晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

冠山 藪漕ぎ後、雪の越美国境稜線 2009.03.21

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北に伸びる越美国境稜線

 

<メンバー>
山仲間

 

<山域>

 

<コース>
田代~P852~P1058~稜線上のピーク~冠山~林道~田代

 

 お彼岸を前にしてもう鈴鹿は花盛り。15日の積雪も春の夢の如く淡く消えてしまったようだ。せっかくの3連休、鈴鹿で花見に精を出すのも芸が無いので「雪山へ行きたいのですが」と とっちゃんさんに相談したところ、山日和さんが快く引き受けて下さった。

 

 行く先の越美エリアはまったく未知の領域だが、いかにも雪が深そうなイメージ。山日和さんからのメールにも「アイゼン、ピッケルスノーシュー、ストックの雪山フル装備でお願いします。念のため簡易ハーネスの準備も」とある。ぶなの森と白銀に輝く嶺を妄想しながら、北陸自動車道を北上する。

 

 武生ICを降り、池田町まで車を走らせる。土地勘がまったく無いので必死で付いていく。人気の無い林道の脇で車を止め、小宴会の後、翌日に備えて車内泊の人となる。

 

 翌朝は快晴の下での出発。植林の尾根の末端から取り付くが、すぐに雑木の生える道となる。聞けば昔の登山道だったようで踏み後はしっかりしている。しかし、周辺は藪っぽく、ザックにくくりつけた雪山フル装備が枝に引っかかり、うっとおしい事この上ない。うかうかしていると、藪に持っていかれそうになるので絶えず、背中の荷物が無事かチェックしなくてはいけない。

 

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いきなり藪尾根の急登

 

 標高750mを過ぎたあたりで雪が現れる。雪のあるところは藪も雪の下となるので快適に歩けるのだが、雪はすぐに消えてしまい再び藪に阻まれる。P852から苦労をして藪をかき分けようやく林道に到着。この時点で2時間経過。うーん、体力勝負になりそうだ。

 

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マンサクの花が春を告げる

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視界が開けてきた

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ようやく雪が現れる

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やっと林道へ

 

 林道から再び急斜面に取りつくと今度は比較的雪の割合が多く、スピードも徐々に上がってくる。先程までの煩わしさは嘘のように快適になり、雪の斜面にキックステップを打ち込んで高度を上げていく。背後には奥美濃の山々が徐々にその姿を見せ始める。

 

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芽吹きを待つ木の芽

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白山に荒島岳・・よく分かりません

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雪がついている所を拾って歩く

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ようやく気持のいい雪の斜面

 

 P1053から再び藪の登り返しを経て、ようやく県境ピーク(田代尾根の頭)に到着。そこにはここまでの苦労がすべて報われる大展望が広がっていた。東にはその名の通り真白な白山の巨体が横たわり、四方は深い山々に囲まれている。標高わずか1000m余りなのに鈴鹿とは全く異なる光景だ。ここまでくれば冠山も目と鼻の先だ。

 

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P1058で休憩

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登り返すにはこの藪を越えなければ

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白山が見えてきた。かっこいい!

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県境まであと少し

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白山をバックに

 

 ここからは国境(県境)稜線を快適なスノーハイク。気温が高いせいで10歩に1歩はズボッと沈むが、ロスになるほどではない。山頂直下のぶなの森の雪原にスノーシューをデポし、アイゼン、ピッケルで頂上アタックに取り掛かる。

 

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冠山まであとどの位かな?

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県境ピークからのパノラマ

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冠山

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雪原のぶな

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ピッケルとアイゼンで頂上アタック

 

 急な雪の斜面はそれほど苦にはならないが、雪が途切れ藪が現れると苦戦を強いられる。ピッケルを土壁に打ち込んで体を持ち上げ、ようやく稜線に乗ることができた。あとは恐竜の背のような尾根を歩き、山頂まではすぐだ。

 

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北へ続く稜線

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さあ、頂上へ

 

 出発から6時間半でようやく頂上に到着。みんなでガッチリ握手。頂上から見える展望は苦労しただけあって素晴らしいものだ。土地勘がないので見える山々の殆どは名前がわからないが、遠く白く輝く白山に能郷白山だけはなんとかわかる。少し先に眼下には徳山ダムでできたダム湖が見える。ああ、この辺りなんだ。

 狭い頂上だが、なんとか見晴らしのいい場所でお昼ごはん。半袖一枚になってもいいくらいのポカポカ陽気になんだか帰りたくない気分。

 

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頂上より能郷白山

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国境稜線の向こうに白山

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冠山の三角点

 

 ゆっくりお昼ごはんを食べていたせいで時間は14時半を回ってしまった。さっそく下山にかかる。最初の予定では国境稜線をさらに前進する予定だったが、ここまでの消耗戦が祟ったのか、みなの疲労が色濃い為、頂上からほとんどダイレクトに支尾根を下りて林道に出ようという作戦にでた。最後が崖だったり、雪がすぐに消えて濃い藪だったら・・とかいろんな不安要素が頭をよぎるが、これ以上の尾根歩きは時間的にも不確定要素が多い。最後の手段はロープで懸垂という事で突入する。

 

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雪の斜面を慎重に下る

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支尾根をダイレクトに下る

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雪が無くなると藪が

 

 結果的にはこの選択が大正解。おもったより下部まで雪はつながっており、林道への接点も堰堤と堰堤の間の雪の緩斜面に降り立つことができた。さすが百戦錬磨のリーダー。あとは雪がほとんど融けかけた林道をひたすら歩くだけ。

 

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無事林道に降り立つ

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山頂と下ってきた尾根が見える

 

 約1時間半の林道歩きで車まで戻る事ができた。行動時間11時間超。久しぶりにがっちり歩いたような気がした。今回はいつもと違うメンバーといつもと違う山域を歩き、大いに刺激を受けた。

 

 ご一緒していただいた皆さん、本当にありがとうございました。

 

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今回のコース