晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

秋分の御在所~雨乞周遊 2006.09.23

f:id:ikuyayuuki:20200609223035j:plain

天指し岩と夕日

 

<メンバー>
単独

 

<山域>

 

<コース>
鈴鹿スカイライン~(一の谷)~御在所山上公園~群界尾根~クラ谷)~東雨乞岳~三人山~沢谷峠~(群界尾根)~御在所山上公園~(峠道)~武平峠

 

 「暑さ寒さも彼岸まで」9月も中旬を過ぎると暑い暑い鈴鹿の山もいくらか涼しくなってくる。と同時に日没はどんどん早くなる。9月いっぱいは沢を楽しもうかとも思ったのだが、体力強化も兼ね、ロングコースを歩いてみようと思った。

 

今回のテーマは次の3点を踏まえコースを決めた
①御在所一の谷(本谷)に仲間を案内する為の下見
②御在所~雨乞岳への最短コースの探索
③お彼岸、真西に沈む夕陽を撮影

 

 今回も武平峠に自転車をデポ。日没から真っ暗になる前に下山する為、最短時間で降りられる峠道を使うためだ。

 

 スタートは「御在所山の家」の裏から。鈴鹿に小屋泊まりで登りに来る人はあまりいないと思うが、今でも営業しているようだ。

 

 

 山の家の裏から谷沿いの登山道らしく踏み跡をしばらく登ると、谷に下りる箇所にでる。水は少ないがよじ登るには面白そうな滑滝がある。でも今日は登山靴なので濡れないように神経を使う。足袋を持って来ればよかったと少しだけ悔やむ。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222857j:plain

滑滝が流れる

 

 今日は空気が乾燥していて気持ちが良い。が、日差しは強く、しばらく登ると汗が滴り落ちる。こんな天気の良い日は登山者も多く、2~3のパーティーを追い越しながら登って行く。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222902j:plain

日差しが強い

 

 ゴーロが転がる谷を両手両足を使いながらよじ登るのは、足だけの山歩きより楽しい。谷底から上を眺めれば、うっそうとした樹間からロープウェイのゴンドラが見える。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222908j:plain

はるか頭上にロープウェイのゴンドラが

 

 やがて、巨大なチョックストーンを抱えた不動滝に出る。なんだか不気味な雰囲気。この滝は前回、巻き道に気付かず直登しようとして冷や汗をかいた場所だ。今回は眺めるだけにして、左側から巻き。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222913j:plain

不気味な不動滝

 

 不動滝の上に出ると巨石がぐんと増えてくる。途中の二股には右側に鉄塔巡視路への標識があるが、ここは左をとるのが正解。おなじく二股で休んでいたご夫婦と共に登る。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222918j:plain

水は涸れ、岩がゴロゴロ

 

 ふと、足元を見るとなにやら不思議な物体が落ちている。茶色にさび付いた滑車のようだ。ん、ロープウェイの部品だ。こんなところに落ちているとは!。うかうか歩けないなと思うのと同時に、気軽にロープウェイに乗れないな、と思った。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222924j:plain

ロープウェイの部品が?

 

 水はすっかり涸れ、ゴーロのなかをひたすらよじ登って行く。傾斜はどんどん急になり、てを使うのと足を使うの比率がほとんど同じになってくる。気がつくとずいぶん高度を稼いでいて、ゴンドラとの距離が近くなっている。ゴンドラからヤッホーの声がしきりにかかる。

 

 見られているのを意識すると、かっこよく登ってやろうと思ってしまうが、何がかっこよいのか良くわからなかったので普通に登る。

 

 大きな岩の陰に大文字草が見える。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222927j:plain

ロープウェイと並行していく

f:id:ikuyayuuki:20200609222932j:plain

殺風景な谷底に咲く、大文字草

 

 ゴンドラのなかと話しが出来るくらいの距離になると山頂も間近だ。右手にロープウェイの山上駅が見えてくる。右手に行くと鉄塔巡視路から山上駅に上がる道になるが、大黒岩を経由したかったのでまっすぐ谷を詰めて左手からロープを使い尾根によじ登る。尾根の踏み跡を少し下ると大黒岩だ。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222938j:plain

ロープウェイ山上駅

 

 大黒岩は誰かが鈴鹿随一の好展望といっていたが、その言葉に嘘は無いだろう。眼下には伊勢湾と伊勢平野が広がり、鈴鹿の名峰、鎌ヶ岳が目の前に見える。ゴンドラが谷を挟んで目の前を横切り、高度感がある。高所恐怖症の人にはチョット怖いか。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222943j:plain

大黒岩より一の谷を眺める

 

