晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

毘沙門谷からダイラ 静寂の雪と紅葉ハイク 2007.11.24

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落ち葉に埋もれる古の遺構


<メンバー>

サークル

 

<山域>

 

<コース>
時山-毘沙門谷-峠-ダイラの頭-ダイラ-びわ池-時山



 週の初めに寒波がやってきた。標高600m以上は雪が積もったようで紅葉の具合が気になる。今回で4週連続の鈴鹿紅葉ツアーも最終回、今日の行き先は鈴鹿北部の奥座敷「ダイラ」だ。晴天の3連休ど真ん中の朝、三岐鉄道西藤原駅に集合。藤原岳を見上げるとうっすらと雪をかぶっている。

 

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雪をかぶった藤原岳


 メンバーが集まった所で時山集落へ移動。時山は旧上石津町の山間の集落で、平家の落人伝説のある場所だそうだ。牧田川沿いに谷にへばりつくように家が建っている。

 

 車一台を下山場所である集落な中にデポして、さらに牧田川上流へ向かう。林道が地道に変わったところで車を置き、毘沙門谷の入り口まで川沿いの旧道を歩く。谷の入り口は今なお稼動している炭焼き窯があり、今日もモクモクと煙を吐いていた。

 

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稼動中の炭焼き窯


 毘沙門谷はすっかり荒れ果てた小さな谷だが、昔は炭焼きの盛んな場所だったようだ。ところどころに立派な石組みの道跡が見える。ただの炭焼き道にしてはずいぶん立派なような気がする。

 

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昔の道の痕跡が


 道があるといっても谷は荒れ果てており、谷沿いの歩きは右に左に渡渉を強いられる。うまい具合に石があるわけではなく、結構きわどいバランスを強いられる。今日は人数も多いので思ったより時間がかかりそうだ。

 

 途中、朽ちかけの丸木橋を渡ろうかと思ったが、みんながとても無理だというので断念する。

 

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飛び石はリズムとバランスで

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朽ちかけの丸木橋が残る

 

 谷沿いには比較的新しい石組みが次々と現れる。四角い石組みもあり、明らかに炭焼き窯とは異なる構造物もある。小さな支流との出合いになっている場所では立派な石垣と山の中には珍しい竹も生えている。小屋でも建っていたのだろうか。

 

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あちこちに残る炭焼きの痕跡

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これは屋敷(小屋)跡?


 なだらかな谷なので、なかなか高度を稼ぐことは出来ない。それでも、徐々に傾斜がきつくなってくる頃に、辺りが何やらヒンヤリとしてきた。雪だ。標高500mに満たないのに・・。ここは谷中で日が差さず、いつまでも残っているのだろう。雪の上に無数の落ち葉が落ちており、めったに見る事の無い景色を見せてくれる。

 

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雪が現れる

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雪の上の落ち葉


 大きな山桜のある斜面をつめると峠にでる。雪の積もった急斜面はズルズルすべり、なかなか前に進まないが、いつの間にか開けた頭上には青空が広がり、黄葉の黄色と雪の白でとても明るい雰囲気だ。

 

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詰めは雪の斜面を急登

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雪と黄葉の峠


 予定ではここから急斜面を下ってダイラに下りるつもりだったが、雪がついているので、ダイラの頭まで回ることにする。なので、お昼ごはんはここで食べることに。思いもしなかった雪の為、小さなビニールシートにお尻をくっつけて座らなければならない。こうすると意外と暖かい。

 

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くっつくと暖かいね


 ゆっくりとお昼を食べた後は、一旦ダイラの頭まで雪の斜面を登る。雪についている足跡は鹿だけ。やわらかい雪の斜面をサクサクと登っていく。

 

 ダイラの頭は見通しの聞かないピークなので、すぐにダイラに向かって下降開始。ここは丁度県境尾根に当たってるので、テープがあり、それに誘導されるように三国岳から阿蘇谷に下りる登山道に合流する。

 

 一般登山道は落ち葉でフカフカで歩きやすい。ただ、雪が混じっているので足を滑らせないように気をつけないといけない。

 

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足元に気をつけて


 登山道が沢沿いに変わり少し下ると、←三国岳/時山→の標識が現れる。ここがダイラの入り口だ。谷の左岸をほんの少し登ると、辺り一面落ち葉に覆われたダイラの端にでる。

 

 ここにも昔の遺構が数多くあるが、木の根が入り込み、落ち葉に埋もれており、ずいぶんと時間がたったんだなー・・なんて思ったりする。

 

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落ち葉に埋もれる昔の石造り


 ここは何処を歩いても問題の無い気持ちのいい平坦地(方向を間違えるといけないが)なので、のんびりお茶が出来るところを探して歩き回る。ダイラがはじめてのメンバーからは歓声があがる。黄葉はまだピークの一歩手前ぐらいで、あと一週間は楽しめそうな感じ。

 

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日差しがこぼれる

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さくさくの落ち葉


 石がところどころに顔を出している場所で腰を下ろし、ティータイムの開始。お茶を入れ、Tちゃんの作ってくれたケーキを食べながらのんびりおしゃべり。ふと話が途切れると、風と落ち葉がハラハラと落ちる音だけになり、あたりが静寂に包まれる。

 

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さあ、ティータイム

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Tちゃんのケーキ


 秋の夕日はつるべ落とし・・。あまりのんびりしていると日が暮れてしまうので下山にかかろう。集合写真を撮った後、何処までも続く落ち葉の絨毯をサクサク踏みしめて歩く。

 

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集合~

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静寂の疎林帯


 台地の幅が徐々に狭まり、左手に尾根が近づいてくると、一気に斜面を登り、尾根伝いにびわ池に向かう。谷の中はすでに日陰になっていて少し暗くなっていたが、尾根に上がるとまだ日が差しており、明るい雰囲気に様変わり。びわ池も涸れることなく落ち葉にうずもれていた。

 

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落ち葉を踏みしめて

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一面の落ち葉

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びわ

 

 びわ池からは植林帯の急斜面を一気に下降。明るく開けた二次林とは異なり、手入れにされていない杉の植林帯は夜のように真っ暗だ。傾斜がきついので転ばないように気をつけて。

 

 杉の間から建物の屋根が見えてくると時山の集落はすぐそこだ。わさび田の横を抜け、舗装された道に出ると、のどかな山村の風景が広がっていた。

 

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時山へ到着

 

 車を回収し、仕上げは藤原のアタントで反省会。ここでもおいしい紅茶を飲みながら、もうすぐ雪山だね、次は何処へ行こうかなんて話をしていると時間はあっという間に過ぎる。

 

 店を出て空を見上げるときれいな月が出ていた。今日はこの後、妻と二人で聖宝寺の紅葉を見に行く予定。「あじさいの湯」で汗を流してさっぱりしようか。