晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

滑川 三ノ沢 痛恨の救助要請 2013.10.12-13

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五連の滝

 

<メンバー>

山仲間 4人

 

<山域、形態>

中央アルプス 沢登
 

<コース>

1日目:敬神小屋(7:40)~滑川~三ノ沢出合(9:50)~五連の(11:00~14:40)

   ~Ca2080事故現場(16:00)~ヴィバーク
2日目:Ca2080(7:50)~五連の滝(10:50)~三ノ沢出合(12:50)~敬神小屋(15:10)
 

<天候>

晴れ
 

 体育の日の三連休は紅葉の泊まり沢を狙って中央アルプスの三ノ沢を目指しましたが、メンバーの1人が倒れてきた浮石の下敷きになって足を骨折し、救助を呼ぶ事になってしまいました。
 

 概要は以下・・・
 

 敬神小屋から林道を歩き、滑川本流に入渓。長いゴーロ歩きを経て三ノ沢へ入る。三ノ沢もしばらくはゴーロだが1時間程で最初の難所、五連の滝に出る。
 

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敬神小屋
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三ノ沢出合

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紅葉が美しい

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ゴルジュになる

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五連の滝
 

 五連の滝は三つの小滝を直登後、四つ目の滝を巻くのだがここでルーファイミス。右岸巻きであれば結果的にノーロープで30分で巻ける所を左岸の巻きで右往左往、ロープを出してトライ、撤退を繰り返しているとあっという間に3時間経過。
 

 半ば諦め右岸に取り付くとあっさりと巻けてしまう。しかしこの時点で予定のテン場(Ca2400付近)に到達するのは厳しくなる。
 

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この滝の巻きに苦労した

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左岸でトライを繰り返すも結局断念
 

 五連の滝の上は傾斜のあるゴーロだが台風の影響か浮石だらけ。泊適地を探しながらの歩きになるが泊まれそうなは無い。
 

 開けた三俣付近、それぞれが10m以上間隔をあけて歩いていた時(私が先頭)、後ろから石が転がる音の後に名前を呼ぶ声が聞こえる。振り返ると2番目を歩いていたメンバーが倒れていた。
 

 急いで戻り状況を確認すると、浮石が倒れてきて足がその下敷きになり骨折したとの事。とても動ける状況では無かった為、救助を呼ぶ事にする。携帯電話を確認すると幸い全てのキャリアで通話可能。木曽警察に救助を要請する。
 

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やっと抜けられた
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浮石だらけ・・

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直進が本流

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事故現場付近
 

 三連休という事もあって警察のヘリは他の救助に出動中。消防の防災ヘリが日没ギリギリの17時頃にようやく飛来。ヘッデンを手で振り回し何とか発見してもらい、負傷者をピックアップしてもらう。
 

 すぐに日没になったので近くの灌木帯の中の岩場の窪みでビバーク。幸いツエルト泊の予定だったのでシュラフとツエルトを被って何とか夜をやり過ごす。
 

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ヴィバークの朝、御嶽山が正面だった

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ヴィバーク地

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五連の滝

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降りる方が難しい

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やっと普通に歩ける
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事故が無ければ歩いていた稜線・・
 

 翌日、ヘリでピックアップされたメンバーの荷物を分但して背負い、谷をクライムダウン。2回目の事故は許されないので慎重にゆっくり下山。下山完了後、木曽警察での事情聴取、その後、松本の病院まで行ってメンバーの容態を確認。翌日、地元(愛知県)の病院へ移送。
 

 今回の事故では、何とかヘリでピックアップしてもらう事が出来、で最悪の事態は避けられましたが、自分の力の無さを痛感する一件となりました。
 

 少しづつ、経験を積んで難易度の高い沢に挑戦しようと思っていた矢先だけにショックでした。負傷された方には申し訳ないですが、良い警告と受け取り、反省とさらなる技量の向上に努めなくてはいけないなと思いました。
 

<反省点>
 

・難所(五連の滝)の巻きに時間がかかり過ぎ、疲労と焦りでゴーロ歩き集中力が途切れてしまった
→事前情報がある場合、巻き方などはちゃんと記録しておく。
 

・骨折の一時処置が出来なかった
→ファストエイドを身につける
 

・ヘリになかなか見つけてもらえなく、時間切れ寸前だった
→ヘッデンの電池は常に新品に、衣類などを大きく振れば良かったか、発煙筒も持参すべき?
 

<ラッキーだった点>
 

・携帯が通じる場所だった
→通信手段の重要性を再認識。無線も携帯すべきだった。
 

・ヘリでピックアップ出来る場所だった。
→足の骨折は重症で、もし移動が必要だったら大変だった。
 

・4人パーティーだった
→とにかくパニックにならず行動できた。荷物の分担しての下山も可能だった。二人パーティーだったらどうなっていた事やら。
 

携帯が通じ無かったら、ゴルジュの中だったら、2人パーティーだったら・・そんな事をシミュレーションしてみるとかなりキツイ状況でした。
 

 これをご覧になった皆さまの参考になればと思います。