晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

若狭耳川水系 割谷 緑の滴る幽玄の谷 2009.05.30

f:id:ikuyayuuki:20210729215447j:plain

幽玄の谷を遡る


<メンバー>

山仲間

 

<山域>
若狭

 

<コース>
割谷出合~割谷の頭~寒風~P941~P727~林道


 週末になると天気予報のマークが雲か傘になる・・。当初の予定では台高にシロヤシオを求めての沢登り、または白山へ残雪スキーか、と考えていた。しかし天気とメンバーに恵まれず、前日まで行き先を決めかねていたところにとっちゃんからお誘いのメール。山日和さんと若狭方面への沢登りとの事。先週の公開山行には参加できなかったので二つ返事でOKし、金曜夜の飲み会は乾杯以降ウーロン茶に切り替えて翌日の早朝発に備える。

 

 集合場所の敦賀へは思ったより早く着いてしまいったが、トイレを探してうろうろしている間にメールが入る。前夜泊の皆さんはすでに集合場所の到着したようだ。すぐに集合して入渓ポイントまで車を進める。

 

 林道脇の橋の袂から入渓する。小ぶりな谷だが岩は苔むし、両岸の木々は新緑から深緑へ変わろうとしている。緑であふれている谷だ。

 

 最初に現れた小さな滝を山日和さんが越えようとするが朝一で濡れるのはまだ辛いということで巻き。私もシャワーで挑戦するが水が冷たく、怯んでしまい同じく巻く事に。でも一度濡れてしまうと何だかさっぱり目が覚めた。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215346j:plain

遡行スタート

 

 しばらく行くと崩れた石組の堰堤が現れる、鈴鹿ほどでは無いにしても窯跡もあり、人々の生活と密接に関わっていたのが分かる。

 苔むした岩間を流れる流れを気持ちよく遡って行くと栃の大木が次々と現れる。よく伐られずに残っているなあと思っていると、実が食用になるのでとても重要な木との事(山日和さん談)、なるほど。ホームグランド鈴鹿では見慣れない風景に新鮮な気持ちになる。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215351j:plain

壊れた石組の堰堤

f:id:ikuyayuuki:20210729215356j:plain

栃の巨木が目立つ

f:id:ikuyayuuki:20210729215400j:plain

いい雰囲気

 

 数メートルの滝もいくつか現れたがいずれも簡単に登ることができる。最初に濡れたのでシャワーも気にならないで気持ちいい。やっぱり沢は楽しいなあ。やがて雲の中に突入したのか、急に視界が悪くなってきた。霧の中に浮かぶ巨木のシルエットを見ながらの遡行はなんだか幻想的。最近は天気が悪くてもそれなりに楽しめるようになってきたかも。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215406j:plain

気持ちよく直登

f:id:ikuyayuuki:20210729215411j:plain

高度感があるけど以外に大丈夫

f:id:ikuyayuuki:20210729215415j:plain

ガスが出てきた

f:id:ikuyayuuki:20210729215420j:plain

斜面に鎮座する栃の巨木 

f:id:ikuyayuuki:20210729215424j:plain

幽玄の世界

 

 やがて、8mほどの直瀑が行く手を遮る。トップの山日和さんが右手の草付きの斜面を登るがどうも不安定。ここはロープを出してもらい突破。ちょっと緊張する。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215430j:plain

ちょっと大きめの滝

f:id:ikuyayuuki:20210729215434j:plain

右側の草付きから

 

 幽玄の栃の森の中を歩いて行くと谷は次第に傾斜が緩くなり、頭上も開けてきた。何だか源流の雰囲気。それでも小さな滝が次々と現れ、まだまだ遊ばせてくれる。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215438j:plain

次々と現れる栃

f:id:ikuyayuuki:20210729215443j:plain

谷空木が美しい

f:id:ikuyayuuki:20210729215447j:plain

ガスが濃くなってきた

f:id:ikuyayuuki:20210729215452j:plain

傾斜が緩くなってきた

f:id:ikuyayuuki:20210729215457j:plain

でもまだまだ遊べます

 

 いくつか支流を見送ると水量はどんどん減っていき、ついには涸れ谷のようになってしまう。水が涸れる一歩手前で昼食用の水を汲み、いよいよ詰めに突入。うんざりするほどの藪を予想していたが、いきなり笹原が広がり何だか拍子ぬけ(でもホッとしたなあ)。
 明るい雰囲気に矢問さんは赤木沢のようだと冗談を飛ばす。私はなんだか鈴鹿に雰囲気が似ているなあと思ってしまう。鹿のつけた道型をたどって稜線に出るとそこは気持ちの良さそうなブナの林になっていた。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215502j:plain

詰めは笹原に飛び出す

f:id:ikuyayuuki:20210729215507j:plain

あの鞍部が目標

f:id:ikuyayuuki:20210729215512j:plain

きれいなぶな林

 

 割谷の頭に立ち寄った後、稜仙を少し歩くと立派な登山道に合流した。今までなかったテープや道標が現れたと思ったらぽっかりと見晴らしのいい展望台のような場所に出た。寒風というピークで高島トレイルの途上にあるらしい。眼下にうっすらと琵琶湖が見えた。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215516j:plain

寒風から琵琶湖を見下ろす

 

 昼食はぶなの林の中でのんびりと。昼から天気が悪くなる予報だったのに空はなんだか明るくなってくる。先週といい、今週といい、日頃の行いがいいのかなあ。1時間ほどたっぷりと休憩をとった後は靴を履き替えて下山にかかる。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215521j:plain

ぶな林でのんびりと昼食

 

 下山は一旦、赤坂山へ向かって高島トレイルを歩き、途中をP941へ向かって左折する。稜線上は気持ちのいい笹原で、右手には琵琶湖がさっきよりもはっきりと浮かび上がっていた。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215527j:plain

笹原の稜線

f:id:ikuyayuuki:20210729215531j:plain

ガスが晴れてきた

 

 P941への尾根は藪も無く、ぶなや栃、ミズナラの巨木が佇むとても雰囲気のいい尾根だった。途中にはしっかりとした道型もあり、昔から歩かれていた尾根なのだろう。この辺りをよく歩いている山日和さんをしてもこれだけのぶなの尾根は見事だそうで、大きなが現れる度にカメラを構えて写真を撮っている。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215536j:plain

ぶなの多い尾根

f:id:ikuyayuuki:20210729215540j:plain

日差しも出てきた

 

 圧巻だったのは周囲5mを超える栃の巨木。まるでこの山の主の様。絡まる蔦が何だか注連縄をイメージさせ、神々しくも思える。この下山路の楽しさは山日和さんも予想外だったようだ。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215545j:plain

栃の巨木(周囲5m以上)

 

 最後は鉄塔巡視路を使って林道に降り立つ。藪漕ぎも激下りも無い穏やかな下りだった。お疲れ様でした。帰りは敦賀でお風呂と食事を済ませて帰路に着く。

 

f:id:ikuyayuuki:20210729215551j:plain

鉄塔巡視路を経て林道へ

f:id:ikuyayuuki:20210729215555j:plain

お疲れ様でした

 

 帰りの運転はさすがに眠かったので、途中で仮眠しながら家までたどり着いた。今日はいい一日だった。

 同行していただいた山日和さん、矢問さん、とっちゃんさん、ありがとうございました。