キャンパーで溢れていた。
 
 今日の装備はゴルジュ突破仕様。Fトラック製のフラッドラッシュ(+アンダー)の上下にゴアの合羽。その上からハーネス、スパッツ、ヘルメット、ライフジャケットにゴーグルだ。少し歩いただけで汗が噴きでるので急いで水に入る。が、キャンプ場で水遊びする子供たちからはヘンな目で見られる。

 

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キャンプ場からスタート
 
 スタートは浮き輪の子供たちに混じって泳ぎからスタート。冷たさはさほど感じなかったが僅かでも水流に逆らって泳ぐのはかなり厳しい。ガチャガチャが重いのかライフジャケットが邪魔なのか。それでも何とか瀞場を泳ぎ切ると川幅が広り、底まで透けて見える清流を歩いたりへつって進む。橋を一つ潜ると海の溝洞の出合いが見えてきた。ここまでそれほどの困難は無い。

 

 

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 流れに逆らうのは難しい

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ようやく一息

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一つ目の橋を潜ると
 
 海の溝洞は僅か1m程の小さな谷だが、両側が立っており侵入も一筋縄では行かない。入口の0.5m程の滝(F1)が中々越えられない。左側は腰までつかって激流を越えですぐに押し戻される。右側はツルツルでトラバースを試みてはドボン。結局、流れの中央にスタンスになる岩がありそれに乗って突破。

 

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海の溝洞谷の出合い

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右の小滝が海の溝洞

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本流方面

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入口からして難しい

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 中央突破が正解

 

 次は難関のF2。水量が多いとここで敗退するパーティーも多いようだ。ここは泳いで滝の裏に潜り込み、滝裏のスペースから流れの中に体を持ち上げ、右手から這い上がるというもの。言葉にすると簡単だが実際はそうはいかない。まず滝の裏に潜り込むのが白濁の中に引きずりこまれる恐怖心との戦いになる。上手く潜り込めても体を上げる際に水流に押し流されてしまう・・。結局2時間近くかかり突破、後続をロープで引っ張り上げる。

 ここで海の溝を進むか、本流に行くか作戦会議。時間と自分たちの力量を判断し、今日はまず本流に行く事にする。出合いまでは飛び込みながら下降。
 

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さあ、難関の滝

 


I君もおしいところで水に弾かれる

 

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滝の裏に潜り込んで(I君提供)

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ホールドを掴んで体を水流の上に(I君提供)

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右側からクリア(I君提供)

 

 出合いの日に当たるところで軽く昼食を取った後、本流遡行を再開。海の溝に比べて川幅も広く、ラクショーやなあと言っていたのもつかの間。すぐに川幅いっぱいに広がる2m滝に行く手を阻まれる。

 

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本流へ向かう

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ん、滝が出てきた

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越えれば穏やかなんだけど

 

 左右とも側壁は切り立った壁。越えられそうな左側は流芯の向こうで、突破するにはこの早い流れを泳ぎきるしかない。普通に泳いでは簡単に下流に流される。左側のテラスから流芯の向こうに飛び込むもダメ。右側をフック+スリングアブミで超えようともしたがそれもダメ。体温も低下し少し焦りが出てきたところでEちゃんがミラクルな攻略法で流れの向こうに渡ってしまった。(図参照)。

 

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右側から攻めるもダメ・・

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こんな感じ

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Eちゃんの攻略法

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流れを渡りきったEちゃん

 

 I君はロープを手繰って対岸に泳ぎきり、こちら側に残ったのは私とEちゃんのザック。自分のザックを背負い、Eちゃんのザックをぶら下げて流芯突破を図ろうとしたが何度行っても流れに押し戻されてしまう。何度も何度もロープを手繰ったせいで腕がパンプしてまった。結局先にザックを回収してもらい、なんとか対岸に渡った時には精も魂も尽き果ててしまった。
 

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ロープを手繰ってI君も続く

 

 しかし、この後には本日のメインイベントが控えている。川浦谷本流ゴルジュの核心部だ。ここは両岸が切り立った僅か数mの岩溝の中を全ての流れが押し寄せている。幸い今日は水量が少ないようなので水線沿いに行けそうだ。とは言っても私は腕が上がらない状態なのでI君、Eちゃんに引っ張って行ってもらう。
 

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さあ、いよいよ本流ゴルジュへ

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ここが核心部

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水線沿いに行く

 

 I君は実にうまくゴルジュを攻略していく。基本、水面近くのホールド、スタンスを探りながらへつっていき、手掛かりが苦しくなると対岸へ泳ぎ渡るという具合。なんだかんだで出口の滝の前までたどり着いた。最後は壁を蹴って流芯を泳ぎきって上陸可能な左岸側へ行き、そのまま滝を巻いてしまう。
 

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最後が難関

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エイヤっと流芯を飛び越える

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ここは越えられない・・

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最後の滝は右から巻き

 

 核心部攻略時点で時間は17時間際。今から西ヶ洞出合いまで行くのは厳しいかなあと思い脱出路を探る。左岸側では壁が切り立っていたが、右岸にルンゼが落ちてきていたのでそこから林道へ上がった。
 

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 橋の上から

 

 帰りの林道歩きはたった30分でキャンプ場に。このわずかな距離の間にいろんな事が凝縮された谷だった。