晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

尾鷲辻から大台ケ原 早春の台高深南部縦走① 2011.03.05-06

大峰山脈を望む

 

<メンバー>
サークル(4名)
      
<山域>
台高

 

<コース>
橡山林道~木組峠~マブシ嶺~地倉山~白サコ~尾鷲辻分岐~正木嶺~日出ヶ岳


 花粉症のツライ3月。台高マニアのK姉さんの企画は尾鷲辻から大台ケ原を縦走しようというもの。三重県南部は有数の植林地帯・・花粉の嵐の中に2日間も身を置くのは自殺行為だとは思いながら、このエリアは訪れたい沢もある。こういう機会でもないと決して行く事は無いだろうなあと参加を決意。対策として、花粉症の内服薬、点眼薬、マスクを装備に加える。

 

 集合場所の海山町までは実に遠い。高速道路が延び、かなり楽にはなったものの自宅を朝4時30分に出発。今日の夜は何があっても熟睡できるに違いない。亀山でTやんと合流し伊勢路を南へ下る。なんとか集合時間までに海山道の駅に到着。

 

 アプローチは橡山林道。海辺から一気に標高900m近くまで高度を上げて行く。途中「清五郎滝」の看板がありそこまでは整備されていた。だんだん落石が多くなり、車での進入が難しくなるので適当なところで車を止める。

 

うっすらと雪が積もる橡山林道

 

 うっすらと雪の積もる林道を歩き、小谷小屋側の右俣から谷を詰める。春爛漫だと思っていたが、まだ谷は凍りついていて油断がならない。途中から尾根に乗り稜線を目指すと木組峠の南側に出た。

 

谷を詰める

途中から尾根に乗る

振り返ると海が

 

 木組峠からは自然林の稜線が続く。今は葉がすっかり落ちてしまっているが、新緑や紅葉の頃はさぞ気持ちがいいだろうなあ。左手には雪を纏って白銀に輝く大峰山脈が見え出した。

 

木組峠

気持ちのいい稜線

大峰をバックに

 

 一本木を越え、迷いやすいピークを入念にチェックしながら北上するとマブシ嶺への高低差200mの一気の登り。泊まり装備のザックが背中に食い込み、今日履き始めの登山靴は靴ずれができ始めている。何とか痛みをごまかしながらやっと何とかマブシ嶺に到着。

 

マブシ嶺への高低差200m

 

 マブシ嶺。エアリアなどの地図ではコブシ嶺と記されている「三等三角点雷峠」の事。この辺りに詳しい人によると正確にはマブシ嶺と呼ぶらしい(その由来は不明ですが)。まあ、そんなややこしい話はさておき、ここからの展望は素晴らしい。南と西には太平洋と尾鷲のリアス式海岸を見下ろし、西には白く輝く大峰山脈。そして北にはこれから向かう大台ヶ原へと続く稜線が伸びている。ここで昼食、休憩、記念撮影をする。

 

マブシ嶺

尾鷲の海も見える

集合写真

コブシ嶺×→マブシ嶺○との事

 

 マブシ嶺から先はつらいアップダウンも少なく穏やかな稜線漫歩が続く。徐々に近づいてくる大台ケ原テーブルランドを見ながら巨ブナの稜線を歩いて行く。

 

大台がちらっと見えた

巨ブナの稜線

 

 やがて、大蛇グラが見え始めると登山道にしてはやけに幅の広い道型に出合う。聞いた話では大正時代にこの辺りの木を切り出し、尾鷲まで運搬したトロッコレールの跡だと言う。昔の人もすごい物を作ったものだ。トロッコレール沿いに歩いていってしまうと高低差が少なく、楽なのだがあらぬ方向に行ってしまうので地形を読みながら堂倉山を巻く。

 

大蛇グラ

ロッコ道(軌道跡)

 

 地面に雪が出てきたら最後の苦しい登り。所々にテープは見えるが踏み跡は雪のしたなので正しい方向に向かっているか定かではない。それでも登って行くと遊歩道に飛び出した。現在地を確認し右に進むと尾鷲辻分岐の東屋に出た。

 

雪が出てきた

尾鷲辻分岐

 

 ここからは遊歩道沿いに正木嶺に向かう。ドライブウェイが閉鎖されているこの期間、ここまでたどり着く事が出来るのはまる1日かけて歩いた者だけだ。静寂に包まれた大台ケ原は春から秋の喧騒を思うと何だか不思議な気分。つかれた足には植生保護の木道がとても優しく感じた。

 

正木嶺へ

元気残ってる?

 

 最後の力を振りしぼって日出ヶ岳に向かう。頂上付近だけ小さな樹氷が出迎えてくれた。時刻は夕方に差しかかり、体力的に限界なので今日の行動は打ち切り。大峰に沈む夕日が辺りを真っ赤に染め、今日一日の苦労が全部報われた気がした。

 

日出ヶ岳に向かう

ちょっぴり樹氷

展望台から大峰

尾鷲の海

夕日に染まる笑顔

大峰に沈む夕日