晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

鈴鹿主脈縦走 藤原から御在所へ ③ 2007.05.26-27

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八風峠の月

 

<メンバー>
単独

 

<山域>

 

<コース>
藤原岳大貝戸-藤原岳-治田峠-竜ヶ岳-石グレ峠-三池岳-八風峠(泊)
※太字が今回の記事の範囲

 

石グレ峠からの縦走路はNTTのマイクロウェーブアンテナ施設へ向かって車道を歩き、施設の裏手から踏み跡に入って行く。久しぶりのアスファルトの感触を足の裏に感じながら歩いていると、なにやら目の前に動くものが現れた。どうやらイタチの仲間らしい。足跡を見たことはあるが実物は初めてだ。急いでカメラに収めようとするが、すぐに逃げてしまい、遠くからしか捕らえられなかった。

 

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NTTマイクロウェーブアンテナ

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ひょっこりイタチの仲間が現れる

 

石グレ峠付近を境に土質は花崗岩に変わる。ザラザラの乾いたやせ尾根を一歩一歩登って行く。意識は「ツェルトを張れそうな木陰の小広場は無いかな~」なんて気持ちで歩いて行くが、徐々に笹が多くなり、半分やぶこぎのようになってきた。

 

相変わらず暑いが、腕まくりを戻し、長袖+軍手のやぶこぎモードで笹や木の枝を掻き分ける。ザックに付けたマットが引っかかって歩き難い。
尾根は登ったかと思ったらすぐに下るアップダウンを繰り返すいやらしい道、だいぶへばってきた。

  

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 アップダウンの続く稜線

 

ピークを三つほど乗り越えると三池岳が近づいてくる。鈴鹿主脈の中にある山でも一際目立たない山だが、八風街道から程近く、手頃に静かな山歩きができる山である。
尾根の形状は三重県側がすっぱり切れ落ち、滋賀県側がなだらかな鈴鹿中部の特徴が現れ始める。

 

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三重県側はすっぱり切れ落ちている

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対照的に穏やかな滋賀県側(向かって右側)

 

木の無いザレのピークが現れたらそこが三池岳だった。時間は丁度18:00。ここから八風峠までは10分ほど。幸い、日没まで一時間弱あるので予定通りのキャンプが出来そうだ。そう思ったら急に腹が減ってきた。

 

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ようやく三池岳(18:03)

 

日が暮れる八風街道を眺めながらようやく八風峠に到着。八風街道は昔は多くの商人や山仕事の人、そして表街道を歩けないような人たちが往来したらしい。峠には今も「八風大明神」の石碑と鳥居がある。鳥居の回りは小さな広場になっていて、キャンプをするのには丁度良い。昔は茶屋でもあったのだろうか。

 

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八風街道に日が沈む

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八風大明神に今夜の宿をお借りする(18:17)

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鳥居左奥の草地が今夜の宿

 

地面は乾いており、その上草が生えている。適度な樹林もあり、思った以上にキャンプに適した場所だ。寝る場所の心配がなくなったら急に安心してしまった。すぐにでもツェルトを張らないといけないが体が動かない。鳥居の横に大の字になって寝転び、空を見上げたら月が出ていた。

 

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見上げると月が出ていた(まだ空は明るい)

 

しばらくボーとしていたら、辺りがだんだん暗くなってきたのでツェルトを張ることに。細引きを真ん中に通すオーソドックスな張り方だが何とかなった。マットを引いて中で寝てみたら、意外と安心できる。薄い布一枚だが、吹きさらしの中にいるのとは雲泥の差だ。樹林が風を弱めてくれるのでなおのこと好都合。宿が完成したら次は食事の準備だ。

 

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試行錯誤で設営中

 

今日の夕食は、カップラーメンとレトルトカレー、そしてアルファ米。調理に水を使うものばかりなので、歩いている間中も水の事ばかり考えてしまった。万が一、補給できずにここにたどり着いたら、水は飲むだけにして、カロリーメイトとバナナチップス、チョコだけの夕食になるところだった。

 

汗で塩分を失った体にはカップラーメンの塩気がたまらなく美味しく感じる。あっという間にラーメンを平らげ、カレーの準備に取り掛かる。アルファ米が出来るまでの20分が非常に長く感じた。

 

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やっとありつける~!!

 

カレーライスも平らげ、水をたっぷりのんだら後は寝るだけ。風が強く、思ったより冷え込んできたので、念のためにと持ってきた防寒着を着込むと丁度良くなった。夜景の撮影に挑戦したが、黄砂で霞んでイマイチ。

ツェルトに潜り込み、ラジオを聴きながらマットに横になると急に眠くなってきた。今日は良く頑張った。もう寝るとしよう。シュラフカバーに潜り込むと、ツェルトをバタバタと叩く風の音も気にならないほど、あっという間に寝込んでしまった。

 

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町の灯りも黄砂で霞んでいる

 

つづく

 

一日目の行程
沿面距離  14.5km
累積標高差 +1999m -1235m
行動時間  9時間10分(休憩込み)

 

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今回の地図