御池岳 敗退と出会い、波乱のテント泊 2008.02.23-24
雪で埋まったテン場
<メンバー>
サークル+山想山歩の集い+Hashimotoさん
<山域>
<コース>
3年ぶりの御池岳テント泊に参加することになった。雪の御池岳は冬の間に一度は訪れたい場所のひとつだが、テントで泊まると夕暮れや早朝の雪のテーブルランドが体験でき、それはそれはすばらしいのである。
そんな訳でカメラ2台と三脚までザックに括り付け、張り切って出かけたのだが天気は生憎どころか、この冬一番の寒波が来るという最悪の予報。それでも、低気圧が抜ければ明日は晴れるかも、なんて超希望的観測を持ってスタート。
今回は長い国道歩きをパスする為、木和田尾から上ることにする。植林帯まではつぼ足で何とか歩けたが、尾根に乗る手前でスノーシューを装着。日帰りで荷が軽いBやんに先頭を任せて登るがやっぱりテント装備は重く、体が思うように前に進まない。
その内、風が強くなったかと思うと雷がなりだした。ちょうど寒冷前線が通過したのだろう。少しひるんで「今日は日帰りにしよう」なんて事にならないかなーと内心考えてしまった。
雪はたっぷり、空は鉛色
しかし、雷は結局一度だけ。雨が降り始めやがて雪に変わったものの、雲は薄く時折明るくなるので気分も乗ってきた。先頭のBやんは快調に飛ばし、坂本谷分岐を過ぎた後のトラバース道もガシガシと切り拓いていく。なんとも頼もしい。
白船峠には約3時間で到着。テント泊装備にしてはまずまずの時間だ。Bやんに感謝。日帰り組のBやんと別れ、リーダーと二人で真の谷を目指す。
この時点で今日のうちのテーブルランドはあきらめ、真の谷をベースキャンプにして、明日早朝の登頂に賭けようという事になる。
白船峠もたっぷりの雪
県境稜線は雪庇が張り出す
真の谷を目指して降りていく
真の谷はすっかり雪で埋まり現在位置がいまいちわからない。いったん下流へ下るがすぐに間違いだと気づき、引き返す。ここだと思ってテント設営を始めたら、別パーティーが現れた。よく見るとリーダーの知り合いで、私もご一緒したことのある「やまぼうしさん」、去年の御池で遭遇したHashimotoさんもいっしょだ。
本当のテン場はもっと先で、せっかくだから皆でテントを張ろうということになり、一気ににぎやかになる。いったん設営したテントをそのまま引きずってテント場へ移動。
設営の前は入念に地ならし
テントを設営し終わっても未だ16時。皆さんは焚き木を集めだして焚き火の準備だ。新聞や固形燃料で何回か着火を試みるが降る続ける雪のせいでなかなか火がつかない。そろそろあきらめるしかないな~というところでガソリンストーブによる強制着火でなんとか焚き火が燃え上がった。
ゴアのヤッケが焦げないように注意しながら悴んだ手を温め、頂き物のワインやウイスキーを飲みながらワイワイ。静かなテント泊の予定がこんなんにも楽しい夜になるとは何とも予想外。それでも辺りが暗くなり始めたころには各自テントにもぐりこみ、夕食の準備。
18時頃の状態・・・
夕食はパンとカップラーメン。昼ごはんを食べ損ねたのでもうひとつラーメンを作って食べる。暖かくなったところでテントに侵入した雪を何とか始末し、マットとシュラフを広げて寝る体制。気持ちよく酔っているのですぐに眠りについた。外はひっきりなしに雪が降っているようで、終始サラサラとテントを雪が伝う音が聞こえる。
たぶん真夜中にぐらいに強い尿意で目が覚めてしまった。うっかりいい気になってワインを飲みすぎてしまったらしい。用を足すにはテントの外に出なければならないが、外は相変わらずの吹雪。積雪もどんどん増えているようで、テントの前には30cmほどの新雪が積もっている・・。
この状況でいったん靴を履いてテントの外に出れば、テントの中も靴の中も雪まみれになってしまう。かといって朝まで我慢できるとは思えない・・。
そうこうしているうちに尿意はドンドン強くなり、冷や汗が出てきた。ええいもう仕方がない。鍋に用を足してテントの外に出すか・・。この非常事態の際は仕方あるまい。と考え、ヘッドランプをつけて準備を始めるとカップラーメンの空容器が目に入った!。これぞ天の助けとばかり、穴が開いていないか確かめた後、カップに用を足してテントの外に排出。明日の朝、水を作るときに間違えないようになるべく遠いところへ排出した。
これで一安心。しんしんと降る雪の音を聞きながら明るくなるまでぐっすり眠ってしまった。
朝起きると!
朝、外が騒がしいので目が覚めた。腰までもぐってしまったなんて声が聞こえる。ずいぶん降ったんだなあと思ってテントの中を見渡すと壁が迫ってきてずいぶん狭くなっている。入り口を開けると前室は完全に押しつぶされていて、入り口の前の雪を手で掘ってようやく脱出。昨夜の間に50cmは積もった模様。これでは御池岳登頂どころの話では無く、みんなで撤退ルートの相談をする。
自分のテントも!
あたり一面深雪に
出口の谷も雪に閉ざされた
最初は来たルートを引き返そうかと言う案もあったが、真の谷をそのまま詰め、カタクリ峠経由で国道に出たほうが確実だろうということになった。テント脇ですっかり雪に埋もれているスノーシューを掘り出し、テントを雪の下から引っ張りだして何とか撤収完了。8人掛りのラッセルで脱出を図る。
8人ラッセルは心強い
谷芯は流れがあるので気をつけて
時折青空も見えるのだが
狭い谷の真ん中に流れがあるので、流れに落ちないよう、岸辺をトラバースして谷を進む。雪をたっぷり含んだザックは重く、スノーシューで雪を踏み抜き、スコップで助けられるというなんともかっこ悪い体験を2度もしてしまった・・。(体重+ザック>100kgではきついかな~)
ここからのコースは、谷筋は雪崩が危険だということでコグルミ谷の右岸尾根を使って国道306まで歩く。
カタクリ峠もトレースなし
尾根筋は雪が飛ばされるせいかそれほどの積雪は無く、雪庇を踏み抜かないようにだけしていれば快適な下り。1時間ほどで国道306号線に到着。
国道に出て安心したのもつかの間、なんと国道も60cm以上の積雪で、またここからラッセルかと思うとうんざりしてきた。いったん気が緩んでしまうと背中の荷物が急激に重たく感じる。
国道も60cm以上・・・
しばらく下っていくと大きな4WDの車が雪を蹴散らして上ってくる。おそらく雪上走行を楽しみに来た4WD愛好家だろう。だが、あまりにも積雪が多いため、腹がこすれて思うように上れないらしい。脇を通り抜けるとき、奇特な人たちもいるもんだなーと思ったが、よく考えれば向こうもこちらをそう思っているかもしれない。
ここから先は4WDのつけた轍を使って快適に歩くことができた。ふもとまで降りた後はアタントでコーヒーを飲みながら楽しい反省会。
今回の山行は天候、積雪などアクシデントが多かったが、山での出会いも有り、記憶に強く残る楽しい山行きだった。反省すべきところは多々あると思うが、全員無事帰れて何より。急造パーティーの皆さんと「またお願いします」と再会を誓い、帰りの車に乗り込んだ。
今回のコース