宇賀川 蛇谷 三度目の腕試し遡行 2009.06.20
今回の課題 CS8m
<メンバー>
山仲間
<山域>
<コース>
宇賀渓~蛇谷出合~県境稜線~金山尾根~宇賀渓
自身三度目の宇賀川、蛇谷。竜ヶ岳に突き上げるこの谷は傾斜があり次から次へと滝が出てくるちょっとしたアドベンチャー系のコースになる。今年は思うところあって、減量、筋力アップに柔軟体操と衰える一方の身体能力の向上に努めてきた。沢シーズン本番を前に自分の能力を測るにはちょうどいい。
宇賀渓のアーチ手前の無料の駐車スペースにはすでに数台の車。空はどんよりと曇り、竜ヶ岳の頂にはガスがかかっている。早速身支度をして出発。
30分ほど林道を歩いて白滝吊り橋から入渓。最近雨が降っていないせいか水量は非常に少ない。最初はゴーロを飛石で歩くがウォーミングアップにはちょうどいい。去年の豪雨以来ここに来るのは初めてだが、大きな変化は見られない。魚止の滝をちょっとだけ見物し、登山道を利用して巻きあがる。すぐに谷に下りて遡行再開。
魚止滝
魚止の滝から燕滝の間は一応「川沿いコース」という道標がついているが、膝までの渡渉やちょっとした淵など、普通の登山靴ではとても歩けないコースになっている。所々梯子の残骸やフィックスロープが見られるが、歩くとすれば濡れる覚悟が必要だ。
宇賀川本流
やがて両岸が壁のように狭まり正面を燕滝に遮られると蛇谷出合に到着。ここで小休止の後、右の急峻な谷を上がっていく。出合には川床から10mくらいの位の箇所に燕滝の巻き道がつけられていたが豪雨の影響か崩壊しており通行不能。川通しで宇賀川を遡るのは困難になってしまった。
燕滝
すぐにあらわれる15m滝はまるで天から降り注ぐような迫力。とても直登は無理なので、左のルンゼを詰め、尾根に取りついてモンキークライム。落ち口には鎖が設置されている。高度感はあるが見た目ほど危険では無い。
蛇谷出合
最初の難関15m滝 左からモンキーで巻き
15m滝の後、滝をいくつか超えると登山道が横切る。中道や長尾滝に向かう時にいつも休憩する所だ。滝の写真を撮ろうとするが、雲が厚く辺りは暗い・・、手ぶれ写真ばかりで苦労する。
登山道が横切る 五階滝の一部
暗い・・五階滝の一部 10m滝 巻き
ぶれないように必死
五階滝の連瀑帯を通過すると地溝のような狭い廊下。CSの1m滝があるのみだが、去年と比べ、なんだか岩の配置が変っているようだ。これも豪雨の影響か。
狭い廊下
狭い廊下を過ぎ、二つ目の廊下の入り口の10m滝、7m滝も直登でクリア。しかし少し緊張したので、後続は巻きを選択。その後、次々と現れる滝を順調にクリアし、ついに今日の課題目しているCS8m滝に到着。左のバンドから突破するのだが、落ち口へ抜ける最後が微妙な高さで手がかりに乏しく、去年はショルダー+お助け紐で通過したところだ。(メンバーの一人は何と宙づりに・・)今年は自力で突破できるだろうか。
取りついてみるとやはり微妙な高さ。思い切り背を伸ばし、ホールドを探るが背中のザックが窮屈だ。ザックだけ滝上にずり上げ、空身で胸ぐらいの高さの岩を超える。やった。念のため、後続はロープで確保する。
CS8m 左から突破
廊下の連瀑帯をぬけると谷が少し広がり窯跡が現れる。鈴鹿はどこででも炭を焼いていたのだと今更ながら感心する。右側の金山尾根方向からの道型らしきものが見える。
窯跡
続いて現れたCS5m滝は右から巻き、その後の2条7mは右側の凹部を攀じ登る。うーん、順調。
右から巻き
右の凹部を突破
2条7mを過ぎると滝は無くなり、開けた空間に出る。ちょうど昔の登山道が谷を横切り、中道に向かうあたり。ここにも炭焼きの窯が点在する鈴鹿らしい風景。約20年前の桑名自然親子教室のプレートに驚いてしまう。
開けてきた
水を浴びても寒くない
古い登山道が横切る
まだまだ続く滝
ここから先はしばらくゴーロが続くが、岩質が変わる辺りから倒木が増え、雑然とした雰囲気になってくる。あちこちに崩壊した斜面と谷に放り込まれた間伐材が行く手を阻む。遡行するのがつらくなってきた。
崩壊が目立つ
倒木
少し開けてきた
倒木の下を乗り越えたり潜ったりしてなんとか先へ進むと谷は開けてきて源流の雰囲気。しかしここでコースミスをしてしまう。850m当たりの二股で本来左へとるはずの支流を右に入ってしまった。傾斜がどんどん急になり谷を詰めるのがきつくなったので左の尾根に逃げ、そのまま稜線まで。どうもP1024から南南西に延びる支尾根に乗ったようだ。視界が開けるとどんよりとした雲の下に竜ヶ岳が見えた。
右の支谷へ入る
ガスの竜ヶ岳
詰め上がるはずだった広い笹原
鹿の踏み跡を拾って稜線まで出るが、視界は悪く風も強いので山頂はパスし、このまま金山尾根を下る事に。笹原はヒルやダニの恐れがあったので、とりあえずどんどん下り、花崗岩質に変わった乾いた尾根の上で昼食にする。途中、一斉に散った卯の花が白い絨毯のようになっていた。
稜線までもう少し
金山尾根分岐から遠足尾根
卯の花の絨毯
登山道に合流し、吊り橋の辺りまでくると雨がポツポツと降り出した。何とか持ってくれて助かった。宇賀渓では家族連れやカップルの姿がぽつぽつとみられた。
3度目の蛇谷、狙い通り直登メインの遡行ができ、なかなかに成果の感じられる山行だった。ただ、上流部の倒木や斜面崩壊はいただけない。次回は核心部を過ぎたら登山道からエスケープするのもありかもしれない。