晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

藤原岳 もうすぐ春ですね  2006.03.05

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鈴鹿に春の訪れを告げる福寿草

 

<メンバー>
単独

 

<山域>

 

<コース>
山口~聖宝寺~8合目~藤原山荘~天狗岩~頭陀ヶ平~木和田尾~山口

 

 前日のテント泊は不発に終わった。しかし今日(日曜日)も晴天で山が呼んでいる。雪山で遊んでばかりいたら、いつの間にか花の便りが聞こえてくる時期になっていた。

 

 鈴鹿の春といえばやはり福寿草。このめでたい名前の花が心を癒してくれるだろう。そう思って藤原岳に出かけることにした。

 

 今回は楽に歩きたいので、荷物は思いっきり軽くする(といっても普通の日帰り装備)、アイゼンは持たず、ピッケルも持たず、ワカンは用心の為持つ。

 

 今回のコースは山麓も歩くのであえて登山口に車を置かず、藤原簡易パーキングにとめる。暖気運転もかねて、東海自然歩道及び県道を足早に歩く。

 

 坂本谷の大堰堤を過ぎると、聖宝寺登山口まで30分で到着。いつもはいきなりの急登に息が弾むが暖気運転をしたせいか、調子が良い。休憩を極力少なくし黙々と登る。まだ、三岐鉄道の登山客が来ていないせいか登山道は静かだ。小鳥(カラの仲間?)の鳴き声だけが聞こえる。

 

 5合目のあたりでようやく福寿草を一株発見。朝早いせいか、まだ開ききっていな。でも初物なのでカメラに収める。

 

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今年初めてお目にかかる福寿草

 

 8合目で大貝戸道と合流しても登山者2人としか合わない。本当に春の藤原?と思ったが、まだ早いのだろう。とにかく山は静かな方が良い。

 

 冬道は雪で堅く凍っていたが、たくさんのトレースがステップを切ってあるので、まるで氷の階段を登るが如く、高度を上げて行く。9合目でさらにちらほらと福寿草を見かける。黄色い目立つ色なので、花に疎い私でもすぐに見つかる。
              

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福寿草② 9合目付近

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福寿草③ まだつぼみだ

 

 藤原山荘まで聖宝寺から2時間弱で来ることができた。藤原山荘の周りにもちらほらと咲いていたが、まだ爛漫とまでは行かない。展望丘の雪もだいぶ融けた様だ。

 

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藤原山荘より、展望丘

 

 昼食には時間が早いので天狗岩方面へ歩き始める。雪は積もっているが堅く締まっており、ワカンの出番は無い。気温が低めのせいか、グスグスにもなっておらず、歩きやすい。

 

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天狗岩へのプロムナードより展望丘
地表が顔を現している

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今日も青空に恵まれた

 

 天狗岩への道すがら、ここでも福寿草をちらほら見かけた。まだ開ききっておらず初々しい。しかし、この黄色を地中でどうやって作り出しているのだろう。

 

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福寿草④(天狗岩付近)         

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福寿草⑤(天狗岩付近)

 

 福寿草の写真をとっていると、いきなり木々がざわめきだし、パキパキと氷を割るような音が響いてくる。みると周りの木についた氷が気温の上昇とともに降ってきたのだ。まるで木々のざわめきを聞いているようで不思議な気分になる。
 

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木々から氷が降ってくる

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落ちてきた氷が雪の上に
(写真では分かり難い)

 

 天狗岩では大展望が広がる。今日は晴れているが遠くはかすんでいる。昨日涙を呑んだ御在所、雨乞が南の方にかすかに見えている。北には伊吹、霊仙が美しくそびえる。

 

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天狗岩の展望

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霊仙、伊吹 その向こうには白山が

 

 気持ちの良い尾根歩きを続ける。誰とも会わず、小鳥だけが周りで騒いでいる。気持ちの落ち着く時間だ。頭陀ヶ平に近づくと、鉄塔をカンカンと叩く音が響く。だれかいたずらしているのかと思ったら、ここでも解けた雪が鉄塔を叩いているのだ。

 

 展望の良い広場で昼飯にするが、カンカンとうるさく、ときおり氷の塊が降ってくる、怪我をする心配は無いが、鍋の中に落ちてきたのには閉口した。結局、立って、氷が降ってこないところをうろうろ歩きながら食べる。なんとも落ち着かない昼食だ。

 

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頭陀ヶ平からの展望

 

 昼食を終えると後は下るだけ。御池岳の巨体を左手に見ながら白船峠へ到着。ここから先週、登ってきた木和田尾を下る。峠直下には結構雪が残っており、それがまた堅い。トラバースにはスリップに注意しながら歩く。この尾根道には花がないのでつまらない。

 坂本谷は通行止め。ここ数年、台風シーズンには頻繁に土石流が発生しているので、歩かない方がよい。

 

 最後が冷川谷に出ると面倒なので、尾根を直進し、急斜面の杉の植林帯を抜けて東海自然歩道にでる。オーソドックスなコースだったが、なかなか充実した山行だった。福寿草は来週以降が見頃だろう。

 

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御池岳の巨体

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雪に映る木の影が美しい

 

次は仲間たちとの花見山行だ。