晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

小岐須から大岩谷 花冷えの2009沢初め 2009.04.04

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仙ヶ谷出合の巨岩


<メンバー>
山仲間

 

<山域>

 

<コース>
小岐須山の家~小岐須渓~大石橋~大岩谷~稜線手前~(登山道)~小岐須山の家


 異常な2月、3月の陽気はどこへいったのか。櫻が開花してからというもの、この時期にしては強い寒波が居座り、鈴鹿でも樹氷の便りが聞こえてくる。しかし、季節は着実に進行しているはずである。水が温むには若干早い気がするが、昨年からの懸案であった花探しを兼ねて2009年初沢にチャレンジする。

 

 行き先は、昨年の締めを飾った小岐須渓谷から大岩谷。小ぶりな谷ながらソコソコに楽しめる谷だ。そしてこの小岐須界隈の谷にはこの時期、トウゴクサバノオが咲いているらしい。という理由で2009初沢に認定。

 

 天気予報は見るたびにどんどん悪い方向に変わってしまい、午後からは確実に雨が降るという。こんなモノズキ企画に賛同してくれるEちゃんに確認すると、迷うことなく「行こう!」との返事。うーん、頼もしい。

 

 小岐須山の家に着くと既にどんよりとした曇り空。予報よりも崩れが早いなあ。支度をしていると上下合羽に身を包んだパーティーが出発するところ。雨覚悟で登るとはご苦労様。

 

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石大神と桜

 

 今回、ドボンは避けたい為、リスキーな下部廊下はパス。林道を歩き、堰堤を越えたあたりから入渓。最初は退屈なゴーロ歩きだが、久しぶりの飛び石は上手く体が順応せず、眠っていた神経と筋肉をフル活用する。ハイパーVのフリクションはまずまず。ネオプレーンソックスを履いているお陰で水温の低さも気にならず、まずは順調な滑り出しだ。

 

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小岐須渓は石灰岩の谷

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白い岩が目立つ


 屏風岩を過ぎ、大きな石灰岩が露出している仙ヶ谷の出合いでは、真っ白な川床が泡立つ水流と共にコバルトブルーの神秘的な色合いを醸し出している。やっぱり沢はいいなあ。時折現れる小滝の乗り越しにも体の反応はまずまず。エンジンがかかってきたなという辺りで、堰堤に行き当たる。一旦林道に復帰して前半戦はここで終了。大石橋まで歩き、大岩谷に入る。

 

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屏風岩

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仙ヶ谷出合

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青く光る川床

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よっこらせっと

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壁に刻まれた浸食の跡

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指差し岩

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小滝が続く

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まずは小手調べ

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泣き顔のような堰堤


 大岩谷に入ってすぐ、小ぶりだが綺麗な滑に出合う。ふと見上げるとイワウチワが咲いていた。今年初見なのでうれしい。谷中は薄暗いので撮影に苦労する。

 ここからは眼を皿のようにして、花を探すが、見つかるのはシロハナネコノメばかりだ。紺屋谷、松木谷の出合いを過ぎても見つからない。このままでは全然前に進めないので、花探索は一旦打ち切り、遡行に集中する事にする。花はまた来年探しに来よう。

 

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マムシクサ

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大岩谷の滑

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大岩谷の滑2

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イワウチワ

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シロハナネコノメソウ1

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シロハナネコノメソウ2

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シロハナネコノメソウ3

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ショウジョウバカマ


 白滝までは、ソコソコの傾斜で小滝がいくつか現れる。調子も出てきたので流の中を積極的に攻めるが、いかんせん手が冷たい。流れの中でホールドを探っているとあっという間に手がジンジンしてくる。この辺りの対策は春沢秋沢の課題だなあ。

 沢登りのいいところは、一旦谷中へ入ってしまえば天気はさほど気にならない事だ。空は意外に明るく、雨はまだ降っていない。時折薄日が差してくるほどだ。白滝を眺めながらのんびり昼食をとる。

 

 さて、この白滝、鈴鹿の山と谷では直登可能となっていたけど、どうなんだろう。ぱっと見た感じ、なかなか手強そう。今回は当然巻き。すぐ右に登山道が走っているので簡単に巻く事ができる。


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直登に挑戦

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花崗岩の谷に

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黒い滝

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白滝

 

 白滝の上もちょっとした連瀑帯になっていて、ここが一番楽しいかもしれない。岩質は花崗岩に変わり、明るい雰囲気になっている。やがて、まるで炭焼きの基地のような平坦地にでる。
 谷はここからいくつか分岐し、流れはぐっと少なくなるので、遡行が楽しい区間はこれで終わり。天気も下り坂なので打ち切ってもいいのだけれど、Eちゃんが地図読みの練習をしたいというのでイワクラ尾根の稜線まで行こうと言う事になった。地形図を睨みながら、谷の方向を確かめ、本流をつめる。やがて、谷はV字になり、落ち葉が埋まる溝になってしまったのでイワクラ稜線の手前で打ち切り。左岸の尾根に逃げてから登山道を使って小岐須まで戻る。

 

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ちょっとした連瀑帯

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どうやって行こうかな?

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最後はルート読みの練習

 

 ちょうど車まで戻ったタイミングで雨が降り出した。いいタイミング。雨脚は結構強く、朝、有ったパーティーは苦労しているだろうな。
 沢初は悪い天気をものともせず、とても楽しいものになったが、トウゴクサバノオ探索はまたしても徒労に終わった。来年はもっと情報を集め、別の谷に調整してみよう。
Eちゃん、今年もよろしくね。