晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

鈴鹿 天狗谷~カニクチ谷 沢登り 鈴鹿の隠れた名渓に出合う 2011.09.23

天狗谷のF4(もちろん直登)

 

<メンバー>
山仲間(3名)
      
<山域、形態>

 

<コース>
旧R421ゲート~雲向橋~天狗谷~県境稜線~カニクチ谷~蟹口橋~旧R421ゲート

 

 9月の2回目の三連休も性懲りも無く上越遠征を企てたが足早に通過した台風15号の影響が読めずまたしても断念(片道500kmで突っ込むのはギャンブルだ・・)、鈴鹿奥美濃の日帰り連荘で鬱憤を晴らす事にする。今回はその第一ラウンドだ。

 行き先は今年のメインテーマ「鈴鹿の記録の少ない沢調査」の一環で宇賀川水系の天狗谷。前回は旧R421手前でゲリラ豪雨で敗退したので今回は上流部を目指す。
 
 旧R421にある雲向橋までは素直に道路を歩く。幸い、白龍神社までは車で入れるので歩くのは30分ほどで済んだ。

 

 雲向橋の傍らは「雲間の滝」の碑がたたずんでいる。橋から覗きこむ谷の中は鬱蒼と木が生い茂り堰堤が見えるのみ。雲間の滝ってどこの事だろうと思いながら左岸の巻き道をたどって堰堤を巻き入渓。直ぐにF1が現れる。

 

雲間の滝の碑 どこの事だろう

最初は堰堤

F1、水量多めかな

 

 F1は見栄えのいい直瀑。ホールドもあり、一見登れそうな感じだったが下部がハングしておりなかなか難しい。水量が多く苦労しそうなので素直に右から巻く。ソマ道まで上がったら上がりすぎたので懸垂で谷に下りる。

 

巻いて懸垂で降りる

 

 続いて現れるF2 も豪快に水しぶきを上げている。傾斜は立っているがホールドは豊富で左側から直登。水は若干冷たいがまだまだシャワーもOKだ。続くF3は傾斜が急な斜瀑。ここも滝身の左側をシャワーを浴びて直登。安全の為ロープを出す。

 

 

F2、左から直登(I君提供)

F3、左から直登(I君提供)
 
 ゴーロを少し歩くとF4が現れた。白い花崗岩のスラブを流れる見事な斜瀑で上部は流れが屈曲しY字状に見える。突破するには右から登って上部で流れを横切る必要がありそうだが、今日は水量が多いのでどうかな~っていう感じ。ただ、ここで巻いても面白くないので挑戦してみましょうという事で取り付く。 

 右側の岩棚を攀じ登り流れの屈曲点に到着。カムで支点を取り、慎重に流れに左足を入れてみると水深は踝ぐらいで何とか流れの中に立てそうだ。思い切って体重を左足にかけ、そのまま樋上の流れの中を進み立ち木で支点が取れる場所まで登る。

 

F4、この谷一番の滝

ルートを読むI君

 

 F4の上は開けた明るいゴーロ。谷中の岩はどれも角が立っており、両岸は抉られたように岩がむき出しになっている。最近の大雨で崩壊を繰り返しているのか。途中、溝状に大きな飛沫を上げている小滝が出てきたので水流に突っ込んでいったが、後続は濡れずに登れるルートでやってきた・・。滝上の大きな一枚岩の上で休憩。

 

ちょっと荒れた感じ

また滝が現れた

寒いけど突っ込む(I君提供)

滝上は大きな一枚岩

 

 C620の二股を左へ進む。支流を幾つか分けると水量はずいぶんと減ってくるがそれでも今日は水量が多めのようで、傾斜の立ったところはちょっとした連瀑帯のようになっていて楽しい。快調に高度を上げていくと背後に旧R421が見下ろせる位置まで登っていた。

 

二股は左へ

細いナメが現れる

国道が見える

 

 C700の二股も左に進むと水も乏しくなり急傾斜のゴーロになる。やがて赤っぽいスラブに流れる滝が現れた。眼下には旧R421が見えており、この滝が「雲間の滝」なのかも知れない。手がかりの無い1枚岩は登れそうに無く、途中から右側の支尾根の樹林帯に逃げて巻く。

 

大きなスラブを流れる滝(雲間の滝か?)

 

 斜面をトラバースして再び流れに復帰すると、まだそこにも水流はあり、小さな連瀑帯を楽しむ。水が枯れたら稜線は直ぐそこだった。

 

左の小尾根から巻いて谷に復帰

更に小ナメが

稜線への詰め

 

 たどり着いたのは三池岳の直ぐ北の鞍部。空は雲ひとつ無い快晴なのだが登山者はいなかった。風を避けられる場所で昼食を取り帰路の相談をする。

 石グレ経由は遠回り、三池岳から八風牧場跡に降りる尾根も今一・・。せっかく沢装備で来ているのだから、と言う事で隣のカニクチ谷を下る事に決定。極力高低差をなくす為、P768とP792の鞍部まで稜線を北上し、降り易そうなガレ場からカニクチ谷に降りていく。

 

快晴の稜線

カニクチ谷へ下降

 

 カニクチ谷は困難な滝や急斜面は無く、懸垂下降をしなくても降りていく事が出来る。そのうち、窯跡やソマ道らしきものが現れて歩きやすくなると右手に出合いが滝になっている場所に出た。両側からほぼ等量の水流が合わさって見事なY字の滝になっている。

 

窯跡

お、何だ

Y字滝だ

 

 水の枯れたゴーロを下っていくのを想像していたので思わぬ収穫だ。F~さんも興奮気味に写真を撮っている。旧国道に出る直前にも幅広の滝が現れ何だか得した気分。旧国道に架かる「カニクチ橋」に上がって無事遡行終了。

 

最後の滝

こんなのがあったんだねえ

 

道路はすぐそこ

 

 天狗谷は明るい花崗岩で形成され、形のいい滝も適度にあってなかなか面白い谷だった。帰路をカニクチ谷にするとコンパクトに周回でき完成度の高いコースになる。十分遡行対象として楽しめるので、皆さんも是非!。

 

今回の地図