晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

槍ヶ岳 槍の穂先で昼寝が出来るか?③ 2007.06.24

槍ヶ岳 ご来光

槍ヶ岳と御来光

 

<メンバー>
サークル

 

<山域>

 

<コース>
新穂高温泉-槍平-飛騨沢-飛騨乗越し-槍ヶ岳山荘-槍ヶ岳槍ヶ岳山荘(泊)-槍沢-横尾-徳沢-上高地

 

 前夜は早く寝たせいか、夜明け前に自然と目が覚めた。窓を見るとどんよりと曇っているので、もう一度寝直そうと思った。しかし、よく見ると曇っているように見えたのは窓が結露していた為で、外は薄っすらと明るくなり始めていた。
 
 急いで身支度をし、カメラを持って外に出る。正確な日の出の位置が分からないので、どこでカメラを構えようか右往左往する。ちょうど東に槍の穂先があるので、重なったら台無しだなーなどと考えていると、空が燃える様に真っ赤な色に染まり始めた。

 

お、こんなのは初めてだ・・。

 

空が燃え始めた

 

 やがて、槍の穂先の右側から真っ赤に輝く太陽が登り始めた。思わず手を合わしてしまう程の荘厳な光景。御来光とはよく言ったものだ。

 

槍の横から朝日が昇る

こんな光景に出会えるなんて

縦アングルで

燃える空とBやん

 

 ひとしきり写真を撮った後、辺りを見渡して驚いた。一面が朝日を受けて真っ赤に染まっている。これがモルゲンロートというやつか。

 岩の上で構えるカメラマンたち、雪の斜面が染まる大喰岳、子槍とその向こうの山々、西鎌尾根から北に伸びる北アルプスの山達、全てが赤く染まり、全てが息を呑むほどに美しい・・。こんな光景に出会えて本当にラッキーだ。

 

カメラマンたち

赤く染まる大喰岳

子槍の向こうは白馬?

西鎌尾根のモルゲンロート

 

 感動的な朝焼けショーが終わっても朝食までは少し間があるので、再び布団に潜り込んでしまった。いやはや何とも贅沢な山行だ。

 6時の朝食も美味しくいただき、出発の準備。ザックを背負い、槍沢のカールに飛びこむ頃には空には薄く雲がかかり、一面灰色の景色に変わってしまった。雨が降り出す前に急がなくてはいけない。

 

槍沢を下る

槍ヶ岳を振り返る

結構急だなー

 

 登りはあれほどきつかった雪渓だが、下りは実に快適。シリセード、グリセードを交えながらどんどん下って行く。傾斜が緩くなり、雪解けの水の音が聞こえだすとあちこちにクレバスが走っている。なんともアルプスらしい?光景だ。
 
 雪渓がすっかりなくなり、轟音を立てて流れる川の横を歩くようになると、ババ平のテン場、槍沢ロッジを通過する。いつの間にか周りは大木の樹林に囲まれ、山から下りてきた雰囲気になる。

 

槍沢ロッジに到着

川沿いの道をテクテクと

 

 一の俣を過ぎる頃に雨がぽつぽつ降ってきた。美しい日の出を眺めてからまだ5時間もたっていない。今回は本当に幸運だった。道はほとんど平坦になっており、合羽を着こんでも歩くのはそれほど苦にならない。槍見河原で槍ヶ岳の見納めをする。

 

槍見河原(もうあんなに小さい)

 

 ここから先は退屈な歩道歩きだ。雨なので足元の花に目をやる余裕もなく、競歩に近い歩調でぐんぐん飛ばす。それでもマイヅルソウの群落は雨のなか美しかった。

 

 

 横尾に着くと車も走れる道がついており、気持ち的には帰り着いた気分。ただ、道標を見ると上高地槍ヶ岳のちょうど中間地点にあたるようだ。小休止の後、ゲンナリしながら雨の中をひたすら歩く。

 

横尾(まだ半分・・)

 

 徳沢園で昼食をとり、上高地を目指す。明神池が近づいてくると、山装備で無い人たちが笠を持って歩いて来るのとすれ違う。おなじバッチをつけているところからすると観光バスのツアーの人たちだ。もうすぐ上高地も近い。

 

徳沢園

 

 なんだかあたりが騒がしくなり始めたなと思うと、もうそこは上高地だった。梅雨の時期とは思えない多くの人たちでごった返し、合羽を着込み、ずぶぬれの私達はほんの少数派で奇異の目で見られているようだ。それでも、お約束どおり合羽橋で記念撮影。
ようやくゴール。

 

河童橋に到着

河童橋の合羽軍団

雨でも大混雑の上高地を後に

 

 上高地のターミナルでタクシーを捕まえ、新穂高温泉へ車の回収に向かう。1台あたり1万円と少しのタクシー代。さらに新穂高温泉ではホテルの日帰り温泉で汗を流す。今回は本当にリッチな山行だ。

 

 高山で肉好きメンバーの提案で飛騨牛を食べる。うーん、ますますリッチ(懐は寒くなってきた)。

 

 あとは、ひたすら高速道路を走り、一の宮へ向かう。一宮出発後、48時間以内には帰ってこれた。

 

 今回の山行は、出発と共に雨が止み、降りてきたとたんに雨が降り出した。天候の面ではピンポイントのタイミングで歩けたのではないか。
 
 初めての槍ヶ岳でこんな又と無い幸運に恵まれた。またまた仲間達と山の神様に感謝しなければいけない。みんなありがとう!!。