晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

GW 白峰三山縦走 ② 2017.05.01

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北岳は遠く


<メンバー>

<山域、形態>
南アルプス ハイキング

<コース>
池山御池小屋(3:20)~城峰(5:10)~ボーコン沢の頭(7:20)
8本歯のコル(10:10)~吊尾根分岐(11:10)北岳山荘(13:30)

<天気>
曇り後吹雪

 2日目、今日は午後から天気が崩れる予報なので午前中に北岳山荘にたどり着かなくてはいけない。計画では1日目の泊地を森林限界の少し下、城峰あたりまで進めたかったが、池山御池小屋泊になってしまったので3時出発とした。

 真っ暗な中、ヘッデンをつけて池山吊り尾根を登る。城峰にはテントが一張り、主は既に出発しているようだ。

 ボーコン沢の頭の手前で樹林帯を抜け視界が広がる。冬は強風でこの辺りで撤退するパーティーも多いと聞く。空はまだ高曇り、薄日も差しているので何とか持ってくれよと祈りながら進む。

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鳳凰三山が見える(6:25)

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樹林帯を越えたか(6:47)

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時折日が射す(6:48)

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ボーコン沢の頭(7:25)

 8本歯の頭で少し休憩していたら雪がちらついてきた。時刻は9時、コースタイムは北岳山荘まで2時間と少し、この調子なら何とか逃げ込めそうだ。しかし5月の南アルプスで雪かよ~と恨めしく思いながら八本歯に突入。

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二つ向こうのピークが八本歯の入り口(8:19)

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雲が厚くなってきた(8:39)

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ここからが8本場(9:05)

 8本歯は1箇所下降でロープを出しそれなりに緊張したが何とか通過。それよりもどんどん強くなってくる雪が気になる。8本歯のコルでツエルトを出してやり過ごすか?という意見もあったが荒天がいつまで続くか分からないので先に進む。雪の傾斜をどんどん登って主稜線を目指す。

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8本場下降(9:12) Tよっさん提供

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緊張のする8本歯の通過(9:12) Tよっさん提供

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8本歯のコル(10:05)ガスが濃くなってきた Tよっさん提供

 途中、テントの主と思われる単独の方が降りてこられた。稜線上は強風で目も開けていられないという。この時点で北岳の頂上はあきらめた。

 11:10ついに吊り尾根分岐に到着。稜線上は強風が吹き荒れるが耐風姿勢を取るほどでは無く何とか行動は出来る。それよりも閉口したのが霙交じりの強風が顔に当たると目が開けていられない事だった。ゴーグルを持っているふみふみさんとつよっさんにルーファイをしてもらいながらジリジリと北岳山荘に向かって下降していく。

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吊尾根分岐(11:10) Tよっさん提供

 視界は10m以下、夏道はまったく分からず。風が弱まった隙に岩稜の地形を見てルートを判断。視界が悪いのでとにかく離れないように気をつける。GPSを見ながら尾根芯から離れないように進んでいくとようやく登山道らしき痕跡を発見、更に進むと道標も出てきた。

 分岐の道標からわずか1km、GPS上では既に北岳山荘に着いている筈なのにそれらしい建物は見つからない。視界は数メートルのホワイトアウト状態なので5人で手をつないで離れないように進んでいく。

 するとガスの中にうっすらと建物のシルエットが見えた。小屋はわずか10mほど先に建っていた。スコップで扉の前の雪をのけ、小屋に入ったらやっと生きた心地がした。

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冬期小屋に逃げ込めた(13:39)Tよっさん提供

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生還・・(13:45)

 すっかり体が冷えてしまったもっちゃんの為に小屋の中にテントを張ってガスをつける。夕食はカレーライス。ご飯を米から炊いたが雪から水を作るのでガスを多量に使うこのメニューは雪山には合わなかったかな。でもおいしかった。

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小屋の中で水を作る

 結局、強風は夜まで吹き続き、もし途中で進めなくなっていたら危なかったかもしれない。あくまでも結果論だが今日は森林限界の下で停滞するのが正解だったのだろう。しかし無事小屋に辿りつけて本当に良かった。
 
<今回の反省>
 今回の行程は天候と自分達のスピードの判断を誤り仲間を危険にさらしてしまい、大いに反省する山行となった。
 今後の為に以下に反省点を記す。しかしこうやって書いてみると当たり前の事ばかり。現場ではその当たり前の判断をするのがいかに難しいのかを痛感した。

・荷物が重すぎ、行動に時間がかかり過ぎた。常に余力を持って行動出来ないと。 
・天気予報の時間は幅がある事を認識すべき。午後から崩れるといっても早まる場合もある。
・強風下で稜線上にいるのは非常に危険。予想されている時は森林限界以下で停滞。
・雪山ではGPS、ゴーグルは必須。無ければ現在位置の把握は不可能。

つづく