北アルプス 前穂高北尾根② 2019.06.02
<コース>
涸沢ヒュッテ(4:40)~5.6のコル(5:50)~北尾根~前穂高(12:00~12:20)~岳沢ヒュッテ(16:40)~上高地(18:10)
翌朝はさっこちゃんに越されて慌てて集合場所に向かう。シュラフとマットはテント組が持って降りてくれるので身軽になったかな。
涸沢カールままだまだ雪の世界なので冬靴にアイゼン、ピッケルの重装備で5.6のコルを目指す。見る限り、北尾根を目指すパーティーは居なさそうなので、今日は北尾根貸し切りの予感。寝起きの体に雪の急登は堪える。
5.6のコルからルートを見ると所々雪は残っているが何とかアイゼン無しで登れそう、心の中でガッツポーズ。ここでアプローチシューズに履き替え登攀準備。Ⅴ峰の登りは普通の登山道を登る程度の難易度だが、上部に少しだけ雪田が残っていたのでそこだけ神経を使った。
4・5のコルで後続から来たガイドパーティーに先を譲る。4峰の登りを核心と記載している記録もあるので浮石に注意しながら慎重に登って行く。大きな岩に行く手をふさがれたら奥又白側をトラバースし頂上は踏まずに通過。ロープは出さなかったけど適度な緊張感で面白かった。
3.4のコルへ雪のクライムダウンをするといよいよ3峰の登攀だ。ちょうど先行のガイドPが登攀に掛るところだったので見学がてらしばし休憩。
コースが空いたら我々の番だ。1P目は最も優しい左ルートからトライ。最初はなおちゃんがリードでスルスルとロープを伸ばす。セカンドのなべちゃんが見えなくなったらいよいよスタート。
トラバース気味に進んで行くがホールド、スタンスも豊富で特別なクライミング能力はいらない感じ。ただ、高度感は半端なく、ミスをしたらただでは済まないので3点確保で慎重に行く。アイゼン登攀でリードするのはまだ怖いかも。
残置のある小テラスにたどり着くとなべちゃんが2Pをスタートしたところだったので、私もピナクルで支点をとり、もっちゃんを迎え入れる。思ったよりもサクっと登ってきて「楽しかった」という辺りは流石だなあ。
2P目は少し登ってテラスに出たら下から見えていたオープンブックのルンゼの中を少し登った所でピッチを切る。ルンゼの中には雪が残っていたが、アプローチシューズでも問題ないレベル。
3Pはルンゼの中を更に登って少し開けた所まで。ホールドスタンスが細かく、ここが一番登った感があった。3P終了後、少し小休止。後は実質ロープが必要な難易度では無いがロープを繋いだまま、3峰の頂上まで進む。
3峰から2峰には登りは無く、最後はガレガレのリッジを平行移動して末端からⅠⅡのコルに向けて懸垂下降。ここでなべちゃんの新品ロープがキンクしてちょっと時間のロス。コルに降り立てば、あとは普通に登ってⅠ峰(前穂高頂上)まで。
とりあえず前穂高初登頂。とは言っても拍手をしてくれるギャラリーは誰もおらず、不思議な静けさが漂っている。困難の乗り切ったというより、訓練の成果を活かして気持ちよく登れたって感じ。それよりも問題は下山だ。
頂上で昼食休憩の後、冬靴+アイゼンに履き替え下山開始。先週のガイドパーティーの軌跡に従って奥明神沢の左俣を下ろうとしたが、これが大失敗。傾斜の急な雪渓は歩いて下りるには怖すぎて、殆どの距離をバックステップで降りる羽目に・・(時にはロープを出して)。
所々にある登りのトレースでここがルートであると言い聞かせながら下りて行く。途中、なべちゃん行方不明事件もあり、緊迫度MAX。奥明神沢の本谷への出合直前には雪が無くなり滝に行く手を阻まれる。幸い支点になる立木があったので懸垂下降で難を逃れ何とか岳沢ヒュッテにたどり着いたのが16時半。
平湯行の最終バスには間に合わない事が確定したが、釜トンネルが閉まるまでにはタクシーを捕まえなければと最後の力を振り絞って上高地まで。何とか18時過ぎにタクシーをひろい無事アカンダナまで戻る事が出来た。ふう・・・。
長い間憧れていた前穂北尾根。登るの思ったよりも優しく正直、こんなもんなという感じ。更に渋滞も無かったのに最終バスに乗り遅れたのはやっぱり総合力が不足していたのだろう。
<主な反省点は以下>
北尾根の登り、空いていた割には時間がかかった。登攀、ロープワークはそれほどもたついた訳ではなかったので休憩が多かったか?(スケジュール管理が甘い)
下山ルートについては冷静に考えれば尾根を歩いて最低鞍部まで行き、雪渓の下降距離が一番短いルート(奥明神沢)を選ぶべきだったが、なぜか先週のパーティーのGPS軌跡をたどり、雪渓の下降距離が長いルートを選択してしまった。事前に全員で相談確認出来ていればこうはならなかったと思う。
とにかく、登攀にばかりに気を取られ、下山ルートの吟味がおろそかになってしまった。特に一般ルートが使用出来ない残雪期であればなおさらだ。ここ辺りはまだまだ反省しなければいけない所。(怖い思いをさせて申し訳ない)。
終わり