晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

雨乞岳  紅葉と霧氷の鈴鹿源流 2009.11.03

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霧氷の雨乞岳

 

<メンバー>
単独

 

<山域>

 

<コース>
朝明~根の平峠~タケ谷出合~鈴鹿上高地~コクイ谷出合~七人山~東雨乞岳~雨乞岳~杉峠~鉱山跡~コクイ谷出合~根の平峠~朝明


 どうも寒気が入ってきそうなので沢歩きの気分では無い。31日の仙ヶ岳の様子から察するに愛知川源流辺りの紅葉が良さそうなのでまず朝明に向かう事にする。

 伊勢湾岸道を走っていると藤原岳がうっすら雪化粧しているではないか。去年はたしか11月の第3週辺りなので今年はずいぶんと早いなあ。このまま行き先を藤原へ変更するのは去年と同じで芸がないので同じ雪のありそうな雨乞岳に行き先を変更する。
 
※2008年の鈴鹿初冠雪
 今日は行楽日和と見込んだのか朝明駐車場は大盛況。なんとバスまで止まっている。この団体さんと一緒になったらかなんな~と思いながら歩き始める。

 伊勢谷は入るとなんと小雪がぱらついてきた。今日は晴れの天気予報のハズなのに・・、冬型の気圧配置の時は仕方がないか。堰堤の上で慌てて合羽を出している団体をパスして根の平峠を目指す。道の整備もずいぶんと進んでいて思ったよりも早く付きそうだ。峠の直下は笹が無くなり広々とした雰囲気。
 

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紅葉の千種街道

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笹が無くなった根の平峠直下

 

 根の平峠は写真を撮るだけで通過。今日は愛知川源流部をじっくり歩きたいのでタケ谷方面へ直進する。落ち葉で埋もれた古い道型を頼りに歩いて行くと辺りはいつの間にか錦に包まれている。

 

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根の平峠

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愛知川への道

 

 瀬音が近づいてきたなと思うと愛知川本流に飛び出した。紅葉は8分~9分ぐらい、この週末が見ごろだろう。以前は水面に紅葉が写り込みなんともいえない美しさだったのだが、ここも砂利が谷を埋めており、なんだか茶屋川を連想させる・・。
 川沿いをぶらぶら歩き、鈴鹿上高地の桂の木にあいさつをする。

 

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愛知川本流(タケ谷出合付近)

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紅葉は8分くらい

 

 流れが大きく蛇行し始めるとちょっとした廊下のようになってきた。登山道は左岸を高巻いているのだが、ここは谷中を飛び石と徒渉で進んでいく。両岸から覆いかぶさるような紅葉がまるでトンネルのようだ。上水晶谷出合を過ぎるとここも砂利で淵が埋まってしまったコクイ谷出合に到着。

 

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谷を遡って行く

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紅葉のトンネル

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コクイ谷出合

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いいなあ

 

 すっかり浅くなった流れを何無く越えて七人山の北東尾根に取りつく。この辺りからヘリコプターがしきりに上空を飛びまわり、「○○さん、あなたを探しています・・」と声をかけている。遭難者を探しているようだ。間違われるといけないのでなるべく気付かれないように登っていく。

 

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七人山の北東尾根

 

 思ったよりもあっさりと七人山の頂上部に着いたのは体調がいいからなのだろうか。頂上部のぶな林はすっかり落葉しており、一面、落ち葉の絨毯になり所々に雪が溶け残っている。

 

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七人山のぶな林

 

 七人山のコルまで一気に掛け下り、ここでやっと小休止。土曜日の仙ヶ岳といいなかなかのペースで歩けているかな?見上げる東雨乞岳は頭の方をうっすらと雪化粧。笹をかきわけ登っていくと、雪に濡れた笹でズボンがベチョベチョ、さっきの休憩で合羽を履いておけばよかったと思っても後の祭り。

 ここで突然目の前に登山者が現れた。てっきり反対方向に行くのだと思い、軽く挨拶をして通過したらどうも同じ方向に行くようだ。一体どこから来たのだろう・・(後から念仏ハゲを登ってきたトレイルウォーカーさんと判明)。

 

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東雨乞の登りから御在所を見る

 

 濡れたズボンのまま、風の強い稜線にいるのはまずいと思い、雨乞岳に向かって急いで歩いていく。稜線の灌木が綿菓子のような霧氷をまとっていてとても美しい。イナガ谷を覗き込むとちょうど紅葉と霧氷のコラボレーションになっていた。

 

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東雨乞岳頂上

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雨乞岳

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稲ヶ谷の紅葉と霧氷

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東雨乞を振り返る

 

 雨乞岳の頂上部は笹が勢いを増していて笹ヤブコギを強いられる。これですっかり水の滴るいい男になってしまったので、急いで杉峠まで下る
 

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大峠の沢

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雪化粧

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杉峠

 

 杉峠からは昔から丹念に踏み固められてきた古い道型にそって下っていく。傾斜がきつくなり過ぎないように上手くつけられている様は本当に関心する。谷に下りて人心地ついたので鉱山跡でお昼ご飯。ラーメのお湯が沸く間に鉱口を少し覗いてみる。

 

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落ち葉の街道

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鉱山跡の鉱口

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埋まっている・・

 

 鉱山(飯場)の遺構を眺め、古の隆盛に思いを馳せながら落ち葉の小径を歩いていく。紅葉はちょうど800~700m辺りが見ごろを迎えている。御在所辺りの派手な紅葉もいいが、こういうしっとりとした雰囲気もまたいいもんだ。

 

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水路跡?

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精錬施設?

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境内へ上がる階段

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紅葉の小径

 

 コクイ谷出合からは根の平峠に向かって忠実に登山道を辿る。神杉を超えると峠はもう目の前だ。峠ではクロオさんに遭遇。先日の御在所本谷では大黒岩にいる我々を反対側から見ていたらしい。

 

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根の平の神杉

 

 しばらく談笑していると団体さんがやってきたので下山にかかる。クロオさんとオフ会での再会を約束してお別れ。朝明で乾いた服に着替えてほっと一安心。今日は紅葉と霧氷の両方を楽しめなんだか得した気分。長期予報に反して雪が多い冬になるといいなあ。