白山 大白水谷 青空の紅葉遡行 2009.10.04 晴れ
水が不思議な白さを見せる滝
高い山からは紅葉の便りが聞こえてきた。10月の三連休ではもう遅いよ・・との情報もあり、いつまでも沢登りをやっている場合でも無いのだが、それでも沢熱はまだ冷めやらじ。それならば紅葉の沢はどうかな、という事で白山の大白水谷をチョイスした。大倉山の避難小屋までなら十分日帰りのコースタイム。山頂まで詰められないのは残念だが贅沢は言ってられない。
平瀬道登山口についたのは深夜0時頃。まだ駐車場には余裕があるが既に前夜泊組で1/3は埋まっている。仲秋の名月はヘッデン無しでテントが設営出来るほど明るく、しばらく月見を楽しみたかったが、睡眠時間が惜しいので早々に寝る。
翌朝は6時半出発のつもりだったが、4時過ぎから到着する車、準備をする物音がうるさく、寝不足のままうとうと・・。結局7時の出発になってしまった。
登山口は車でいっぱい
駐車場のから林道を戻って最初の橋から入渓。最初はゴーロが続くのだが、気温の低い朝は水に濡れるなんてとんでもない状態。濡れないようにへつったり、石を飛んだりしていると思いのほか時間がかかってしまう。ただ、空は雲ひとつない青空なのがうれしい。
最初は長いゴーロ
ピーカンの青空
1時間ほどのゴーロ歩きの後、転宝輪谷を右に見送ると滝が現れゴルジュが始まる。シャワーでバシャバシャ行くとなんて事の無い滝も極力濡れないようにルートを取ろうとすると難易度はアップしてしまう。合羽の上を装着し突破にかかる。
最初の滝
極力濡れないように
最初のお握状の2条の滝は真ん中から突破。その上の滝も右側を直登。適度はホールド、スタンスがあり、見た目ほど難しく無いがもろい岩質なので剥がれないか確認をしてからソーッと体重をかけなくてはいけない。
お握り岩
中央から突破
右を直登
続いてこの谷最大の25m。ここはセオリー通り左からの直登。トップを託したC君はさすがに身が軽くスルスルと登って行ってしまう。つづく私も何とかクリア。ここではC君がATCを滝下に落とし、懸垂で取りに戻るというハプニングもあったが比較的すんなりクリアできた。
この谷最大の25m
滝の左を直登
これで緊張する場面は終わりかな、と思ったら甘かった。次から次へ10mクラスの滝が出てくる。どれも直登可能だが、やっぱり見ずに濡れないようにルート取りをすると難しくなる。
これは左から突破
水面に映る滝
右から巻き
この谷は名前の通り水が白い色をしている。どうやら温泉成分が析出しているようで、岩にも白い色が付着している。まるで露天風呂の湧きだし口のようだが、本当の温泉のように暖かくは無い。
白い滝
温泉成分が析出している
直登全開
途中、先を歩くC君がなんともいえない変な顔をして振り向いた。何かなと思い足元を見たら、岩の下に衣服のような布が!一瞬、遺体かと思ったがどうやら衣服では無く布製のシュラフのようなものだった・・。ああ、びっくりした。
一瞬、ドキリ
この後も出てくる滝を順調に突破しながら遡っていく。太陽のおかげで気温も上がってきたようで合羽の上からなら濡れても余り気にならなくなってきた。うーん、気持ちいい。
これも白い滝
もう濡れても気にならない
空が青いなあ
ゴルジュ最後の12m滝は私がトップで左の草付きを這い上がったが、ズルズルの泥壁で草も頼りなく、2回ほどずり落ちそうになった。何とか滝上まで這い上がったものの、支点を取る岩も脆いのでC君には右から高巻いてもらった。あー怖かった。
最後の難所、左の草付きを登る(怖かった~)
上から眺める
12m滝を超えるとゴルジュは終わり目の前がバーンと広がった。目の前には白山のすそ野が広がっている。紅葉も2000m辺りまで色づいているようでいい感じである。ここで昼食を取り、ルートを確認。本流が右へ折れる辺りで左からの支流に分け入る。
左の支流に入る
雪渓で削られた跡?
詰めはヤブも無く快適と思っていたら、そんなに甘く無かった。谷芯を外すと横に伸びた灌木が邪魔をし、なかなか前に進ませてくれない。水流のある方ある方へ進んでいくと谷を一本間違えたようで大倉山のずいぶんと上に出てしまった。(最初は鞍部に出るつもり)
大倉山のずいぶん上に出てしまった
登山道に出る直前の十数メートルは草に滑って難儀したが、あとは登山道を快適に下るだけ。大倉山の避難小屋で靴を履き替えているとちょうど下山してくる人たちに質問攻め(どこから登ったの?何時間かかるの?滝はどうするの?etc)に合い、ちょっと閉口する。小屋から下の紅葉はこれからの様子だった。
のんびり下山
紅葉がいい感じ
ミツバチも忙しい
小屋からは約1時間と少しで登山口に到着。湖畔の露天風呂で汗を流し、帰路に就く。帰りは渋滞も無くすんなりと名古屋まで。
初めての白山の沢は思ったよりも手強く、変化に富んで楽しかった。来年は花の咲く頃、雪渓を詰めて頂上まで、なんてのもいいなあと思ってしまう。遠いところ付き合ってくれたC君、ありがとね。