晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

新緑のダイラへ  2006.05.04

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新緑のダイラ

 

<メンバー>
単独

 

<山域>

 

<コース>
時山集落~毘沙門谷出合~毘沙門谷~(峠)~ダイラ~P597~琵琶池~時山集落

 

 昨日の御池岳では新緑が今ひとつだった。新緑前線(そんなものがあるとすれば)は標高700mくらいまで。そうなればピークにはこだわらず、新緑がゆったり楽しめるところに行くとしよう。という事で二日続きの山行となるが三国岳の麓、ダイラに出かけることにした。

 

 コースは毘沙門谷をあがってダイラに下りる周回ルート。このコースであれば比較的短時間で回れる。

 

 時山集落は山間の部落。車が普及している現在は幹線道路まで十数分で行くことができるが、僻地であることには変わりは無い。関ヶ原の戦いで島津氏が逃走した"五僧越え"の街道沿いにあたり、集落の成り立ちは興味深い。
 
 時山集落に車を止め、牧田川沿いに林道を歩く。この道がいわゆる"五僧越え"で五僧峠を越えれば近江の国である。道の先には廃村になった五僧集落がある。道路整備が進んでおり、立派な道が滋賀県側に通じるようだ。毘沙門谷出合へは林道を離れ、川沿いの道を歩く。途中には現役の炭焼き窯がある。

 

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昔の街道を歩く

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現役の炭焼き窯

 

 毘沙門谷の入り口にもまだ稼動中の炭焼き窯がある。このあたりは山間でも比較的近くまで炭焼きをしていたようだ。

 

 谷は両岸が切り立っており、少し閉塞感を感じる谷だ。歩く人も少ないようで谷中は荒れている。しかし、良く見ると石組みや道の跡が残っており、昔は物資(炭?)運搬の重要なルートだったようだ。

 

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狭い谷に道跡が残る

 

 歩き始めてしばらくはどんよりと曇っていたが、段々と明るくなってきた。雲の間から日が差し込み、谷を明るくする。

 

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明るい谷歩きになってきた

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昔の丸木橋が残る

 

 荒れた谷を登って行く。傾斜はゆるく水量も少ないので荒れているがそれほど危険ではない。ところどころに昔の道跡が残っており、それをたどると歩きやすい。

 

 左岸側の支流の奥に段々になった石組みが見える。ワサビ田かもしれない、こんな山中の谷に人力だけで構造物を作る昔の人には恐れ入る。

 

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ワサビ田跡?

 

 更に登っていると四角い石組が見えてきた。炭焼き窯跡とはまた違い、明らかに建物が建っていたような跡だ。この谷の中に人が住んでいたのか、それとも鉱山に関係する施設なのか・・人の痕跡が深く残る興味深い谷だ。

 

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屋敷跡?

 

 いつの間にか水量はうんと少なくなってきた。峠はもうすぐだ。見上げると大きな山桜の木が2本立っている。谷を歩いている間ずっと桜の花びらが流れていた。この木から散った花なのだろう。花は盛りを過ぎていたが、花びらがひっきりなしに舞っていて美しい。足元にはカタクリの花も咲いている。

 

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山桜の大木

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カタクリ

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峠(名前は無い)

 

 峠から一気に斜面を下ると新緑のニ次林に包まれた広大な平坦地にでる。ダイラだ。黄緑色の葉に日の光が透けて、当たり一帯がさわやかな空気に包まれている。鳥の声が絶えず響いているが、静かだ。おまけに今日は誰一人会っていない。こんな場所でのんびり昼寝をしたり、本を読めたら最高だろう。

 

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新緑のダイラ①

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新緑のダイラ②

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新緑のダイラ③

 

 のんびりしていたいがどうも体調がおかしい。やたら汗がでるし喉の調子も悪い。ひょっとしたら風邪をひいたかも知れないので昼寝をあきらめて下山することに。

 

 ここは昔、マンガンの鉱山があたっという。鉱山から鉱石を運び出したというソリ道(?)にそってP597へ向う。琵琶池を経由し、杉の植林の中を時山集落まで一気に下る。

 

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琵琶池

 

 琵琶池から時山集落までは30分足らず。まだ昼過ぎだった。明るい太陽の日差しがもうすぐ春が終わり夏が来ることを感じさせた。今度は紅葉の頃に来てみよう。

 

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時山集落

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今回のルート