晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

奥美濃 東前の谷から花房山 沢登り 2011.09.24

水が溢れる下流

 

<メンバー>
山仲間(2名)
      
<山域、形態>

 

<コース>
キャンプ場跡~林道終点~東前の谷~花房山~(登山道)~キャンプ場跡

 

 三連休、日帰り連荘沢第2段は前日の天狗谷が軽~く終わらなかった為、当日発で行ける奥美濃に変更。ヤブコギネットの面々が何回か足を運んでいる揖斐川の東前の谷とした。

 家を出たのが遅かったせいか、スタートは9時半になってしまった。建設会社の飯場になっているキャンプ場の跡地から廃寺脇を越え林道を歩いて行く。林道は徐々に草に覆われ、入渓点の木戸中橋付近は完全にヤブ状態だった。橋の左岸側から谷へ降り立つ。

 

草に埋もれた林道終点の橋

 

 事前の情報では苔むした岩のせせらぎと言う事だったがとんでも無い。谷は水が溢れんばかりに流れており、普段なら絶対流れていないような場所も水の下である。轟音と共に巻き上がった水飛沫がミスト状に漂っていてちょっとビビってしまう。

 

いい雰囲気だが

水量が多い

 

 なのでルート取りも最新の注意を払いながら進む。極力水に入らないように飛び石を駆使してピョンピョン進んでいく。出発が遅かったせいもあり、心持ペースを上げる。

 

どこを歩けばいいいのか?

 

 やがて傾斜が緩み、大きな木が目立ち始めると水量はみるみる減り、やがて伏流してしまった。さっきまでの苦労は何だったんだろうと思いながら地形図上にあるガレマークを登っていく。

 

一旦傾斜が緩くなる

伏流する

ガレを登ると

 

 ガレの上の方で水がチョロチョロ現れると小川の流れる台地のような地形になる。栃の巨木も生えており気持ちのいい場所だ。地形図によれば更にもう一段上も平坦地になっているのでそこまで登って昼食にする。

 

癒しの台地(1段目)

滝を越えると

 

 そこは下流部からは想像できない程の癒しの場所だった。流れはゆっくりと蛇行し、落葉樹の大木が木陰を作っている。地面は藪になるほどでは無く休憩するのに丁度いい。ただ、あまりゆっくりもしていられないのでお握りだけの簡単な昼食を取って再スタート。

 

再び癒しの台地(2段目)

巨木が目立つ

 

 台地の右側を進み等高線の詰まった谷に突入すると、これまた表情ががらりと変わり。威圧感のある連瀑帯になる。昨日は明るい花崗岩の谷だったがここは黒い岩の谷で雰囲気が全く違う。まずは連続する斜瀑を快適に越え、8m程ののっぺりとした滝を右から巻く。

 

傾斜が立ってくると

連瀑帯に突入

これは右から巻き

 

 そこから谷は更に傾斜を増し溝状になってくる。ここまでは歩きが中心だったのでシャワー覚悟で突っ込むが、やはり楽しい。傾斜は立っているもののホールドは豊富でそれほど怖くは無い。大きなCSのある滝を巻くと傾斜が緩やかになり、ここでまた雰囲気がガラリと変わる。

 

狭い溝状に

シャワーで突入

この辺は簡単

チョックストーンの滝を巻く

 

 標高はおよそ1000mと少し。左へゆったりと方向を変えて行く。このまま小川をチャピチャプと進んで山頂へ詰めるのかな~と思ったら、そこは奥美濃、そんなに甘くは無かった。徐々に両側の灌木や笹が張りだしてきて、顔やら腕をペシペシと叩きだした。ザックや登攀具は引っかかるしスピードがガクンと落ちる。

 

癒しの小川へ

だんだん流れが細くなり

ヤブで前が見えません・・

 

 もううんざりしてきたところで、F~さんが登山道へショートカット出来そうな枝沢(といっても水は無いが)を発見したので、最後のひと踏ん張り。笹藪の中にピンクテープがチラホラ見えてきたなと思ったらそこが花房山と西峰の鞍部の登山道だった。

 

登山道に合流(これでも登山道・・)

 

 登山道と言っても背丈ほどの笹や灌木があり油断できないが5分も歩くとぽっかりと切り開かれた山頂に到着した。

 

三角点
 
 頂上は360度の大展望。土地勘が無いのでF~さんの解説に頷くしかないが、徳山ダムははっきりとわかった(当り前か)。これだけのいい天気、予定通り遠征していたらどうだったんだろうなあ、と、考えても仕方の無い考えが頭をよぎる。

 

 

 下山は登山道を使う。前半はヤブの中だったがやがて踏み跡もしっかりし、植林帯に入ると立派に整備された道になった。だんだん日が傾いてくるが西に面した斜面なので何とか暗くならずに済む。頂上から2時間弱で登山口に着く事ができた。
 

登山道で下山

花房山と東前の谷

 

 豪快な流れから癒しの台地、連爆、ヤブコギと表情を目まぐるしく変える面白い谷だった。森が美しいので新緑か紅葉の頃に来ると更に素晴らしいだろう。惜しむらくは時間に追われて、急ぎ足で通過してしまった事。もう少し早めのスタートでのんびりすれば良かった。

 

今回の地図