晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

愛知川本流からツメカリ谷 悲しみで埋まった清流 2009.08.16

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砂利で埋まった 天狗滝の淵

 
<メンバー>
サークル

 

<山域>

 

<コース>
朝明-ハト峰-白滝谷出合-天狗滝-白滝谷出合-ツメカリ谷-白滝谷上部-ハト峰-朝明

 

 愛知川本流白滝谷出合いからヒロサワまでの区間は、距離は短いながらも白い花崗岩の明るい渓相の中、エメラルドグリーンに輝く淵を泳ぎ、天狗滝からのダイブ、夫婦滝のスライダーでスリルと冒険を楽しめる、沢遊びのテーマパークのような場所である。

 今、夢中になっている沢登りとの出会いの場所であり、私にとってはかけがえの無い場所。恒例となったSハイ企画で今年も訪れる事にする。

 

 夏休みの子供たちで賑わうかキャンプ場を通過し、羽鳩峰を目指す。猫谷の縄たるみ堰堤説明看板の所で先行する沢装束のパーティーに追いつく。その中のお一人はどこかで見たような顔だな~と思っていたら竜さんだった。先に声を掛けていただいて恐縮する。同じく愛知川本流を目指すそうだ。今日のメンバーは私以外全員20代、全然疲れている様子も無いので先に行かせていただく。

 

 谷コースを選択するがここも9.2豪雨の被害が色濃い所だ。谷には土石流が流れ込み、巨石、倒木で雑然としており以前の面影はどこにも無い。ただ、ここも一連の登山道整備の手が入っており、荒れてはいるものの、ずいぶんと歩きやすくなっている。

 

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まだ痛々しいネコ谷

 

 約1時間でハト峰に到着。皆さんこの時期は鈴鹿を敬遠するのか静かな佇まいを見せている。小休止の後、白滝谷出合いを目指し滋賀県側へ下る。

 

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誰もいないハト峰

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アカナメ

 

 白滝谷沿いの長い道を下り、朝明出発から2時間と少しでようやく白滝谷出合いに到着、ここで昼食。

 ふと、目の前の流れを見て何となく違和感を覚える・・。どうも河原が少し広くなっているような・・、水も心なしか白く濁っている様な気がする。

 

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白滝谷出合(河原が広いような・・)

 

 そんな違和感は無かった事にして遡行開始。今回は沢初体験が二人いるのであくまでも慎重に、安全に。

 まず初めはゴーロ歩き。曇り空から日差しが現れ、河原の白い岩に反射してまぶしいくらい。今日、初めて沢靴を履くメンバーは登山靴との感触の違いに戸惑っているようだ。

 

 やがて、本コースの最初の見せ場、長淵での水泳大会。ザックの腰ベルトを締め直し、さあ、泳ぐぞと思ったらなんと水深は膝下・・、足のつかなかった淵はすっかり砂利で埋まっていた・・。

 

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さあ、泳ぐぞと思ったら

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あれれ・・膝下?
 

 下谷尻谷出合付近は谷が狭まっているせいか、大きな変化はないように見えたが、その先の淵もすっかり埋まり、かつてエメラルドグリーンの水が湛えられていた場所には砂利が盛り上がっていた。その先のミニS字廊下も歩いて通過・・。あっという間に天狗滝の淵についてしまった。

 

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下谷尻谷出合付近

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ここも埋まっている・・

 

2005年の様子 

ikuyayuuki.hatenablog.com

 

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ここも歩いて通過・・

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天狗滝の淵へ

 

 天狗滝の淵も同様で、滝の傍まで歩いて近づける。水量は多く、直登はちょっと無理。このうえはスライダー、七丈淵と見どころはあるが、おそらく埋まっているだろう。ここを巻いてしまえばあっという間にゴールのヒロサワについてしまう。今回、沢初体験のメンバーもいるのにこれではあんまりだ。そう考えてコースを変更することに。Uターンして白滝谷出合を目指す。

 

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ここも埋まっている・・
 

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天狗滝

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下谷尻谷出合

 

 変更後のコースはツメカリ谷。上流まで遡行し、白滝谷道へ乗り越せばハト峰へも容易に帰ることができるし、沢登りの楽しさも味わえるだろう。すっかり暑くなってしまったので、なんと泳げる場所を見つけながらツメカリ谷出合まで下ることにする。

 

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ツメカリ谷目指し、泳ぐ

 

 ツメカリ谷出合へは30分かからずに到着。Uターンのロス時間も許容範囲、さっそく遡行開始。最初のミニゴルジュでヘツリを交えて突破し、出口の滝は泳ぎとシャワークライム。やっと楽しくなってきた。

 

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ツメカリ谷出合

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さあ、気を取り直して

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楽しく小滝を越えて行く

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左からシャワーで突破

 

 いつもは飛び込むだけのスダレ滝も左から直登、その後も次々と現れるナメに心癒されながらさかのぼっていく。降渓に使うことが多いのだが、登ってみると改めてその良さを再認識する。階段滝、裏見の滝を通過し、谷は森の中に入っていく。

 

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スダレ滝

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左から直登

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癒されます

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手掴み

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階段滝(洗われてキレイになった?)

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滑を歩く

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裏見の滝

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やがて樹林の中に

 

 白滝谷への乗り越しは以前まで目印にしていたケルンがなくなってしまったので、右手にある黄色のテープを注意深く探す。両岸が開け平坦になり始めた辺りでテープを見つけ支谷へ入っていく。尾根を乗り越し、これまた支谷を下ると白滝谷の登山道に合流。後は朝来た道を戻ってハト峰まで。

 

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上手く白滝谷上部へ

 

 ハト峰は午前中と同じく静かな佇まい。金山の方向に鹿が2頭、こちらを見ていた。ここから朝明までは小一時間。愛知川が埋まってしまった悲しみと、ツメカリ谷が沢が初めてのメンバーにも好評だった安堵感を感じながら、ガレた谷を下っていった。

 

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鹿の佇むハト峰