晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

上高地 モノトーンの雪の世界 2008.02.17

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大正池


<メンバー>

サークル

 

<山域>

 

<コース>
釜トネンル-大正池河童橋(往復)



 宿のご主人は夕食の時、「明日は冷え込みが厳しく、いいコンディションでしょう」と言ってくれたが、TV天気予報では「冬型の気圧配置が続き大雪に注意」となっていた。お客へのサービストークかそれとも地元の人のここだけの天気予報なのか・・と少しだけ期待しつつ、宴会も程ほどに消灯・・。

 

 で、翌日は早朝5時出発。送迎のマイクロバスのヘッドライトには粉雪がうつり、まだ雪が降り続いているのがはっきり判る。5時半に釜トンネルの入り口でバスを降りても雪は降り続けており、なんだか気が滅入ってきたが、今日はリーダーなのでそんな顔も出来ず、準備をして歩き始める。トンネルの中は雪も無く快適に歩けた。

 

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釜トンネル入り口 雪が・・・

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トンネルの中は快適ですが

 

 トンネルを抜けると一面の雪景色。今日は一番のりだったようでトレースはまだ無い。心配した凍結も新雪が降り積もっているので問題なく、スノーシューで足跡をつけるのを楽しむように歩き始める。まだ日の出前なのであたりは薄暗い。

 

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あたりはまだ薄暗い


 宿の主人の言うとおり、冷え込みは厳しいが頭上の木々に樹氷は無い。曇っているせいで放射冷却が起きず、水蒸気が発生しないのだろう。寒ければ樹氷が見れると思ったのは間違いだった。

 

 何回かのカーブを曲がると目の前に大正池がバーンと広がるが、その向こうに見えるはずの穂高連峰はガスの中だ・・。

 

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大正池 穂高は見えず・・・

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視界は悪いですがいい雰囲気です


 寒いものの風は無く、梓川の上にかけられた自然探勝路を歩くと水面に木が写りこみ、不思議な景色を見せてくれた。大正池も氷結し、空気もピーンと張り詰めた感じ。朝日に輝く上高地もいいが、こういったモノトーンの景色もなんだかいいもんだ。(と思ってみる)

 

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自然探勝道で

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氷結した大正池

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焼岳もガスの中


 途中、梓川を離れて樹林の中を歩く。途中、動物たちの足跡があちこちに見られて楽しいが、単調な景色にすぐに飽きてしまい、田代池からは再び川沿いの道を歩く。

 

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樹林コースを歩く

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動物たちの足跡

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行軍は続く

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田代池


 やがて梓川は滑らかなカーブを描き、岸辺の並木が美しくなってくる。去年はこのあたりで朝日に輝く霧氷を見ることができたが今回は白と灰色の世界。傍らにベンチが並び始めたので河童橋はだいぶ近づいてきたのだろう。

 

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梓川と並木

 

 建物が増えだしたと思ったらバスターミナルについた。冬季トイレで用を足していると急に風が強くなり、地吹雪状態となった。建物の影で風を避け、宿で作ってもらった弁当を食べる。水筒の暖かいお茶もコップに入れておくと見る見る氷、おにぎりもシャリシャリいいだした。お湯を沸かしてココアを入れるとようやく落ち着いてきた。

 

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バスターミナルは猛吹雪


 天気がよければもう少し奥まで行こうと思っていたが、この先へ進んでも仕方ないので河童橋でUターンすることにする。橋の上は思ったより雪は少ない。

 

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記念撮影

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穂高は見えず・・

 

 橋を渡り、右岸を梓川にそって歩く。旅館はみんな堅牢な雨戸を堅く閉ざしており、夏の喧騒がうそのような静かな雰囲気。

 

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夏の喧騒が嘘の様

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河原に下りてみます


 このあたりに来ると対岸を別のパーティーが歩いてくるのを見ることができる。20人以上の団体さんなので、おそらく旅行会社のツアー客のようだ。田代橋で左岸に戻り、大正池を目指す。

 

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ちょっと休憩


 午後からは回復方向という天気予報だが一向に晴れる気配は無い。時折雲の薄い膜の上から太陽がぼんやりと見えるが青空なんてとてもとても・・。再び大正池に戻ると氷が溶けて不思議な紋様が浮かんでいた。

 

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なかなか晴れないね~

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氷が溶け出して不思議な模様に


 釜トンネルに近づくころには風もさらに激しくなり、対岸では地吹雪が舞っている。スノーハイクももうすぐ終わりだが、結局晴れ間は見えなかった。「まあ、こんな時もあるさ、」なんていいながら、旧釜トンネルを見学し、中の湯売店まで戻る。

 

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地吹雪

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旧釜トンネル


 送迎の車を待つ間、中の湯売店あたりで時間をつぶす。売店の主人は暇そうにしていた。「明日来ると最高なんだけどね~」なんて言われてもなあ・・。

 

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中の湯の梓川


 モノトーンの景色ばっかり見ていたせいか、体の芯までひえてしまった。既に上高地で見た別世界のような景色は何処へやら、「あー早くあったかいお蕎麦を食べて温泉に入りたいなー」と、そんな事ばかり考えていた。