晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

御在所 藤内壁で脱出訓練 2011.10.23

あくまでも訓練です・・

 

<メンバー>
3人
      
<山域、形態>
鈴鹿、岩登り

 

<コース>
鈴鹿スカイライン~藤内小屋~藤内壁(ピストン)

 

 沢シーズンもいよいよ終盤戦。そろそろ来シーズンに向けた準備、トレーニングをと思っていたところにRさんから岩練のお誘い。そういえば春に「宙づり脱出の練習がしたい」とお願いしていたのだった。是非にと言う事でお願する。

 

 鈴鹿スカイラインの入り口で警察がビラを配っている。それによれば、近々、鈴鹿スカイラインが全線開通するので路肩駐車は厳重に取り締まります、との事。おかげで皆、駐車地を探して右往左往している様子。何とか蒼滝トンネルのPに車をねじ込み、裏道入口でRさん、Tっちゃんを待つ。待っている間もたくさんの登山者が御在所を目指していた。

 

 裏道登山道はすっかり整備されて快適な道になっている。当初危ぶまれた天気も上々で、登攀具をぎっしりと詰めたザックを背負っていると汗ばむ陽気だ。藤内小屋ではかわいい子犬が登山者に愛嬌をふりまいている。

 

藤内小屋

かわいい子犬(白)Tっちゃん提供

かわいい子犬(茶)Tっちゃん提供

 

 もうすっかり見慣れたゴロゴロの北谷を歩いて藤内沢出合いを目指す。ゴーロ帯から左岸の樹林の中を歩き、水場で小休止。藤内壁の看板が見えたらいよいよだ。いつもこの辺から緊張してくるんだよなあ。

 

前尾根が見えてきた

藤内沢へ

 

 いつもの前尾根取り付きを通過して谷の右岸側の踏み跡をたどっていくと一壁の基部にたどり着く。本当に壁だなあ・・。すでにたくさんのパーティーが取り付いていたが、遠目で見ている限りはとても人間業とは思えない。皆さん吸盤でも着いているの?って言う感じ。

 

藤内壁(一壁)

前尾根

なんか貼り付いている

画面中央左側に注目

バットレス(拡大)

 

  我々もさっそくウォーミングアップに入る。Rさんが初心者向けの1ルートコーナーフェイスをリードし、上から確保してもらって登る。
 見た目には難しそうには思えなかったので、この夏でちょっとは経験値が上がったかなと思ったが、実際に登ってみると緊張のせいで手足がギクシャクし、冷や汗もので何とか登りきる。ただ、2本目の2ルートコーナーフェイスは1本目よりスムーズに手足が動いていい感じだった。丁度いい時間なのでここで昼食にする。

 

2ルートを登るRさん Tっちゃん提供

続く私 Tっちゃん提供

上から見たところ Rさん提供

 

  午後からいよいよ本番の空中脱出。フランケでRさんにロープを固定してもらい、まずは実際に宙吊りを経験する。実際に落ちた時にはほとんど頭が下になるそうなので、まずはその姿勢から体制を立て直す。空見では余裕があったがザックを背負うとハーネスで釣られているだけで苦しくなってくる。シュリンゲを使って体を固定する方法を教わる。

 

 次は確保している時にトップが転落した場合の対処方法の練習。落下荷重がかかった時の確保者の衝撃、確保器の仮固定からプルージックを利用しての支点への荷重の移し方など、非常に丁寧に教えていただいた。確かに自分が落ちた時だけではなくパートナーが落ちた時のケースも知っておかないといけない。うーん勉強になる。

 

まずは宙づり状態を体験

 

 続いて、いよいよ宙吊り状態からの脱出練習。まずは宙吊り姿勢からザイルにプルージックでシュリングをかけ、乗りこむ練習から。何も支えが無い状態で立ち込むのは難しいく、ザイルを掴む手が疲れてくる。

 

続いてロープにつけたシュリンゲに立ち込む練習 Tっちゃん提供

 

 次にアッセンダーを利用してザイルを登っていく練習。足とハーネスで交互に体重を映しながら尺取り虫の要領で登って行く。これも非常に体力を使うので、何メートルもこれで登り返すのはきついなあ。ただ、今まで本で読んだ事しかなかった事が実際に体験できてとても為になった。

 

脱出用のスリングをセット中 Rさん提供

 


アッセンダーとプルージックを使って練習

 

  最後にアブミのかけ方の練習をするが、バランスが非常に難しく上の段に行けば行くほど体を引き付けるのに腕力を使う。うーん、これを沢で応用するのはなかなか難しいなあ。でも難しさが判っただけでも良しとしよう。時間は16時になり、ほとんどもパーティーが撤収したので我々も下山する事にする。

 

 藤内小屋のかわいい子犬にあいさつし、スカイラインまで一気に下ると何とか暗くなるまでに車に戻る事ができた。お疲れ様でした。

 

名古屋がきれいに見える

ストックにじゃれる子犬(白)カワイイ~

 

 今回は岩登りのトレーニングだけでなくトラブル時の処置方法など練習ができ、非常に有意義だった。更に練習を積み、より安全な山行、遡行がこれからも続けられるように頑張らなければならないなあ、と強く心に誓ったのであった。

 

今日の為に練習場所の下見や資材の運搬などをしてくださったRさん、練習に一緒にお付き合いいただいたTっちゃん、本当にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。