晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

中ア 大田切川 中御所谷 沢登り 紅葉の険谷に挑戦 その1 2011.10.09

 

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懸垂下降

<メンバー>

山仲間(2名)

 

<山域、形態>

中央アルプス沢登

 

<コース>

しらび平~中御所谷~千畳敷カール~(ロープウェイ)~しらび平

 

 体育の日の三連休の中日はやっぱりアルプスと名の付く所に行っておきたいな~、という事で日帰り可能な中央アルプスの谷、中御所谷に行く事にする。ただし、この谷、登攀能力が求められ、同じ流域の西横川や東横川とは一味も二味も違うらしい。今回は登攀隊長のI君不在で若干の不安を感じるが、今年の沢の集大成、自分の実力を測る絶好のチャンスとポジティブシンキングで挑む事にする。

 

 例によって最初の核心は駒ヶ根ロープウェイへのバスの順番待ち。前夜12時に菅の台バスターミナルに到着し仮眠。4時に起きて急いで列に並んだが既に100m以上の列が出来ておりげんなり・・。始発は5時10分過ぎだったがバスに乗れたのは6時。しらび台についたのは6時半だった。

 

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既に混雑の始まったロープウェイ乗り場(6:40)

 

 日陰でまだ肌寒い遊歩道を歩いていくと日暮しの滝が見えてきた。時間は7時。今日の混雑を考えると15時には千畳敷きに着きたいので(目標は14時)持ち時間は8時間ってところか。

 

 千畳敷に着くにはまずはこの滝を越えなくては始まらないが緊張する~。記録にあるとおり滝身右側のカンテを登る。ここぞというところに2箇所ほどハーケンが打ってあるので支点には困らなかったが久しぶりに心臓バクバクの登りだった。

 

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日暮らしの滝(7:10)

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写真中央のカンテを登る

 

 多少無様なところはあったがテンションする事無く何とか登る事が出来た。Eちゃんを引っ張り上げ、次の8mはEちゃんのリードで右側のルンゼを登る。日暮らしの滝下にはロープウェイの待ち時間を滝見物でもしようかという人たちが集まってきてこっちを見ている。なんか恥ずかしい。

 

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その上の8m滝

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ギャラリーが集まってきた(8:00)

 

 その上CS10mはとても手が出ないのでこれも記録にあるとおり、右の支谷を登りヤブをトラバースして滝の上に懸垂下降で着地。この時点で2時間経過。苦労したという感じはしなかったがこの時点で持ち時間の1/4を使ってしまった・・。

 

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CS10m 右支谷から巻き

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懸垂下降(9:00)

 

 谷に下りるとようやく普通に歩く事ができたのでほっとする。7~8mの立派な滝が現れるが、どれも上手く巻く事ができる。一旦、谷が開けると雲一つない青空をロープウェイのゴンドラが通過していく。下から手を振ったが反応は無かった。(すし詰めなので仕方がないか)

 

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左から越える

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これも左から

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釜のある滝

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頭上をロープウェイが


 茶苔でヌメヌメのナメを越えるとスラブ滝3兄弟の下段12m(20mの記録も)が現れた。一目見ただけで直登は無理と判断。左からの巻きが簡単そうだったが、手元にあった遡行図がこの上のスラブ滝二つを右から巻いていたので一緒に右から巻いてしまおうと言う事になり、右斜面に取り付いた。

 

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この辺は気楽に

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5m3条ナメ ヌルヌル

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12m右から巻き(これが失敗)(9:35)


 しかし、この判断が誤り・・。易しそうなルンゼも次第に角度が立ってきてついには草付きの急斜面を上へ上へと追いやられる。掴む木の根も無く、ヒリヒリするような高度感を味わいながら樹林帯に逃げ込むと滝は遥か下になっていた。これなら直登に挑戦した方が(もしくは左から巻き)いくらか安全だったかもしれない。結局、草付き斜面をヒヤヒヤのトラバースで何とかスラブ3兄弟をまとめて巻き、ようやく谷に復帰できた。その上に出てきたナメは簡単に越えられる。

 

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巻きの途中から(高過ぎやで)

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その上のナメ(まとめて巻いてしまう)

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やっと谷に復帰(10:35)

 

 次の難関はCSの10m滝。ここは右からの巻きなのだが必ず記録に残っている核心部の一つ。気合いを入れて右の岩棚から草付きの斜面に上がろうとすると好い具合にリングボルトが打ってあった。更にトラバースではいい具合にハンガーボルト(新しい)が打ってあり、ずいぶんと気が楽になった。ボルトのところで一旦ピッチを切ってEちゃんを引っ張り上げ、あとは落ち口に無事着地。ここは案外すんなり抜ける事ができた。

 

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難所のCSの滝 意外とあっさり(11:10)

 

 CS滝の上に現れる滝はロープを出すことなく通過する。すると右から支流が細い滝を架けながら合流してくる。カッコイイ。

 

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右から支流が入る(11:45)

 

 難所と考えていたCS滝を思ったより楽に抜けれたので少しほっとしたが、時間は既に12時前。持ち時間を半分以上使ってしまった事になり気分的に少し焦ってきた。一応、ビバークしても大丈夫な備えはしてきたが、この天気では明け方には氷点下まで下がるだろう、大丈夫かなあ・・、なんて余計な心配が頭をもたげきた。この焦りが後半戦に大いに影響してくるのだが・・。

 

その2へ続く

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