晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

イブネ 鈴鹿奥座敷一人テント泊 その② 2008.11.01-02

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稲ヶ谷の紅葉

 

<メンバー>
単独

 

<山域>

 

<コース:2日目>
イブネ~杉峠~雨乞岳~東雨乞岳~七人山~コクイ谷出合~上水晶谷出合~根の平峠~朝明

 

 風の音で夜中に何回か目を覚ましたがテントが飛ばされる心配をするほどでも無く、気持ちよく眠れた。6時頃、朝焼けを期待してテントの外に顔を出すと外はどんより曇っており、いきなりテンションダウン。ラジオの天気予報では朝は曇りで昼間は少し晴れ間が見えるらしい。今日はそれほど長い工程では無いので太陽が昇るまでダラダラしていようと二度寝を決め込む。結局撤収が終わり出発したのは8時を過ぎてしまった。

 

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さえない朝日

 

 再び佐目峠(下重谷源頭)で水を補給する。ちょうど紅葉が見ごろを迎えており、水の流れ、鎮座する大石、なんだか日本庭園に紛れ込んだよう。水汲みの途中なのを忘れてしばらく見とれてしまう。

 

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日も出てきた

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アケンギョと雨乞岳

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佐目峠

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まるで日本庭園のよう

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落ち葉の絨毯

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杉峠へ向かって

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綿向山、イハイガ

 

 アケンギョを超え杉峠に下りていくとちょうど二人の登山者と会う。千種街道を登ってきて愛知川方面に下りていくようだ。この杉を見るのも久しぶり。ここから雨乞岳まで急登をこなさなくてはいけない。

 

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杉峠の杉

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峠を越えるハイカ

 

 雨乞岳までの登りは構えたほどきつくはなかった。これも日頃の鍛練の賜物か。稜線にでると太陽も昇り、青空も広がっていた。ススキの穂の輝きがさらに秋を感じさせてくれる。

 

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ススキが輝く

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昨日泊まったイブネの台地

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雨乞山頂が見えた

 

 笹のトンネルを超えると雨乞岳山頂に到着。誰もおらず、誰も来そうにないのでそのまま東雨乞岳を目指す。ちょうど稲ヶ谷源頭の紅葉がとても美しい。

 

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ここはまだ笹が元気

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大峠の沢

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静かな山頂

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稲ヶ谷の紅葉

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東雨乞岳南斜面も赤く染まる

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鎌尾根も霞む

 
 東雨乞では360°の大展望が待っていたが、天気は下り坂のようで薄くモヤがかかってきた。御在所や鎌の山頂も霞んでいる。ここも無人で全く静かだ。鈴鹿スカイラインが通行止めで武平峠まで車で入れないので雨乞の登山者はグッと少なくなるのだろう。

 

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東雨乞からの展望(雨乞岳)

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東雨乞からの展望(イブネ、クラシ)

 
 七人山のコルへの下りは道が荒れた沢のように抉れていた。これも豪雨の影響か。割り堀の溝を避け、新しい踏み跡をたどり七人山へ向かう。途中で今日3人目のハイカーと、すれ違う。杉峠までの道の様子を聞かれたが全く問題ないと答えておいた。ここまでに道の荒れ様にずいぶんと驚いておられた様子。

 

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もう一度、イブネ、クラシ

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七人山

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七人山のコル付近

 

 七人山のブナの森も紅葉の見ごろを迎えていた。このまま歩いても早く帰るだけなのでシートを広げ、コーヒーを飲みながらしばらくうとうと。やっぱり誰も来ないなー。静かな山旅を楽しみに来たのにこれだけ人が少ないとなんだか人恋しくなってしまう。

 

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七人山の森(テント泊適地)

 

 30分ほどボーッとした跡、北東尾根を使ってダイレクトにコクイ谷出合まで向かう。冬に登ったことがあるが下るのは初めて。思ったより急斜面で尻もちをついてしまった。この辺りも紅葉が見事だ。

 

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七人山北東尾根の二次林

 

 コクイ谷の出会で今日4人目のハイカーに出会う。上から見ていると竿を出しているようだが、私に気づいて急いで竿をしまったようだ。もう禁漁期に入っていたのだろうか。すっかり砂利で埋まってしまったコクイ谷出会に心を痛めながら千種街道の並木道を上水晶谷に向かって歩く。

 

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淵が埋まってしまったコクイ谷出合

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千種街道の並木

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上水晶谷出合付近の紅葉


 根の平へ向かう分岐を左に進み、上水晶谷出会へ向かうがここもすっかり荒れてしまった。ダイモンジソウの群落がみられた岸もすっかり様子が変ってしまい、えぐられた両岸とゴロゴロの大岩で風情がなくなってしまった。


 紅葉最盛期の3連休だというのにこの界隈ですら人の姿を見かけない。なんだか勿体ないなーと思っていたら、急に人恋しくなってきた。この後は上水晶谷の右岸尾根を上がり、ぶな清水経由で朝明に下りようと思っていたが、無性に妻の声が聞きたくなったのでまっすぐ根の平峠に向かう事にした。

 

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上水晶谷

 

 神杉、根の代集落跡を超え峠に向かう途中で今日5人目のハイカーに出会う。コクイ谷までの道はわかりやすいか?と聞かれてわかりやすいですよと答える。イブネへ行くルートの下見に来ているそうだ。

 

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根の代の神杉

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根の平峠辺り

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根の平峠

 

 根の平峠からの下りは伊勢谷の荒れ様に驚きながらの下りになった。情報としては知っていたが自分の目で実際に見ると衝撃は大きい。1mほどの高さの二股に挟まった大石を見て、土石流のすごさに改めてぞっとしてしまった。

 

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何であんなところに岩が挟まっているの?

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伊勢谷の惨状①

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伊勢谷の惨状②

 

 朝明の駐車場についても携帯は圏外・・。靴だけ履き替えて下界へ向かい、菰野町役場の近くもコンビニから妻に電話する。妻には「天気が良かったら2泊する」と豪語してきたので、1泊で帰るというと「寂しかったの?」と聞かれてしまった。図星を突かれてドキッとしたが、「天気が悪くいい写真も撮れんからな~と何故か負け惜しみを言ってしまった。」

 

 紅葉もコースも素晴らしく、充実の二日間を過ごせたが、単独はさびしくて一泊が限度かもしれない。やっぱり仲間と歩く山がいいなと何となく思ってしまった今回の山行だった。

 

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今回のコース(クリックで拡大)