晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

霊仙山 春酣(たけなわ)の西南尾根 2009.03.08

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 全開~!

 

<メンバー>
サークル

 

<山域>

 

<コース>
今畑-笹峠-東海展望-最高点-霊仙山-お虎ヶ池-汗拭き峠-落合

 

 
 記録的な暖冬という言葉が毎年聞こえてくる昨今、春の花目当ての山行は計画を立てるのが非常に難しい。やはり人を案内するからにはドンピシャ満開の時期に案内したいものだが相手はお天道様。なかなか思い通りにはいってくれない。

 

 恒例になった霊仙山西南尾根も例年どおり春分の日前後に計画していたが、2月中旬から高温が続いた為、予定を2週間前倒しする事に。ネットの情報では早くも2月下旬に咲始めの報告もあり、やきもきしながら当日を迎える。

 

 前日までは雨の予報でほとんどあきらめていたが、土壇場で晴れマークに変わった。日差しが見込めるお昼過ぎに稜線に上がれるようにと、少し遅めのスタートで廃村今畑を出発。すっかり伸びきった福寿草が我々を迎えてくれた。

 

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今畑の福寿草

 

 今畑は村といっても急な斜面に数件家屋があっただけで、少し先の落合集落の一部と考えてもよさそうな規模だ。村の中心であったと思われるお寺はまだ人の手が入っているようで建物もしっかりしていたが、すぐ近くにはすっかり朽ち果てて、水道管と礎石だけが家屋の痕跡となっているものもある。

 

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このお寺は手入れする人がいるようだ

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台所の跡

 

 集落跡を抜けるとすぐに植林の中に入る。まだまだ気温は上がっていないため花粉の飛散は少なめのようだが、要注意。マスクをしっかりと装着し笹峠を目指す。植林が終わり、ぶなの現れ始めたかと思うと、道はすぐに開けて笹峠に到着。少しの休憩の後、近江展望めがけて一気に駆け上がる。空を見上げると思惑通り雲が薄くなり日が差してきた。

 

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植林の中を突破

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東海展望への登り

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御池が見えた

 

 近江展望に上ると竜の背中のような稜線がなだらかに伸びている。ピーカンの青空ではないが視界は良好で最高点、三角点のいずれもすぐ近くに感じる。ただ、この時期の霊仙にしては人が少なく、見える範囲には人影はない。

 

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近江展望着 ここからが本番

 

 さあ、ここからが本日のメインイベント。今回は、時期、天候に振り回され、はたして咲いていてくれるか心配だったが、その心配は無用だった。あちこちの岩陰からやっと現れた太陽の光を逃すまいと、たくさんの福寿草が花びらをめいっぱい広げていた。
 
 早速地面にしゃがみ込んで撮影タイム。咲き始めてからずいぶん時間がたったのか、花びらが伸びきっている個体が多く、時期としてはピークを少し過ぎた位だろうか。それでも、まだこれから咲こうとしている蕾も見受けられ、まだまだ楽しめそうな雰囲気だ。

 

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全開~!

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整列~

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撮影中

 

 お昼は琵琶湖を眺めながらおにぎりとワンタンスープ。春霞のかかった湖面には竹生島沖島が浮かび、対岸の比良山系には雪を被った頂が見える。やっぱり琵琶湖は母なる湖、心が落ち着くなあ。

 

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母なる湖、琵琶湖

 

 昼食の後もお花畑の中を歩く。黄色い絨毯とまではいかないが、足の踏み場に困るほど咲いている処もあり、こりゃいい日に来たもんだと一人、心の中でほくそ笑む。

 

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ポカポカ

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アップで

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お花畑

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カワイイねえ

 

 そろそろ花見にも飽きてきたらいよいよ山頂に向かう。とはいっても霊仙山山頂も御池岳や藤原のようにテーブル状の台地にわずかに盛り上がりを見せる程度。笹の踏み分けを辿り、小ピークを回りこんで最高点に着くと、真っ白な白山が目に飛び込んできた。

 

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最高点に向かう

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もう一度琵琶湖

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白山はまだ真っ白

 

 最高点から霊仙山山頂に向かうと北西斜面にはちょっぴり雪が残っていた。山頂では小さい子供たちがシリセードで遊んでいた。

 

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こっちはほとんど雪なし

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シリセードで遊ぶ子ら

 

 山頂からまっすぐにお虎ヶ池を目指す。去年はこの斜面でシリセードを楽しめたが、今年はさっぱり。その代りにたくさんの鹿とたくさんの鹿の糞を見かけた。今年は雪が少なかったので鹿が増えたんだろうなあ。

 

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お虎ヶ池

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親切な道標

 

 お虎ヶ池からお猿岩を経由して大洞谷への登山道を下って行く。途中、ミスミソウを探しながら歩いて行くがなかなか見つからない。今年は不作かなと思ったらちゃんと咲いていました。もっと上の方から咲いていると思ったが、人間の記憶はあやふやだ。

 

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雰囲気のいいぶな

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ミスミソウ

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ミスミソウ

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ミスミソウ

 

 汗拭き峠で小休止の後、谷筋の植林中の道を歩き落合に向かう。雪融けで増水した谷のゴウゴウとした水音と、時折聞こえるミソサザイのさえずりに耳を傾けていると、もうすっかり春本番なのだなあと思ってしまった。

 

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落合