御池岳遭難を考える 2
2月12日に発生した御池岳でのNさんの遭難(行方不明)は未だに遺留品すら見つからず、捜索も手詰まり状態になってきました。
Nさんがどこにいるかに関しては皆さん色々な推理をされていますが、これまでの情報と3回捜索に参加した感想からもう一度考えてみたいと思います。
(1)捜索範囲
遭難の発生した翌日(2月13日)の捜索は
・藤原岳表道~県境稜線
・木和田尾
・コグルミ谷
・鞍掛峠
の4ルートから捜索が入ったようですが、踏み跡があったのは①藤原表道~御池岳8合目付近、②コグルミ谷登山口から長命水付近、③鞍掛尾根上部(滋賀県側から御池岳のルート)だったようです。
ただし、木和田尾は12日に登られた方がいますし、下山に利用した方もいますので、捜索隊が別ルートをとったのかもしれません。
12日に木和田尾を登った人は県境稜線にトレースは無かったという話があります。当日は降雪もあったと思われるのでトレースはすぐに消えてしまう可能性はありますが、少なくとも白船峠には達していないのではないでしょうか。
鞍掛尾根に関しては上部のトレースはあるものの、下部には無い事から鞍掛峠には到達していないと思われます。
以上から捜索エリアは白船峠~鞍掛尾根P1053の間に絞っていいと考えます。(これでも広すぎるが・・)
(2)Nさんの想定コース
一番の問題はテント場がどこだったかによります。これにも色々意見がありますが、一旦御池岳頂上(丸山)に到達していたのであれば、次の三つが考えられます。
①ボタンブチ近辺
ネットの記事で一番見られる場所。2月4日の我々もここを目指しました。計画するならここだと思います。
②御池岳7~8合目の間
西風が強い場合、風裏に当たるテーブルランドの東側に逃げる可能性は高いです。
③日本庭園方面
帰路を鞍掛峠と考えていた場合、より近い所をと考えた場合。
帰路として考えられるのは、次の二つ。
a)来た道を戻る(カタクリ峠~白船峠)
b)登山届通り鈴北~鞍掛峠
①で幕営だった場合には両方のルートが考えられますが、②の場合は白船峠へ、③の場合は鞍掛峠へと考えるのが確率が高いような気がします。
(3)遭難場所
ではいったいどこで遭難されたのか・・。これまでの捜索で、テーブルランド北東斜面、木和田尾の坂本谷側斜面、真の谷上部を歩きましたが、その時感じたのは「ハイカーが普通に歩く事ができる場所で行動不能に陥る事は考え難い」です。
コースアウトして迷い込むような場所はたくさんありますが、仮に怪我をしたとしてもテントを張れば数日は持ちこたえる事ができるはずです。
遭難後、ただちに行動不能に陥るケースは滑落か雪崩がありますが、2月11、12日は雪が締まって歩きやすかったという記述もあるので、雪崩よりもクラストした斜面を滑落したのではないでしょうか。
そう考えると、滑落した場合、ただでは済まなさそうな場所で登山道上からは容易に見えない場所は・・・
・テーブルランドの西側
・鞍掛け尾根上部の滋賀県側
の三か所が怪しいとにらんでいます。
このうち、カタクリ峠~白船峠間は隊長さんが捜索していますが、ロープを使わないと降りられないような場所に関してはどうだったんでしょうか?
(後はどうしてもコグルミ谷右岸尾根~犬返し谷の線も捨てきれません・・)
遭難推定エリア(クリックで拡大)
個人的にはすぐには動けないのですが、上の三つのエリアを高密度で捜索する価値はあると考えています。
皆さん、どうお考えでしょうか?