 大黒岩でしばらく休憩したあと、一の谷新道を使って山上公園へでる。行楽日和のせいか、たくさんの観光客がいる。よそ以上に汗をかいたので、ロープウェイ駅の売店でジュースを買って飲む。御在所はこういうズルが出来るのがよい。ここまで2時間弱。良いペースで登れた。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222948j:plain

秋晴れの御在所スキー場

 

 青い空と乾いた風を心地よい。御嶽神社からは目指す雨乞岳が大きな姿を見せている。次の目的は、あそこまで何時間でいけるかだ。

 

 目指す群界尾根は御在所山上公園、御嶽神社の裏手から南西に下りていく尾根である。地図上では行政上の境界線を示す破線が入っているので一見登山道のように見えるがそうではない。

 

 ただ、けっこう歩いている人もいるようで、入り口には踏み跡がはっきりしており、目印テープもしっかり着いている。膝までの笹と2次林の斜面を下る。

 

 沢谷峠で武平峠からの登山道に合流するはずだが地形がはっきりしないので迷う。いつの間にか踏み跡も無くなっている。地図でだいたいの辺りをつけ、尾根を左に下りると登山道にでた。ここからは歩きなれた道だ。昼を少し過ぎたぐらいなので下山者とすれ違う。道端にはトリカブトが咲いている。今年初めてだ。

 

 

 このコースは終始日の差し込まない谷を歩くので少し雰囲気が暗い。一人であるいていると陰鬱な気持ちになる。雨乞岳への登路は鈴鹿の他の山に比べ山深い。

 

 クラ谷を詰めると七人山のコルにでる。右には去年テント泊した七人山、左手には東雨乞岳に向かう樹林の回廊が伸びている。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609222959j:plain

樹林の回廊(七人山のコル)

 

 東雨乞岳の最後の詰めは背丈以上もある笹のトンネルをくぐらなくてはいけない。何度通ってもうんざりする。中腰で斜面を歩くのは堪える。時々藪の上に顔を出して息継ぎをする。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609223004j:plain

笹のトンネル

 

 トンネルを抜けるとそこは一面の笹原の海が広がる。あと一息で東雨乞岳だ。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609223010j:plain

笹の海

 

 東雨乞岳山頂は360°のパノラマが広がる。雨乞岳本峰、鎌ヶ岳が秋晴れのなかくっきり浮かんでいる。やっぱりかっこいい。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609223014j:plain

雨乞岳

f:id:ikuyayuuki:20200609223018j:plain

鎌ヶ岳(かっこいい)

 

 この時点で午後2時。夕焼けを撮影する為には日没時刻である午後5時50分までに御在所山頂まで戻らなくてはいけない。帰路は三人山を経由して再び沢谷峠に戻り、群界尾根で御在所までもどる。

 

 三人山ルートは尾根沿いに歩くので明るい雰囲気。雨乞岳へのルートに使えるいいコースだ。(下部ではちょっと不明瞭な箇所があるが)

 

 群界尾根に乗り、御在所への最後の登りは流石に堪えた。10歩あるいては休憩を繰り返す。それでもなんとか山上公園にたどり着く。日没まではいくぶん余裕があるので公園の中をうろうろ歩く。ロープウェイはまだ動いているので、観光客も残っている。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609223022j:plain

夕暮れの御在所山上公園

 

 撮影ポイントに選んだのは山上公園の西の端に位置する「望湖台」。さすがに人はいない。日没まで1時間ほどあるので一息いれる。

 

 ここは琵琶湖も眺められるいい展望台なのだが、さーとガスが広がってきた。雨乞岳にかかりそうな太陽が、黄砂に包まれたように煙る。幻想的な風景。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609223026j:plain

雨乞岳に沈む夕陽

 

 ここで、ヘッデンをチェックするとザックのなかで点灯していたようだ。電池が残り少ない。なんたる失態。これでは帰りが不安なので、少し早めに降りることにする。
ちょうど途中の登山道で日没を迎えるだろう。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609223030j:plain

御在所の夕焼け①御嶽神社

 

 峠道からの下りは約30分。けっこう足場の悪いところもあるので油断できない。それでも、夕陽が空を赤く染めるのを眺めながら歩くのは気持ちが良い。ところどころで写真をとり、日没とほぼ同時に武平峠へ到着。

 

f:id:ikuyayuuki:20200609223035j:plain

御在所の夕焼け②天指し岩

f:id:ikuyayuuki:20200609223039j:plain

日没・・・

 

 武平峠からは自転車で鈴鹿スカイラインダウンヒル。あっという間に御在所山の家に到着。残った車は1台だけ。既に暗くなった湯ノ山温泉で汗を流し、さっぱりして帰路に着いた。

 

今日もよく歩いた。
累積標高差 +1502m -1190m 
歩行距離   11km

 

f:id:ikuyayuuki:20200609223042j:plain

今回のコース(赤:往路 青:復路)