晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

黒部源流 赤木沢 憧れの楽園遡行② 2007.08.10-12

f:id:ikuyayuuki:20200814164105j:plain

シャワークライミングに挑戦

 

<メンバー>
サークル

 

<山域>

 

<コース:2日目>
薬師沢小屋-黒部川本流-赤木沢出合-赤木沢遡行-赤木岳稜線-北ノ俣岳-太郎平小屋-薬師峠(泊)
 

 前回の記録

ikuyayuuki.hatenablog.com

 

 夜中に暑くて目が覚めた。足音をしのばせてテラスに出て見ると、こぼれ落ちそうな満天の星空。しばらく口をあんぐり空けて見惚れてしまう。これで明日の山行も好天がばっちり保障されたようだ。ワクワクしてとても寝ていられる気分ではないが、むりやり布団に体を横たえるといつの間にか眠ってしまった。

 

 翌朝、4時半のアラームで起床。ごそごそと身支度をし、テラスにでて朝食を食べる。外を見ると早くもたくさんのパーティーが出発し始めている。ヘルメットにハーネスの沢登りパーティーも5組ほどいる。我々も早く出発しなくては、と気はあせるが、隊員達はまだ眠たそう。ようやく出発準備が整ったのは6時調度。小屋の前で記念撮影し出発する。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814163957j:plain

まだ眠たそうな隊員1号(ペンギン)と2号(ひよこ)
 
 最初はやや単調な川原歩き。早く赤木沢まで行きたいが、妻はゴーロ歩きと新調した沢靴が慣れないらしく、なかなかペースが上がらない。そのうち朝日が昇って来ると遠くに黒部五郎の城塞のような姿が見えてくる。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164004j:plain

黒部五郎岳が浮かび上がる


 何回か渡渉を繰り返し進む。難しいところはなかったが、一箇所滝の横の滑りやすい岩壁をへつるところがある。ドボンしてもたいした事はなさそうだが、水の冷たさは半端じゃないので慎重に突破。お助け紐をだして後続を通過させる。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164021j:plain

慎重にね


 やがて、明るく開けた場所にでると左岸から沢が流れ込んでくる。どうやら赤木沢出合に到着したようだ。この時を待っていたといわんばかりに太陽が差し込み、水面がいっせいにきらきらと光り始める。ようやく目的地の玄関にたどり着いたうれしさに思わず万歳をしてしまう。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164028j:plain

赤木沢出合に到着 やったー


 赤木沢へ入るには腰まで水につからなければいけない。結局、左岸をへつって入ると、赤い滑床がお出迎え。そしてすぐに斜瀑が現れる。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164032j:plain

腰までつかってのへつり

f:id:ikuyayuuki:20200814164037j:plain

赤い滑床がお出迎え

f:id:ikuyayuuki:20200814164042j:plain

斜瀑が現れる


 斜瀑はどれも適度な水量と適度な傾斜、そして豊富なスタンスとホールドでどれも快適によじ登る事ができる。日差しはじりじり強くなり、水の冷たさも徐々に気にならなくなる。紺碧の青空からこぼれ落ちるような滝を登っていくと、このまま空まで登って行けそうである。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164048j:plain

さっそくよじ登る

f:id:ikuyayuuki:20200814164054j:plain

青空に向かって登っていく


 滝は次から次へと現れて休む間が無いほどの楽しさだ。だいぶ気温が上がってきたのでEちゃんは果敢にシャワークライムに挑戦。濡れなくてもいいのに敢えて水の中に突っ込むところがEちゃんらしい。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164100j:plain

次々と現れる滝群

f:id:ikuyayuuki:20200814164105j:plain

シャワーに挑戦


 時折、巻かなくてはいけない滝が出てくるが、巻き道もお花畑の中を歩くことになる。オトギリソウの仲間やイワイチョウイワショウブなど普段見ることの無い花たちが目を楽しませてくれる。ただ、あくまでも高巻き中なので気を抜いてはいけない。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164113j:plain

イワオトギリソウ

f:id:ikuyayuuki:20200814164120j:plain

イワイチョウ

f:id:ikuyayuuki:20200814164126j:plain

イワショウブ

f:id:ikuyayuuki:20200814164131j:plain

ウツボグサ


 滝を登るのにも慣れてくると遊ぶ余裕も出てきた。階段状の滝では流れ落ちる水に頭を突っ込み本当のシャワーを楽しむ。昨日からかいた汗が一気にふっとび、非常に気持ちがいい。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164138j:plain

階段状の滝

f:id:ikuyayuuki:20200814164144j:plain

本当のシャワー 気持ちいい~

f:id:ikuyayuuki:20200814164150j:plain

ご機嫌のふたり

f:id:ikuyayuuki:20200814164156j:plain

登りも様になってきたぞ


 この楽しさがいつまでも続くといいな~と思っていると遠くに稜線が見えてきた。あそこまで行くと沢登りも終わりかと思うと少しもったいなくなる。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164202j:plain

稜線が見え始める

 

 ならば、思いっきり楽しんじゃいましょうと、じゃばじゃばと水しぶきを上げながら登る。ふと横に目をやれば斜面一面のお花畑。本当に楽園に迷い込んだようなそんな気持ちになってしまう。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164218j:plain

ふと目を横にやればお花畑が

f:id:ikuyayuuki:20200814164232j:plain

おーい早くおいでよ


 いつしか太陽は頭上で輝き、水はコバルトブルーに輝いている。この景色はずっと目に焼き付けておかなくてはと思い、何度も何度も頭をめぐらして景色を眺める。あー時間よ止まれ!本当にそんな気持ちにさせられる場所だ。

 

f:id:ikuyayuuki:20200814164239j:plain

まだまだ続きます

 

続く