晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

台高 本沢川 釜ノ公谷① 高巻き3時間1本勝負 2010.07.17-18

 

f:id:ikuyayuuki:20200920071356j:plain

最初は冷たいなあ

 

<メンバー>
山仲間(3人)
      
<山域>
台高

 

<コース>
大台ヶ原P-川上辻-大台辻-釜ノ公谷出合-(谷中泊)

 

 長っかた梅雨もようやく明ける気配。一気に勢力を伸ばした太平洋高気圧は梅雨前線を持ち上げ、岐阜辺りに大雨をもたらしているが、紀伊半島は難を逃れたようだ。1週間前から大台ヶ原の雨量を確認し、これならいけると判断。メンバーに決行のメールを送る。

 

 金曜日は生憎の出張で名古屋空港に帰着したのが21時30分・・。急いで帰宅し、荷物をチェックしてから3時間の仮眠。3時前に一路大台ヶ原へ向けて車を走らせる。(亀山からはM君に乗せてもらいましたが・・)

 

 何とか集合時間の6時30分には大台ヶ原駐車場へ到着。先に来ていたI君と合流し、車1台で川上辻へ移動。まずは筏場道を釜ノ公出合までのハイキングだ。通行止めの表示はあるものの最初は快適な登山道、大台ヶ原特有の深い森に心が和む。

 

f:id:ikuyayuuki:20200920071334j:plain

いい雰囲気の筏場道

 

 しかし、金明水を過ぎたあたりから崩壊箇所が目立つようになってきた。平成16年に整備された橋が落ち、トラバースするにも慎重にならざるを得ない場所がいくつもある。大台辻を過ぎると道はさらに荒れてきて、歩くペースはぐっと落ちてしまう。

 

f:id:ikuyayuuki:20200920071330j:plain

崩壊箇所も多数・・

f:id:ikuyayuuki:20200920071340j:plain

おのずと慎重に

 

 結局、釜ノ公谷出合についたのは3時間以上かかってしまった。吊り橋で大休止を兼ねて沢装束に着替え準備を整える。みんな泊り装備の重さに四苦八苦、これで滝を登ったりできるのだろうかと心配している。

 

f:id:ikuyayuuki:20200920071343j:plain

やっと釜ノ公谷出合

f:id:ikuyayuuki:20200920071347j:plain

装備を整えて、さあ出撃

 

 出合は簡単に入渓出来そうにないので、右岸の薄い踏み跡をたどり岩峰を越す。すると残置ロープがあったので、それを掴んで谷に下りる。入渓点はつり橋からほんのすぐのところ。

 

f:id:ikuyayuuki:20200920071352j:plain

入渓、いきなり厳しい

 

 入渓後、いきなり腰まで水につかっての突破になる。午前中の登山道歩きで火照った体にはちょうどいい。岩のフリクションを確かめ、全身を使って体を持ち上げているとようやく沢モードに切り替わってきた。

 

f:id:ikuyayuuki:20200920071356j:plain

最初は恐る恐る

 

 水量多めの斜瀑を通過し、右岸にあるゴルジュの巻き地点を探しながら進むがどこも角度が立っていていやらしい・・。ついに写真でよく見るゴルジュ入口の滝を確認し、改めて通過は難しいと実感する。何度も飽きるほど写真を見たのでちょっと感動。

 

f:id:ikuyayuuki:20200920071400j:plain

水量はちょっと多めかな

f:id:ikuyayuuki:20200920071404j:plain

ゴルジュ入口の滝、突破不可能

 

 いよいよ本日の核心部であるゴルジュの高巻き。どの記録をみても「いやらしい」とか、「厳しい」と書かれているので慎重にポイントを探す。ゴルジュ入口の滝から2mほどの滝をひとつお降りて、どうもルートっぽい箇所を見つけた。

 

 トップは一番登攀能力のあるI君に任せ、ロープをだしてアタック開始。立木をつかんで急角度の泥壁を登って行くのはとてもいやらしいが、I君は軽々とルートを切り開いていく。

 

 何回かピッチを切っても上へ行くばかり、なかなかトラバースに入る気配が無い。高巻きを開始してすでに3時間が経過したところでI君が、「ここはひょっとしてトラバースですか?」と聞いてくる。ガ~ン!!。聞けばI君は上へ上へと乗り越えていくものだと思っていたらしい。すでにかなりの高度を稼いだのだが、肝心の滝の落ち口を超えたかどうかよくわからない。痛恨の作戦ミスだ。事前にコース確認をしておけばよかった。(お互いわかっているだろうというのが一番悪かった・・反省)

 

 とりあえず、直ちにトラバースに移ることにしたが、これまた不安定な泥壁を立木をつかんでのトラバースはヒヤヒヤもの。それでも3ピッチほどの平行もしくは下降気味のトラバースで壁の傾斜が緩くなり、懸垂下降せずに川床に降りることができた。(ホッ)結局ゴルジュはすべて巻いてしまったようで、すぐにゴーロ帯になった。

 

f:id:ikuyayuuki:20200920071408j:plain

厳しい右岸巻き

 

 無事川床に降り立ったときは全員歓声を上げていた。沢登り4回目のM君は巻きの途中、半ば放心状態、I君はここでのビバークも覚悟していたという(まあ、それは無いけど)。

 

 あとは快適なテン場を探すだけ、居心地のよさそうな中州を過ぎ、少し進んだ左岸の河原に落ち着いた。焚き火用の薪も十分に確保でき、楽しい夜になった。お互いに今日の激闘を称え合い、反省点を確認して明日の遡行に備えることに。明日はいよいよ50m滝だ。

 

f:id:ikuyayuuki:20200920071413j:plain

寝床設営

 

つづく↓