晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

赤坂谷から釈迦ヶ岳 雨の源流彷徨 2008.06.28

f:id:ikuyayuuki:20201128082306j:plain

赤坂谷の滝(水はまだツメタイ)


<メンバー>

単独

 

<山域>

 

<コース>
八風射撃場跡-八風峠-中峠-カシラコ谷-赤坂谷-釈迦ヶ谷-中峠-八風射撃場跡


 木曜日、金曜日は梅雨にしてはいい天気だったのだが、週末になると途端に天気が悪くなる。今週山へ行かなければ3週連続出かけないことになり体がおかしくなってしまいそう。日曜日は完全に×だが、土曜日は何とか持ちそうなので鈴鹿に出かける事にした。
 
 コースは先日やぶこぎネットでmayonekoさんとhashimotoさんが歩いた八風中峠から赤坂谷をめぐるというのを辿ってみる事に。沢装備なら濡れても一緒だし、あの辺りは美しい林があるので雨の中歩くのもいいだろう。

 

 八風射撃場の前の駐車スペースには名古屋ナンバーの車が一台停まっていた。こんな天気にモノ好きもいるもんだなあと自分の事は棚に上げて思ってしまった。

 

 空気はじっと湿っていて、いつ雨が降ってきてもおかしくない雰囲気だがまあ何とかなるだろう。荒れた林道はいつの間にか昔をしのばせる石畳に変わっていた。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082152j:plain

昔をしのばせる石畳


 中峠道との分岐は八風峠にルートをとる。この辺りからガスが濃くなり雨もぱらついてきた。雲の中に入ったようだ。鬱蒼と茂った林の中を雨に濡れながら九十九折りの道を登って行くと昔の旅人になった気分。傍らの石地蔵に思わず手を合わせてしまう。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082156j:plain

傍らの石地蔵

f:id:ikuyayuuki:20201128082200j:plain

木の葉の間からさす光はまだ明るい

 

 3週間ぶりの山歩きはさすがに堪え、急坂は息絶え絶えになってしまう。頭上から落ちる雨と足元の草についた水滴ですでにびしょぬれになり、モチベーションは急激に低下。峠で引き返そうかなという弱気の虫が頭をもたげる頃八風峠に到着。思ったより早く着いた。よし、もう少し歩いてみよう。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082204j:plain

ガスのなかの八風峠


 八風峠から県境尾根を少し南に歩いて中峠に到着。ここから滋賀県側の緩やかな斜面をカシラコ谷に向かって下りて行く。ガスで視界も悪く、メガネが雨に曇って歩きにくいが、なんとか踏み跡、古いテープの跡を拾って下る。まあ、適当に下って行けばそのうち本流に収斂されて行くだろう。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082211j:plain

なんだか無駄のような気がする道標

f:id:ikuyayuuki:20201128082216j:plain

源頭部は視界10Mほど

f:id:ikuyayuuki:20201128082220j:plain

なごませてくれるコアジサイ

 

 何とか古いソマ道に沿って歩いていると急に立派な道標が現われた。この辺りは植林が盛んで仕事道と思われる道がたくさんあるが、おそらく八風谷から延びてきた昔の道だろう。こんなところにハイカーなんてほどんど来ないのに場違いな道標だ。道標は無視して流れにそってそのまま下る事にする。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082224j:plain

立派な道標が

f:id:ikuyayuuki:20201128082230j:plain

穏やかな流れのカシラコ谷


 途中、尾根をのっこして赤坂谷へ向かう道を横切り更に流れに沿って下る。いつの間にか道を見失ったようで流れの中の石の上を歩く。瀬の音が大きくなってきたかなと思うった所でようやく赤坂谷出会いに到着。ガスから出たようで空は思ったより明るい。ここで腹ごしらえをする。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082236j:plain

アカサカ谷到着


 歩きはじめてすぐに足元を見ると何やら米粒のような白いものが打ち上げられている。何かな?と思ってよく見たらドウダンツツジの花びらだった。雨で流されたのだろう。もう夏もすぐそこだな。

