晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

御在所 冬の扉 2005.12.03

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ガスに煙る御在所一の谷本沢

 

<メンバー>
単独

 

<山域>

 

<コース>
本谷(一の谷本沢)~御在所山頂~中道

 

 気圧配置は思いっきり冬型となっている。先週は紅葉の残る鈴鹿だったが、そろそろ雪の便りも聞こえてくる頃だろう。夕方に用事ができたので短時間で登れる御在所に行くことにした。

 

 コースは未踏の本谷(一の谷本沢)を選ぶ。晴れていれば大黒岩からの展望が望めるだろう。

 

 鈴鹿スカイラインの料金所跡に車を置く。このあたりは丁度紅葉の見頃でイロハカエデが自然のものとは思えない鮮やかな色で輝いている。御在所を見上げると山頂部は雲の中だ。風も強い。強風で雲が晴れてくれることを祈りながら「御在所山の家」の裏から本谷コースにはいる。
 

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 鈴鹿スカイラインのイロハカエデ

 

 本谷はこのところの少雨のせいか、水量は極端に少ない。もっと厳しい登りになると想像していたが、思っていたより楽に行けそうだ。谷の脇の踏み跡もはっきりしている。大きな岩を飛び越え、よじ登りながら高度を上げて行く。

 

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巨石の転がる谷を登る

 

 40分ほど登ると浮石を抱えた不動滝が現れた。暗い洞窟のようで不気味な姿を見せている。しかし水はほとんど流れていない。右側に直登ルートが無いか少し探したが、とても登れるものではない。しばらくどうしたものか思案していたが、少し手前にはっきりとした巻き道があるのを見落としていた。巻き道を登り滝の上部へ出た後は完全に伏流となった谷を淡々と登りつめる。

 

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不動滝

 

 高度が900mを越えた辺りで雲の中に入ったようだ。ガスが濃くなり雪混じりの雨がぱらついてきた。足元の石が濡れると滑るので厄介だ。周りの木々にうっすらと雪が積もっている。まだ気温が低いので融けておらず、樹氷のようになっている。

 

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雪化粧の谷①

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雪化粧の谷②

 

 ガスのせいで視界はほとんど利かず、頭上を走っているはずのロープウエイの支柱すら見えない。かすかにワイヤーの軋む音が人の声のように聞こえる。先行者の姿は見えないが雪の上に踏み跡がある。ルートは間違っていないようだ。

 

 やがて、ゴンドラ点検路の看板があらわれた。このまま谷を詰めるてもあるが雪が激しくなると厄介なので点検路を使う事する。
 

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視界はほとんど無い

 

 鉄梯子を登り、はっきりとした点検路を歩くとロープウェイの鉄塔が目の前に現れた。正面に大黒岩が見えるが霧の中にかすんでいる。突然、空中からロープウェイのゴンドラが現れる。こんな天気の日にもロープウェイで上がってくる観光客はいるようだ。
 
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 霧の中に突如現れるゴンドラ

 

 山頂公園はガスに包まれており視界は全く聞かない。樹氷が美しいが背景が灰色なのでイマイチ映えない。こんなところに長居は無用だが、体が冷えたのとかなり空腹なので、湯を沸かしラーメンを食べる。しかし、視界の利かない曇天の下、ぬるいラーメンを一人ですすっていると暗い気持ちになってくる。

 

 ロープウェイの観光客は寒い寒いといいながら予想外の積雪に嬌声を上げている。彼らは何の目的で来たのだろうか?紅葉には時期が遅いし、樹氷には早いのだが・・・

 

 下山は中道を使うので朝陽台まで歩く。そこで不思議な足跡を見つけた(写真参照)。鹿のものとは明らかに違う。人間の履く履物のようだが踵が無い。カモシカの足跡を見た事は無いが、ひょっとしたらカモシカがこんなところを歩いているのか・・・。まさかカモシカセンターの飼育員が散歩させている訳でもあるまい。

 

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山頂公園の樹氷

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謎の足跡

 

 帰路はアイスバーンになっているかと思ったがその心配は不要だった。ひっきりなしに登りの人とすれ違うので、カニの横ばい付近では渋滞待ちとなった。

 

 スピードを上げてどんどん降りてくると900m付近で雲から出た。下界は晴れており、伊勢湾から対岸の知多半島まで見渡せる。もう少し時期が過ぎれば安定した晴れの日も出てくるだろう。展望はそれまでのお預けにしておこう。

 

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下界は晴れていた

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雲に覆われた山頂部

 

 キレット、地蔵岩、おばれ石を通過すると登山口はすぐそこである。鈴鹿スカイラインは結構な車の数だ。あと1週間もすれば冬季通行止めとなり、本格的な冬がやってくる。

 

 今日はその冬の扉を少しだけ開いた山行だった。