晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

南アルプス 尾白川 黄蓮谷右俣 憧れの超メジャー沢へ① 2012.09.15-16

千丈の滝

 

<メンバー>
山仲間2人
      
<山域、形態>

 

<コース>
林道ゲート(6:55)~林道終点~入渓(8:20)~噴水滝(9:55)~黄蓮谷出合(11:10)~千丈滝(11:40)~坊主滝(12:30)~黄蓮谷右股(13:30)~奥千丈滝(14:40)~BPca2220(16:30)

 

 お盆の遠征は流れてしまったので9月の三連休に懸けよう!そう思って決めた行き先は甲斐駒ヶ岳に突き上げる名渓、尾白川の黄蓮谷だ。2泊分の装備をザックに詰めて出発。道の駅白州で車中泊

 

 翌朝、竹宇駒ヶ岳神社の駐車場でI君と合流する。駐車場はたくさんの登山者の車でいっぱいだったが、その中に京都S稜クラブ(Eちゃんの所属する会)のS山さんがおられた。S稜も黄蓮谷だというので心強い。タクシーを待っているS山さん達に先行する形で林道に向かう。

 

 林道ゲートでは別の沢パーティーが出発の準備をしていた。さすが関東エリアのメジャー沢だなあ。我々も車を停めて林道を歩き始める。昔はゲートの奥も車がは入れたらしいが、今は崩壊が進みとても無理。錦滝を過ぎ、トンネルを3つ潜ると林道終点に行きあたる。急斜面についた踏み跡を辿って谷に下りる。

 

林道ゲート 車はここまで

トンネルを三つほど潜る

 

 尾白川は総じて花崗岩のスラブ主体の沢だ。巻き主体で遡って行くが、フェルト靴では慣れるまでは緊張する。すぐに写真で何度も見た滝が現れ、黄蓮谷に来たんだなあと実感。

 

左側をヒタヒタと登る

ワイヤーの滝

バンドから越すのは厳しかった。右から巻き

 

 この大きな釜の滑は右側から巻き。すると後ろから大きな荷物を背負った若者が追いついてきた。聞くと、この滝を左から巻いて懸垂する羽目になり、ロープ回収に手間取っていたようだ。ワザワザ難しいコースを選択するんだなあとこの時は思っていた。

 

右に踏み跡あり

 

 続く3段の連瀑帯は左の巻き道から。急斜面上の薄い土についた踏み跡はいやらしいが、トラロープが付けられている。さすがはメジャー沢。

 

左から巻き

 

 続く噴水滝(地形図よりもずいぶん下流にある)。は水がちょっと盛り上がっているだけだった。きっと大雨の後しか噴水にならないのだろう。噴水滝の上で休憩。噴水滝の上は穏やかな滑が続く。癒されながらのんびり歩いて黄蓮谷出合に到着。ここからいよいよ黄蓮谷に入る。

 

噴水滝、今日はごく小さい

噴水滝の上で休憩

磨かれた様な滑

 

 黄蓮谷は一見ショボイ藪沢の様だがすぐにスラブ滝が現れる。最初の深い釜を持った12m滝は左の踏み跡から巻き。踏み跡といっても残置のトラロープにターザンの様に体を預ける所もあって怖かった。

 

深そうな釜・・左から巻き

要所には残置が

 

 やがて千丈の滝が現れる。多段の大滑滝。うーん、すばらしい。右側から草付きを登り中段で左側へトラバース。踏み跡も明瞭で巻くのには問題無い。次に現れる滝は右から巻き。巻きの途中に格好のテン場があったが時間もまだ早いので先に進む。

 

千丈滝 右から巻いて中段へ

千丈滝 中段から上は左の巻き道を

そのまま登って来るS稜パーティー

 

 坊主滝は右のガレ沢から登り、コンパクトに巻く。2mの懸垂で谷に降り、スラブ滝をいくつかこなすと黄蓮谷右股の出合いに到着。この辺りからS稜パーティーと一緒の行動になる。

 

坊主滝、右のルンゼから巻く

坊主滝

坊主滝の上

 

 右股に入っての最初の滝は左から巻くがこれが厳しい巻き。傾斜が立った岩壁を、立木を掴んで越えなければならない。S稜の方が先行されたので我々も一緒にお助けで引き上げてもらう(ありがとうございました)。

 

右股に入って最初の滝、左から巻くも厳しかった・・

 

 谷の傾斜は立ってきてガレが目立ち始める。もうすぐ奥千丈滝なので幕場を探さなければいけないが、これと行った場所が無い。そうこうしている内に奥千丈滝に突入してしまう。

 

そろそろ幕場を探さなければ・・

 

 最初は水流の中を進む。若干滑っているのでフェルトの私が先行する。手掛かりが乏しく、水中にホールドを探っていると手が悴んでしまうが何とか登りきる。学生やS稜アーティーはノーロープで登って来るので見ているこっちがヒヤヒヤだ。

 

滝になって来たぞ

奥千丈滝に突入

ヌメッたスラブを登って行く

 

 スラブ滝の途中に草付きのテラスがあった。焚き火はできないが水の確保は問題無さそう。学生たちはここにビバークするという。

 

T大生たちはこのテラスで幕営、我々は更に上に

ガスってきた、この上で見つかるといいけど

 

 S稜パーティーはその上の岩屋をBPにするようだ。時間的にもそろそろリミットなので我々も階段状の滝上のテラスにテントを張る。もうひとつ上の滝上には別のパーティーが既に焚き火を熾していた。メジャー沢のすごさをここにも感じる。

 

滝したにS稜パーティーのツエルトが見える

何とか二張りできた

 

 焚き火を熾して暖をとるが、終盤にシャワークライムで服を濡らしてしまったのが痛かった。谷を通りぬける風は思ったよりも冷たく。I君は夕食を摂ると早々にテントに潜り込んでしまった。私は服が乾くまでしつこく火に当たっている。見上げると満点の星空が広がっていた。

 

焚き火から離れられない
 
<2日目へ続く>