晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

宇賀川支流 熊谷から天狗谷下部 鈴鹿秘谷調査 2011.08.27

f:id:ikuyayuuki:20210903214256j:plain

熊谷のF1(鈴鹿の山と谷3、53Pの滝)一度見てみたかった

 

<メンバー>
山仲間(2名)
      
<山域、形態>

 

<コース>
R421~水晶キャンプ場~吊り橋~熊谷~鵜峠橋~天狗谷~旧R421~雲向橋~旧R421~R421



 8月は仕事と天候の関係から思うような山行(沢行)が出来ず少々欲求不満気味。8月最後の週末も日曜日は出張の為、土曜日に近場に行こうと計画、ちょうど同じような事を考えていたI君と鈴鹿の未見の沢に行こうという話になる。

 しかし、鈴鹿で未見というと沢登りの対象となりそうな沢は余り残っておらず、余り記録のn地域研究の趣になる、だが、予想に反しきれいな谷に出会えると普段よりも大きな喜びになる。こういった楽しみも沢登りの醍醐味だろう。

 今回、対象にしたのは宇賀川支流の天狗谷。鈴鹿の山と谷には遡行図付きで解説があるが、記録があるのは上流部のみ。せっかくなので下流部の熊谷から遡行する事にした。

 

 まだ夏休みだというのにまったく人気のない水晶キャンプ場を進み、つり橋の袂から入渓する。花崗岩の白い岩の明るい渓相でこれはひょっとしたら「あたり」かもという期待が胸をよぎる。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214253j:plain

吊り橋から覗きこむ

 

 直ぐに10mほどの立派な滝が現れた。鈴鹿の山と谷③にある熊谷のF1だ(宇賀渓のパンフでは不動滝とされている)。滝の途中にあるCSは写真のまま。流石に直登は無理なので左から入り込んでいる小滝(ガイルゴ谷)を直登する。シャワー全開でなかなか楽しい登りだった。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214256j:plain

熊谷のF1(かっこいい)

f:id:ikuyayuuki:20210903214259j:plain

左の支谷(ガイルゴ谷)の滝を利用して巻き

f:id:ikuyayuuki:20210903214303j:plain

見下ろす

f:id:ikuyayuuki:20210903214306j:plain

小滝が続く(2個だけど)

 

 小滝を3つほど越えると熊谷に復帰しようと尾根に上がるが、直ぐに堰堤が見えたので尾根通しで堰堤を巻く。谷に下りると頭上にR421が走っているおり、しばらくゴーロになる。
 谷は道路が近いせいかゴミが目立ち、コンクリートで覆われた護岸が痛々しい。この国道の必要性を否定するわけではないが(実際よく利用している)、我々が利便性を享受する事で自然が破壊されている事を十分理解しなければならない。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214310j:plain

国道が頭上を走る

f:id:ikuyayuuki:20210903214313j:plain

新国道の施設が見える

f:id:ikuyayuuki:20210903214318j:plain

堰堤が現れる(2個目)

 

  再び堰堤を越えると形のいい直瀑が現れる。真上に旧R421の鵜峠橋が掛かっている。この橋は何度も通った事があるが、直ぐ下にこんな見事な滝があるとは思わなかった。とても登れそうにないので国道まで巻き上がると丁度、新国道と旧国道の分岐の直ぐ上だった。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214322j:plain

鵜峠橋下の滝

f:id:ikuyayuuki:20210903214325j:plain

かっこいい直瀑

f:id:ikuyayuuki:20210903214328j:plain

まあ、登れませんね

f:id:ikuyayuuki:20210903214332j:plain

旧道分岐のすぐ上でした

 

 橋の袂から懸垂で谷に降り立ち再び遡行開始と思ったら又直ぐに堰堤に行く手を阻まれる。手前にちょっとした小滝があるので少し遊ぶ。基本的に堰堤は両岸が立っているところに作られているので滝の巻きよりも厄介な事が多い。ここは左岸から巻く。

 

 その上にも堰堤があり、この堰堤の巻き下りでスリップ。5mくらい滑り落ち、手首に擦り傷を作ってしまった。もう少し落ちていたらコンクリートに頭をぶつけていたかも知れず、危機一髪だった。気をつけなければ。

 

htt

f:id:ikuyayuuki:20210903214336j:plain

橋の袂から谷に復帰

f:id:ikuyayuuki:20210903214339j:plain

ですぐに堰堤

 

 平流を少し進み左又である天狗谷にはいる。直ぐに逆くの字のF1が現れる。ここは右岸に薄っすらと踏み跡がありたどってみると釣り師がつけたであろうトラロープがあった。ただ、支点の木の根はグラグラでなんとも心もとないなのでロープを出して通過。足元はグサグサのザレでとても恐ろしかった。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214348j:plain

天狗谷F1 左から渋い巻き

 

 F1を超えてほっとしたのもつかの間、目の前に見事な直瀑が現れる。鈴鹿の山と谷にも記載のない隠れ滝だ。直登不能で巻くのも大変だなあと思っていたら、急に強い雨が降ってきた。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214352j:plain

F2、F3に行く手を阻まれる
 
 谷の中でこの雨はやばそうな予感がしたので左から流れ込む支谷で非難する事にした。よく見るとバイクや車の残骸(びっくり)があるので国道に通じているだろうと判断。雨に打たれ、真っ暗な谷の中を登ると予想通り旧R421のガードレールが見えた。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214355j:plain

バイクの残骸

f:id:ikuyayuuki:20210903214359j:plain

支流からエスケープ

f:id:ikuyayuuki:20210903214402j:plain

車の残骸まで・・

f:id:ikuyayuuki:20210903214406j:plain

ガードレールが見えた

 

  国道に上がると車軸を流すような雨。道路の上も川のようになっていた。時間はまだ昼前なので鈴鹿の山と谷にある天狗谷の入渓点である雲向橋を見に行こうと雨の中国道を歩いていると、上の方からこれまた雨に打たれた三人組が歩いてきた。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214410j:plain

川になった道路

 

 話を聞くと宇賀川の本流を詰めて小峠から降りてきたらしい。お互いにゲリラ豪雨は怖いねえといって別れた(実は鈴鹿探検人さんだったことが判明)。雲向橋から天狗谷を覗くと何だかヤブっぽい印象だった。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214413j:plain

天狗谷の上流を見る

f:id:ikuyayuuki:20210903214416j:plain

「雲間の滝」の碑

 

 あとは雨のシャワーを浴びながらのんびり旧道を歩いて車まで、時々遡ってきた谷をのぞきこむと茶色い濁流に変わっていた・・・。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214420j:plain

鵜峠橋の下、流れは濁流に・・

 

 今回は本来の目的地(天狗谷上部)に到達する前に雨で敗退となってしまったが、こういう記録の少ない谷を調査、探検の気分で歩くのも悪くない。あたり、はずれどっちだったかと言われると後者になってしまうのだが。

 

f:id:ikuyayuuki:20210903214424j:plain

今回の地図