晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

板取川 海ノ溝洞 念願のゴルジュ突破   2014.08.03

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最大の難関、灰色のCS

 

<メンバー>
山仲間 5名

 

<山域、形態>

 

<コース>
ゲート手前の橋(8:00)~本流ゴルジュ下降~海ノ溝洞出合(8:55)~大きい釜の3m滝(10:10)~灰色のCS(12:30)~遡行終了(重機残骸)(15:00)~林道(15:15)~橋(15:50)

 

<天気>
曇り時々雨

 

 川浦谷のゴルジュはここ3年ほど毎年通っているところ。海ノ溝に関しては2011年は入口だけ偵察、2012年はスコールの為、灰色のCS手前で撤退、去年は雨のため中止。という事で、3年越しの宿題になっている所。今年はいつもの2人(michi君、Eちゃん)に加え、今年急成長中のNちゃん、michi君の山友Mさんの5人で挑戦する事になる。

 

 当日の天気はいまいちだが、板取には20日ほど雨は降っていない。下流の水位計も昨年挑戦した時よりも低い値を指しているので突破の確立はぐっと高まる。雨が降ったら即撤退という条件で出発。

 

 川浦谷沿いの林道の橋の上では、本流を行くという別パーティーが準備をしていた。我々も合羽上下、ライフジャケット、ゴーグル、ハンマー、ハーケン、カム、アブミというフル装備で出発。

 

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本流ゴルジュの直線水路、あれを下る

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今回のメンバー、みんなフル装備

 

 海ノ溝へのアプローチは遊び隊長Eちゃんの発案で川浦本流ゴルジュを下るというもの。確かに遡るより労力もいらないし、何より楽しい。橋の袂から谷に下りてそこから左岸に徒渉する。

 

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橋の袂から谷に下りる
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まず対岸(左岸)へ渡る

 

 左岸の岩を乗り越し、直線水路の正面に出る。Eちゃんは先頭で飛び込んでいった。私も2番目で飛び込む。水量が少なめなのか、流されていくという感じではなかった。遡るときは大変だったのになあ。

 

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Nちゃん、決まってるね~

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さあ、下るよ

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流されるだけなので楽ちん

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プカプカ

 

 直線水をが終わり、ゴルジュが屈曲する所では、洞窟まで登って飛び込み遊び。今日はいっぱい水遊びが出来る。

 

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洞窟でちょっと寄り道して遊ぶ

 


動画で

 

 その下の3m滝も左岸側から飛び込む。登るのにずいぶん苦労したけど(こればっかり)下りは楽々。あっという間に海ノ溝洞出合に到着。下流から大人数のPが遡行してきた。同じ海ノ溝だったら渋滞かな?と思っていたら本流を行くみたいでホッとする。

 

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ここも下れば簡単(登るのにはずいぶん苦労したけど)

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海ノ溝洞出合、本流遡行のPがいっぱい

 

 さあ、ここからが本番。入口の小滝は水中に隠れている岩に上手く乗って水流をかわして越える。次のF2も例によって左から泳いで近付き、滝下に潜り込んでから越えるのだが、水量が少ないせいかあっさり越える事ができた。

 

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入口、水の下の岩にうまく乗って

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最初の難関、でも水量が少ないので易々だった

 

 それでもゴルジュの中の水流は強く、基本へつりや飛石で水流を上手くかわさなければいけない。20日も雨が降っていないのにすごい迫力だ。

 

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20日間、雨が降っていないのにこんな感じ

 

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すごい迫力

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こんな小さな滝で苦労するのがこの谷の特徴

 

 次の難所は大きな釜を持つ3mの滝。前回は離水すら出来なかったので今回はリベンジで最初に取り付く。離水までは上手くいったが、その先のハングした壁を超えるのに苦戦。結局腕がパンパンになってしまったので、michi君にバトンタッチ。michi君は上手くクラックにカムを決め、エイドクライミングで突破。さすがだなあ。

 

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このゴルジュ最大の3m滝

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michi君リードで突破

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後続メンバーも果敢に取り付く

 

 その上は前回撤退した直線の釜。ここは泳ぎで突破しようとライフジャケットまで外して臨んだが寸での所で水流に押し返されてしまう。michi君もトライしたが結局右から巻きを選択。この巻きは容易。

 

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その上の水路(前回はここまで)右から巻き

 

 巻き終わった所で簡単な昼食。そしていよいよ灰色のチョックストーン(CS)だ。暗く狭まったゴルジュの中に岩質の事なるCSが挟まり、水流はすべてその下から流れだしている。CS手前の釜も深く、水流も速そうだ。事前のイメージでは河原からハンマー投げが出来ると思っていたが、とてもそんな事が出来る距離では無い。

 


ついに灰色のCS

 

 ここもまず偵察は私の仕事。意を決して釜を泳ぐ。水流は強かったが上手くCS手前の凹部に入る事ができた。そこからは壁を蹴って一気にCSの真下まで。うまい具合に残置カラビナがあったのでいったんロープを固定する。

 

 出来れば登ってみようと思い、CSにある凸部と右側の壁を使って上面に手が届く所までは上がったが、丸腰出来たので力尽きてドボン。悔しいけどmichi君に後を託す。

 

 michi君は大き目のカムを使ってアブミをセット、CSの向こう側にかかっている倒木を上手く使って登りきった(さすが)。私もなんとか登り切り、ザックと後続を引っ張り上げる。小さいCSの上に一時的に5人乗る状態になってしまった。

 

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右側からアブミ、スリング総動員で突破

 

 さて次はCSからの脱出。右の岩棚へトラバースしていくのだけど、岩はヌメヌメで光っている。初めの一歩が特に怖そうなので入念にタワシで磨く。最初、足を掛けた倒木が抜け落ち、あわや渦巻く釜へ転落かと思ったが、まだCSの上に落ちただけだったので助かった。無事と登り切ったらロープをフィックス、後続はプルージックで通過。

 

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CSからのトラバース、最初の一歩が怖い

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CS裏の釜、まるで洗濯機・・(怖)

 

 すぐに谷は広がりゴルジュは終わったような雰囲気。michi君によればまだ難所の滝が1か所あったはずだが、無くなっているようだ。おそらくCSが崩れてしまったのだろう。
 

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最後の難関の滝はなくなっていた?

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右から支谷が入る

 

 谷は癒しの雰囲気になる。ようやくゴルジュを抜けたんだ。林道に上がる場所を探していたら前に見慣れない物体が・・。重機が林道から転落したようだ。

 

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癒しの雰囲気、ゴルジュは終わり

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林道から重機が転落していた。自然が台無し・・

 

 一応、油流出防止の策は取っているようだが、雨が降れば意味をなさないだろう。このまま放置すれば自然が台無しだ。早く撤去してほしいものだ。後は重機の処置の為につけられた作業道を使って林道に上がる。林道に上がってからは45分で車に戻る事ができた。

 

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山の神様に無事を感謝

 

 今回も条件、メンバーに恵まれ海ノ溝洞をクリアすることができた。大体の攻略法も判ったし、次は全部トップで自力で越えてみたい。

 

 今回も一緒に行ってくれたメンバーのみなさん、ありがとうございました。もっと面白そうなゴルジュを探すのでまた一緒に行きましょう。