 

 さっそく滝が現れたが濡れるのにはまだ寒かったので巻きで突破する。花崗岩の谷は曇天でも明るい雰囲気で次々と現れる小滝と釜はとても気持ちがいい。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082240j:plain

打ちよせられたドウダンツツジの花

f:id:ikuyayuuki:20201128082245j:plain

沢登り開始(でも巻き)

f:id:ikuyayuuki:20201128082249j:plain

小滝と釜


 やがて赤坂谷の見どころになるナメ滝群が現れる。バシャバシャと水と戯れたいがやっぱり寒いので慎重に登る。今日は沢靴では無くハイパーVなのでコケのついた川床は気を抜くとツルッと行きそうだ。慎重に、慎重に。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082253j:plain

穏やかなナメ

f:id:ikuyayuuki:20201128082257j:plain

これもバシャバシャ登りたい

f:id:ikuyayuuki:20201128082301j:plain

大ナメ(ここでソウメンしたいなー)

f:id:ikuyayuuki:20201128082306j:plain

面白そう、でも寒いな


 渓相が穏やかになってきたなと思ったらすぐに平流になってきた。夏はこの辺りからツメカリ谷に乗超すが今日はさらに詰め上がる事にする。といっても流れの中をいつまでも歩いているとスピードも上がらず、バテてしまうので早々に左岸にある道跡に乗って県境稜線を目指す事にする。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082310j:plain

穏やかになってきました

f:id:ikuyayuuki:20201128082314j:plain

すっかり平流になった


 流れに沿ってはっきりとした道が付いているが、昔のソマ道と造林の仕事道が交錯し、時々崩れた箇所もあるので道を見失わないように慎重に歩く。しばらく行くと造林小屋の崩壊した跡があった。4年前に来た時はまだしっかりしていたんだけどなあ。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082318j:plain

潰れてしまった造林小屋

f:id:ikuyayuuki:20201128082322j:plain

雨に濡れるヤマボウシ

 

 谷にそって稜線までと思っていたが、雨もぽつぽつ降って来たのでついつい左岸側の尾根に乗ってしまった。明らかに獣か人が歩いていたはっきりとした踏み跡があるがテープは全くない。

 

 もうだいぶ源流まで来たはずなのに県境稜線にはいつまでたってもつかない。おかしいなーと思ってコンパスを見るとずいぶん南に振れていた・・。県境稜線と平行した尾根を歩いていることになる。このままでは釈迦ヶ岳の南にでてしまいかなりの遠回りになるが仕方がない。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082327j:plain

尾根をよじ登る


 やっとはっきりした道に出たと思ったら予想通り猫岳と釈迦ヶ岳の間の鞍部にでたようだ。ああ、やれやれ。見覚えのある場所にでてほっとしたがここからに道のりを思うとうんざりする。稜線上は濃いガスに包まれ、歩いているだけでビトビトに濡れてしまう。釈迦ヶ岳を通過し、南峠を目指す。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082332j:plain

やっと釈迦ヶ岳

f:id:ikuyayuuki:20201128082336j:plain

視界5Mの県境稜線

 

 5m先も見えない稜線を黙々と歩く。体も冷えてきて少しつらくなってきた。中峠で行動食を摂った後は一気に八風街道を下る。雨にぬれた石の道は歩きにくく足取りはますます重くなる。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082341j:plain

ガスが沸く山肌


 八風峠から降りてくる道と合流ししばらく歩くと道幅も広がり視界も開けてくる。雨は本格的に降ってきて見上げた山肌を雲が駆け上がって行く。

 

 歩きはじめて7時間と少しでようやく車に到着。ああ、久し振りによく歩いた。雨に打たれ随分と疲れた山行だったが汗と一緒に体に中のいやな成分も抜けてくれたようだ。やっぱり家で寝ているよりも山を歩いた方がいいなあと改めて思った。

 

f:id:ikuyayuuki:20201128082346j:plain

今回のコース