晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

天狗岳 冬の八ヶ岳に挑戦 本 強風の稜線 2011.02.13

舞い上がる雪煙

 

<メンバー>
サークル(2名)
      
<山域>

 

<コース> 
黒百合ヒュッテ~中山峠~天狗岳~中山峠~黒百合ヒュッテ~渋の湯
 
<前日の記録>
 目が覚めると5時。熟睡とまではいかないが何とか寝る事ができた。朝食は6時からなので布団の中でゴロゴロしてしまう。周りがようやくガサガサし始めたころにやっと布団からでる。昨夜の大イビキの主は、何事も無かったかのような顔で周りにあいさつしている。こういった能力?も含めて山屋の総合力なのだろうかと考えてしまう。

 

 朝食は卵かけご飯と少しのおかず。今回はご飯大盛り1杯でよしとする。まあ、行程も短い事だし何とかなるだろう。窓の外はまだ曇り空なのでゆっくり出発しようと思ったが、周りのパーティーが出発するのにつられ、何だかんだと準備を進めてしまった。

 

出発(ロボコップのようなたけやん)

 

 外に出ると昨日と変わらない曇天。天気予報では今日はこの三連休で唯一の晴れのはずなのに・・。モンスターになりかけの針葉樹林を抜け中山峠に。そして稜線を天狗岳の方に足を進める。

 

相変わらず曇天

稜線に出る

 

 樹林帯から出たところで激しい風。風に舞いあげられた雪が視界を遮り、ゴーグル無しではとても目を開けていられない。また、肌が露出しているところが寒いと言うよりも痛くなってきた。目出帽を引き上げ、ゴーグルを装着する。

 

風が強い

 

 しかし、この目出帽を引き上げたの行けなかった。ゴーグルの内側に目出帽が入り込んだので、呼気がゴーグルの内側に入り、一瞬で凍りついてしまった・・。さらに何も見えなくなってしまったので裸眼で歩く事にする。数メートル先の先行者のトレースもあっという間に消えてしまう。

 

何も見えない

 

 それでもところどころに現れる柵や目印を確認しながらジリジリと登って行く。雪は完全にパウダー状で雪面にピッケルを差し込むとシャフトから金属が擦れる音が聞こえる。眉毛、まつ毛、鼻毛とあらゆるものが凍りついてしまった。

 

じりじりと登る

 

 時折雲が晴れるようで一瞬視界が広がる。よく見るとピークのようなところに道票が見える。あれが天狗岳だろう。やっとの思いで辿り着いた山頂は360度真っ白の世界だった。たけやんと証拠写真だけとって早々に退散する。

 

ん?

急いで下山

 

 相変わらず風が強いが、下りは風に背を向ける事が多くなるので少しは歩きやすくなる。登りは苦労する斜面もパウダースノーなのでサクサクと降りて行ける。もうすぐ樹林帯に差し掛かるところで急にガスが晴れてきた。

 

視界が広がってきた

降りると晴れる?

 

 すると目の前には真っ白にデコレーションされた針葉樹林の森が広がった。ガスの切れ間に青空も見え、素晴らしい景色だ。今日は風に抗うことばかり考えていたが、本来はこんな景色を見る事が目的だったのだ。うーん、くやしい。あと1時間出発を遅らせていれば・・。

 

素晴らしい景色

でも地吹雪

 

 写真を撮っていると辺りはどんどん明るくなってくる。ようやくこの辺りの地形がつかめたような気がする。夢中で写真を撮っているとカメラが冷えてきて電池残量少のメッセージ。カメラを懐に入れ、ようやく下山を再開する。

 

どんどん明るくなってくる

稲子岳

雪煙に覆われる

 

 中山峠を下り、黒百合ヒュッテに着くころには空は完全な青空に変わっていた。振り返ると天狗岳と西天狗岳が真っ白に輝く姿を見せていた。うーん、悔しい。二人して「でも頂上はまだガスがかかっているよ」なんて負け惜しみを行ったりする。

 

降りてきたらこれだもんな~①

降りてきたらこれだもんな~②

 

 黒百合ヒュッテからの下山は快適そのもの。すれ違う登りの人たちを恨めしく思いながら下って行く。途中でお腹が減ったので休憩はしたが、1時間と少しで渋の湯へ到着。

 

 諏訪へ向かう途中、降り帰ると青空に八ヶ岳がくっきりと浮かび上がっていた・・(悔)。

 

降りてきたらこれだもんな~③パノラマ