晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

鈴鹿主脈縦走 藤原から御在所へ ⑤ 2007.05.26-27

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シロヤシオと鎌ヶ岳

 

<メンバー>
単独

 

<山域>

 

<コース>
八風峠釈迦ヶ岳-ハト峰-中峠-根の平峠-国見岳-御在所-湯ノ山温泉
※太字が今回の記事の範囲

 

水晶岳から割り堀道を下ればお馴染みの根の平峠に到着。織田信長も通った千種街道の要所の峠には、その由緒を示す新しい看板が立っていた。昔は集落があったという。なるほど。

 

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根の平峠(10:51)

 

根の平峠には単独の男性がザックを下ろし佇んでいた。休憩しているわけではなさそう。別のハイカーと話をしているのに聞き耳を立てると、このコースで山岳競技のインターハイ予選をやっているという。そういえば釈迦ヶ岳から根の平峠の間にも二人、いかにも体育の先生風の人が藪の中に潜んでいた。どうも審査員らしい。面白そうなのでしばらく見ていることに。

 

15分ほど待っていると、大きなザックを背負った4人組みが下りてきた。使い込まれたザックにはゼッケンがついている。そのチームはリーダーがしっかりしていて、てきぱきと指示を与えていた。中でも「ヒルに喰われても慌てずそのまま歩き続けろ、ゴールで取れば良い」の指示には感心した。3分ほど立ち休憩して伊勢谷を下って行く。

その次のチームは3人だけ、いきなりザックを下ろして、座り込んでしまった。リーダーはいないようで、3人がチェックポイントの通過時間か何かを確かめあっていたが、どうも先ほどのチームより休憩時間が長いようだ。やきもきしながら見ていたら、ようやく出発した。

審査員の先生は助言を与えるわけでもなく、会話を交わすわけでもなく、なにやらチェックしていた。競技として、何を競うのか良く知らないが、どっちが勝つのだろう?
しかし、山岳部のある高校が存在するとは知らなかった。私ももう少し若くに山に出会っていればなー。
あまり長く付き合ってはいられないので出発。

 

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山岳部インターハイ予選

 

根の平峠から国見岳への登りは、実質最後の難関だ。展望の無い登りで、黙々と登るしかない。今日も既に5時間程経過しており、結構疲れてきた。休みかちになり、その間に足元の花や虫の写真を撮る。

 

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センチコガネ

 

長い斜面をぜいぜい言いながら登るといつの間にか傾斜は緩くなり、あたりに巨石がゴロゴロするようになる。国見岳が近づいてきたようだ。なかには絶妙のバランスで立っている岩もあり、面白い。

 

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絶妙なバランスの岩と雨乞岳

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国見岳北面

 

高度がだんだん上がってくると国見尾根の奇石群が見えてきた。このあたりまで来るとずいぶん人が多い。幾人ものハイカーとすれ違う。昨日、今日と二日間汗まみれの自分の臭いが少し気になる。ヤシオ尾根との分岐を過ぎたら国見岳に到着。ここで、水とバナナチップスで最後の食事を取る。

御在所のレーダードームは手を伸ばせば届くような距離に見える。後ろを振り返れば釈迦ヶ岳が辛うじて見える程度、藤原岳はまったく見えない。

 

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天狗岩とゆらぎ岩

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国見岳(12:35)

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ゴールは目の前

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霞む釈迦ヶ岳

 

国見岳から国見峠への下りの道もたくさんの人で賑わっていた。中には、思い立って山歩きに来たようなジーンズにスニーカーの家族連れも見える。国見峠には予定の13時までに着くことが出来た。ここから登ればゴールの御在所だ。

 

 

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 最後の登り

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国見峠(12:59)

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さあ、もうふとふんばり

 

国見峠から御在所9合目までの道は、裏道登山道の最後になっている為、ほんとうに多くの人でいっぱいだ。疲れてはいるが、辛うじてオバサンパーティーに追い抜かれることなく、御在所山上公園に到着。まずはその足で本当の山頂に向かう。

三角点の標識の前に14:00に到着。これで藤原から御在所の縦走は下山を残すのみとなった。
 
感激もあるはずなのだが、頭の中はロープウェイ駅で売っているソフトクリームでいっぱい。とにかくロープウェイ駅に向かおう!

 

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ついにゴール(14:01)

 

食券を買い求め、ソフトクリームを口にした時の美味しさは忘れられない・・。食べ終わるまで下山ルートを決めていなかったのに気付いていなかった。まあ、鈴鹿主脈にこだわるのであれば、武平峠まで行くのがいいかもしれないが、ここまで戻ってきたらもうどうでも良い。最短で下りられる中道で下ろう。

ロープウェイ駅の前は観光客でごった返していたが、シロヤシオがきれいに咲いていた。

 

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シロヤシオと鎌ヶ岳

 

帰りの中道では団体さんに合流してしまった。20人以上の大所帯で抜くに抜けない。もっともヘロヘロで足腰が弱っているので団体さんについて歩くのが丁度良いかも。いつもよりたっぷり時間をかけて中道登山口へ到着。

 

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御在所の勇姿

 

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中道登山口(15:25)

 

ここから藤原岳登山口に置いてある車を回収しなくてはいけない。湯ノ山温泉からバスで近鉄湯ノ山温泉に向かう。途中の温泉街できれいなユキノシタが咲いていた。

 

 

普段はマイカーなので、電車バスのお世話になったことはなかったが、利用者は意外と多かった。三重交通のバスから近鉄線に乗り継ぎ、四日市で乗り換え、富田から三岐鉄道に乗り換える。

車窓から鈴鹿山系が良く見える。二日間で歩いた道のりを戻って行くようなイメージだ。太陽はすっかり傾き、稜線のシルエットが際立っている。

 

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夕暮れの鈴鹿山系(三岐鉄道車窓より)

 

18時に西藤原駅に到着。朝はハイカーで賑わいのだろうが、この時間にザックを背負っているのは当然私一人。大貝戸の休憩施設では私の車が最後の一台だった。

 

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西藤原駅へ到着

 

車に戻り、登山靴を脱いでサンダルに履き替えたらやっと終わった気になった。
自分の中ではもう少し楽に歩けると思っていたのだが、そうは行かなかった。やり遂げた達成感と、こんなはずでは・・という気持ちが両方あって何とも変な気分。それでも天気に恵まれ、怪我もアクシデントも無く、無事に終わってよかったよかった。

 

これからも飽きる事無く、懲りる事無く鈴鹿に通い続けるのであろうが、何となく、自分の中に一区切りついた。そんな気がした今回の山行だった。

 

二日目の行程
沿面距離  15.4km
累積標高差 +1223m -1809m
行動時間  9時間00分(休憩込み)

トータル
沿面距離  29.9km
累積標高差 +3222m -3044m
行動時間  18時間10分(休憩込み)

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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今回の地図