晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

竜ヶ岳 大当たりのシロヤシオ 2009.05.24

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シロヤシオと竜ヶ岳

 

<メンバー>
サークル

 

<山域>

 

<コース>
宇賀渓~五階滝~長尾滝~小峠~石グレ峠~竜ヶ岳~セキオノコバ~(金山尾根)~宇賀渓

 

 毎年5月の下旬になるとシロヤシオを求めて竜ヶ岳に登っているが、2006年から2008年は気候の影響もあってか花付きがさっぱりの年が続いていた・・。しかし今年はどうやら大当たりの年らしい。5月上旬の中腹での咲き具合、蕾の多さを見ても明らかだ。後気になるのは天気だけという事で当日の朝を迎える。

 

 朝、5時半に降水確率を確認・・。前日の夕方には30%だった確率が60%にまで上がっている。しかしここで怯んではいけない。レーダーでの雲の様子を確認すると降水の範囲は北部が中心のようで何とか大丈夫だろう。今年を見逃せばあと何年先かわからないのは何とも悔しいので強行する事に。

 

 集合場所へ到着したのは一番最後だった。ゲート横の無料駐車場な8時過ぎの時点でまだ空きがある。この時期の竜ヶ岳にしては珍しいが今日の天気予報では致し方ないだろう。準備をしているとmayonekoさんが現れた。シロヤシオを見に行くらしいが、昼から雷雨の予報なので沢コースはあきらめるとの事。
 
 我々も当初は新町へ移動し、青川峡から治田峠経由で縦走の予定だったが、湿度の高い青川峡を歩くのは献血をするようなものなので、標的を竜ヶ岳のシロヤシオに絞り、宇賀渓を起点に周回する事に。

 

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白滝橋を渡り

 

 まずは石グレ峠を目指し表道を行く。このコース、滝を眺めたり徒渉を繰り返したり変化に富んで面白い。初夏に歩くのにはうってつけのコースだ。徒渉が苦手なKちゃんはNさんに手を引いてもらっている。

 

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五階滝

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徒渉が苦手のKちゃん

 

 最初は曇りがちだった空模様も次第に明るくなり、長尾滝に到着するころには青空が見え始めた。滝壺はコバルトブルーに輝き、夏なら飛び込みたくなるような美しさ。しばらく滝を眺めて休憩した後、梯子を登って小峠に向かう。

 

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コバルトブルーの長尾滝

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見とれるメンバーたち

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鉄ハシゴで滝の上へ

 

 更に何回か徒渉を繰り返し、小さくなった流れに沿って歩いて行くと国道421のガードレールが見えた。小峠だ。ここから石グレ峠までは国道を歩くことになる。
 国道421号は去年9月の豪雨以来通行止め。被害は思った以上に大きく、土石流に流されたガードレールや抉られた路肩が随所に見られる。本当に復旧するのだろうか?

 

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小峠のコンクリート

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国道421号 9.2豪雨の傷痕

 

 石グレ峠でNさんからスイカの差し入れ。保冷パックで冷やして持ってきてくれるなんてなんてサービスがいいのだろう!おいしかった。スイカで元気を補充したらいよいよ竜ヶ岳を目指す。見上げると青空が広がり、これはいよいよ期待できるかも。上のほうでシロヤシオが咲いているのも視認できる。

 

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Nさんからスイカの差し入れ(美味しい~)

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青空が見えた

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シロヤシオ発見

 

 急坂をふうふういいながら登り、重ね岩で休憩。ここがサークル初参加の時に訪れた場所とあってTちゃんはうれしそう。早速5年前と同じように重ね岩によじ登って絶景を楽しんでいる。さあ、山頂部まで一気にラストスパート。高度があがるに従ってシロヤシオの花が増え、最後は花のトンネルを歩いているようだ。

 

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石グレ峠を見下ろす

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重ね石に登るTちゃん

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シロヤシオのトンネル

 

 樹林帯を抜けると傾斜は緩くなり、視界がぱっと開けると、目の前に竜の背中のようにうねった稜線が伸びている。ここまでくれば山頂までは後少し。一気に笹の稜線を駆け上がり、山頂の向こうに目をやると素晴らしい景色が目に飛び込んできた。
 
 蛇谷の源頭部にあたる緩やかな傾斜地にシロヤシオの群落が白い花をつけて群れている様はまさに羊の牧場のようだ。すでにピークは過ぎており、幾分、葉が増えて緑の羊になりかけている木もあるが、それでも景色の素晴らしさは変わらない。昼食はこの絶景を楽しみながら山頂で摂る事に。

 

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樹林帯を抜けると

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竜の背のような山頂部へ

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シロヤシオの羊

 

 山頂でごはんを食べていると中道方面から秋狸さんととっちゃんさんがひょっこり現れた。今日はよく知りあいに会う日だなあ。お二人は景色のいい場所を求めて少し下ってみるそうだ。

 

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みんな笑顔

 

 昼食を終えると天気は良いほうに変っているようで、青空が本格的になりつつある。それならば、ということでセキオノコバまで足を延ばすことにする。蛇谷の源頭部を眺めながら稜線を歩いて行く。シロヤシオはますます美しく、みんな興奮を隠せないでいる。県境の三叉路を左へ曲がり静ヶ岳方面へと向かう。

 

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青空も本格的

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蛇谷源頭部

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振り返る

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正面から

 

 県境尾根を西歩くと雰囲気ががらりと変わり、やさしい二次林に覆われた新緑の尾根になる。20分ほど歩くと大きな池が現れた。池の周りにはモリアオガエルの卵がたくさんぶら下がっていて、初めて見るメンバーもこれがカエルの卵だなんてなかなか信じられないようだ。

 

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新緑あふれる静ヶ岳への道

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大井谷源頭の池(ニセセキオノコバ)

 

 この大きな池がセキオノコバと思っていたら、ここは大井谷源頭でのホンモノはもう少し先らしいと三度お会いしたmayonekoさんに教えてもらう。本物を見た後、再び三叉路まで戻り、金山尾根で下山する事に。

 

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藤原岳には雲がかかる

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長大な遠足尾根

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笹をかき分け

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後ろ姿が絵になるね

 

  金山尾根のやさしい二次林に包まれながらのんびり歩き宇賀渓に到着。合羽も覚悟したが天気予報が外れたおかげで素晴らしい山行だった。さて、次の大当たりは何年後だろう、その時もまた歩いていたいものだ。