鈴鹿 八風大谷から栃谷 沢登り 無残なゴーロ沢を遡下降 2012.04.21
土石流の爪め跡
<メンバー>
山仲間 3名
<山域、形態>
<山域、形態>
<コース>
東海自然歩道(08:45)~八風大谷~最上流の堰堤(09:20)~岩ヶ峰尾根(11:30)~栃谷~最上流堰堤(13:15)~駐車地(13:35)
春の鈴鹿沢第3弾は八風渓谷だ。八風街道という近江と伊勢を結ぶ古道が風情と歴史を幹事させ、花崗岩質の谷は明るく遡行者の気分も明るくする。八風大谷は山桜の大木を尋ねて2008年の同じ時期にふらっと訪れた事がある。その時の印象がとてもよかったので、再訪する事にした。
<2008年4月の記録>
しかし生憎、空は今にも降り出しそうな曇り空。おまけにI君が風邪を引いてダウンとなってしまった。それでも大阪からやってきたEちゃん、S山さんに「この天気は許容範囲?」と聞くと「当然やん」と返ってきた。頼もしい。
今回は入山と下山地が少し離れている。更地になってしまった射撃場の少し手前に車を停め、東海自歩道の入り口まで移動。奥で土建工事をやっているのか入り口には立ち入り禁止の表示。我々は用があるので当然中に入る。
1.東海自然歩道からスタート
その昔、村の人たちが寄り合いを開いたという大岩を過ぎ、谷沿いの林道を歩いていく。林道は車両の通行が多いのかしっかりと整備されているようだ。建設中の堰堤を過ぎ更に進むと真新しい(H22設置)巨大堰堤が現れた。堰堤を左から超えたところで沢靴に履き替える。
2.大岩
3.建設中の堰堤
4.真新しい堰堤(最上流)
5.堰堤を越えると・・
降り立った谷中は川床と両岸がごっそりと抉られ、巨石が散乱する典型的な土石流の跡・・。でも土石流の起点から上は元の景観が残っている事もあるので、被害が少なくて済みますようにと祈るような気持ちでゴーロを進む。時折、小滝や滑が現れ(多少とも記憶に近い地形も)、澄んだ釜にはっとする場面もあるが、大半は流木と巨大な浮石が散乱するゴーロ地帯だ・・
6.酷い荒れ様だ
7.こんな滝も残っているけど
8.すごい量の倒木
9.美しかった頃の名残
<比べてみてください>
2008年4月の様子
10.左から越える
11.すぐに荒れる
12.一面ゴーロ
大した見せ場も無いまま、黙々と距離と高度を稼ぐ。行く手にはガスがかかり、雨が降り出してきた。ルートを思案するような滝も現れないので本当に黙々と進む。おかげでゴーロの飛び石の感覚はほぼ戻ってきた。
13.ナメの残骸
14.大岩(畳石?)
15.時折小滝が現れる
<比べてみてください>
2008年4月の様子
16.少しは沢登りらしく
谷の荒れ方は高度を上げるにつれてひどくなってくる。むき出しになった自動車よりも大きな岩がV字の途中に引っかかっているのを見ると、落ちてきませんように・・と横を通り抜ける。やがて水も乏しくなり急角度のザレ斜面が現れる。現在位置を確認するとほぼ県境稜線の直下まで来ていた。結局、上から下まで荒れたままだったなあ。稜線に詰めあがるのは厳しそうなので左岸の岩ヶ峰に取り付く。
17.上に行くにつれ酷くなる
18.ひたすらゴーロ
19.これも残骸
20.露出した大岩
21.浮石だらけ
22.岩ヶ峰の尾根に逃げる
モンキークライムで急斜面を登り、岩ヶ峰の鞍部に詰めあがる。バイカオーレンの見事な群落が気持ちを和ませてくれる。ただ、雨がパラパラと降り、尾根でのんびりと昼食をとるような状況でも無いので栃谷への下降を開始する。
23.バイカオーレン
24.岩ヶ峰の池
急斜面を木に頼りながら何とか降りていく。谷中の木々で雨が若干遮られる安定した場所で手早くお握りを頬張る。シャワーをした訳では無いので全てがじっとりと濡れてしまっているが、気温が高いせいかそれほどの寒さは感じない。
25.栃谷も全く同じ光景
栃谷も八風大谷と全く同じような景観が広がっている・・。むき出しの大岩、削られた両岸、谷を埋め尽くす土石流。唯一滝は右岸側から巻き下る。
26.唯一の滝(のようなもの)
27.土石流は続く
ゴーロ沢を黙々と下り、堰堤が現れた所で下降終了。林道を歩いてデポ車まで戻る。見せ場も無く黙々と歩いただけだったので、5時間弱で本日の山行は終了・・。
28.堰堤で遡行終了
八風谷の荒れ方からしてダメだろうなあと思いつつも、「ひょっとして」 という一縷の望みをもって臨んだ八風大谷だったが、やはりダメだった。これで、青川峡、八風峡谷、朝明渓谷界隈の谷は2008年の豪雨でほぼ壊滅状態にある事が認識できた。ここ十年で劇的な変化といってもいいかもしれない。
よく、「山は逃げない」というけれど、あの言葉は嘘だ。美しい山や谷はいつかは姿を消してしまうものだと言う事を肝に銘じてチャンスを逃さず、山を楽しんで行きたいと改めて感じた。
29.今回の地図