疑惑の箇所を懸垂下降で
<メンバー>
山仲間 4名
<山域、形態>
<山域、形態>
鈴鹿、捜索活動
<コース>
コグルミ谷登山口(09:15)~カタクリ峠(10:20)~県境稜線~白船峠(11:40)~真の谷テン場(12:20)~昼食~カタクリ峠(13:15)~犬返し谷下降~犬返し橋(16:40)~コグルミ谷登山口(17:05)
今回で4回目の捜索活動参加。捜索ルートは既に網の目のように張り巡らされており、鈴鹿の山を知っている登山者が考えられる範囲且つ普通に歩いて行ける範囲はほぼ網羅されている。ただ、古くから人間の生活に密接な鈴鹿の山は人の痕跡が無い場所は皆無といっていい。その分、可能性という点から見れば捜索対象は無数になってしまう。
個人的な意見をあえて言うとすれば、事故の発端は急斜面での滑落、遭難場所は谷中と目している。そこで、今回はロープ、ヘルメット、ハーネスを準備して気になる谷を下降してみる事にする。
捜索本部へ集合し捜索範囲の分担。Iさんに「今回はカタクリ峠から白船峠間を見て周りたい」と伝えると真の谷の周回も合わせて行って欲しいとの事。主力は白船峠付近のゾンデ探索にあたるらしい。ゲートの鍵を借りてコグルミ谷登山口まで進む。
コグルミ谷の雪はずいぶんと融けて春の雰囲気が漂っている。左岸の登山道をたどって長命水で休憩。長命水は雪解け水を集めてコンコンと湧き出している。
雪解けの進んだコグルミ谷
長命水辺り
長命水
カタクリ峠へ直登
カタクリ峠
今回は遭難者になったつもりで白船峠に向かって県境尾根を歩く。最初に迷い込み易い支尾根は真の谷の流れが見える所まで降りて引き返す。道迷いを誘導しそうなテープがあったので撤去する。
正規の登山道に復帰して最初に目に付くのが犬返し谷の源頭にある財産区境界のペンキマーク。一見登山道のマーキングのように見えるが急峻な谷底に向かってかなり下のほうまでつけられている。ここを降りるとは思えないが、地図よりもマーキングで歩く人だった場合、踏み込んで落ちた可能性は無いだろうか・・。そんな事を考えるが、まずは県境尾根の巡回を行う事にする。
懸案の箇所(犬返し谷源頭、境界表示の赤ペンキ)
稜線の三重県側は急峻な斜面で滑落すれば目が届かない範囲まで落ちてしまいそうな箇所も幾つかある。ここと思う斜面を覗き込むが新たに積もった雪のせいで一面真っ白の世界だ・・。
県境稜線
斜面を覗きこむが
雪は締まってサクサク
滑落の可能性は・・
白船峠に到着すると、木和田から上がってきたゾンデ隊が休憩していた。ここで小休止して真の谷へ向かう。トラバースと直下降の二手に分かれる。私は直下降ルートを降りたが下部は雪がガチガチに固まって危うくつるっと行きそうになる。
白船峠でゾンデ隊に会う
真の谷へ
真の谷の雪もかなり融けたが、まだまだ油断していると太ももまで踏み抜くほどの積雪がある。おまけに薄っすらと積もった雪で谷芯以外は真っ白だ。テン場で昼食を取りカタクリ峠まで戻る。テン場より上流は谷幅も狭まるので谷芯を飛び石で行った方が楽だ。
真の谷の様子
テン場
水量が多い
飛び石の方が早い
再びカタクリ峠に戻り作戦会議。やはり当初の予定通り犬返し谷の赤ペンキを追いかけようという事になった。稜線の立ち木を支点に30mロープ×2で懸垂下降していく。2ピッチほど降りると傾斜が少しゆるんできたのでキックステップで降りていく。滑ったらこの辺まで来るだろうなというところまで降りたが遺留品などは見つからなかった。
一瞬の青空
再びカタクリ峠
懸案の箇所から下降
件の赤ペンキは谷を横切って左岸の尾根についている。滝が出てきそうな雰囲気もあったので尾根に乗り移り更に下っていくと窯跡があった。一見険しそうに見えるこの谷も古くから人間の生活の場なのだ。振り返ると大きな滝がかかっていた。赤ペンキはコグルミ谷の右岸尾根に続いている。
窯跡があった
立派な滝
いやらしいトラバースを続け、コグルミ谷の右岸尾根に取り付くと以前に捜索を途中で断念したP801から右へ伸びる支尾根の下部にたどり着いた。ここにも境界を示す赤ペンキがあったので辿っていく。植林と自然林の境界を下りていくと赤ペンキは見失ってしまったが、古い道型が出てきた。よく見ると白石工業の石杭が道にそって打たれている。この辺りは白石工業の所有地なのだろうか。道型をたどって下っていくと丁度犬返し橋の袂に出た。
泥道トラバース
ペンキ表示が多い
植林の境界を進む
谷のトラバースが厳しい
フェンスに行く手を阻まれた形になったが、ここは出入り口がついていたのを以前確認していたので慌てずに降りていく。ふーやれやれ。疲れた体に鞭をうって国道をコグルミ谷の登山口まで歩いて本日の捜索は終了。またしても成果無しだった・・。
フェンスに阻まれる
でもちゃんと出口がある
本部に戻って状況を報告する。ゾンデ隊も成果がなかったようだ。こうなったら雪が消えた頃を見計らい、谷筋を重点的に探索するしかなさそうだ。そろそろ新緑が芽生え、初夏になるとヒルが発生する山域でもある。残された時間はそれ程多くはなさそうだ。
今回のコース