晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

GW 残雪の涸沢へ ① 2009.04.29

f:id:ikuyayuuki:20210623215851j:plain

ジリジリと太陽


<メンバー>

単独

 

<山域>

 

<コース:1日目>
上高地~横尾~涸沢(泊)


 2009年ゴールデンウイーク。有給を上手く挟み込むと8連休取れる事になった。5月に入ってからの遠出は混雑する事が目に見えているため避けたい。4月中にプチ遠征(鈴鹿を離れること)がしたいな~と思っていたが、なかなか行き先が決まらない。結局、27日になってやっと行き先を決定。

 

 それでも連休前の駆け込みの仕事があり準備を始めたのは28日帰宅後。やっと準備を終え、数時間でも寝ておこうと布団に入ったが興奮のため寝付けない。仕方がないので1:00に出発する。

 

 沢渡の駐車場に着いたのは5:00。もう明るくなっていた。30分ほど仮眠をとり、準備をしているとタクシーの運ちゃんに声をかけられる。同じような登山者4人と乗り合わせで上高地へGO。

 

 タクシーを降りるとバスターミナル付近の店は営業を始め、何人もの登山者が準備をしているのが目に入る。空気は思ったより冷たく地面の水たまりは凍っている。今夜の防寒対策は大丈夫かなと装備を頭の中で点検。まずは河童橋でお約束の写真を撮った後、遊歩道を横尾へ向かって歩き出す。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215714j:plain

焼岳が輝く

 

 ほとんど寝ていないのと久し振りのテント泊装備、単独なので話す相手もおらず、単調な遊歩道歩きはなかなか辛いものになる。約1時間ごとに明神、徳沢と休憩ポイントが現れる。キャンプ場ではテントがいくつか張ってあった。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215718j:plain

凍りついた遊歩道を歩く

f:id:ikuyayuuki:20210623215723j:plain

明神

f:id:ikuyayuuki:20210623215727j:plain

長いな~

 

 いつの間にか太陽はすっかり昇りきり、空は雲ひとつない青空だ。少しずつではあるがゆっくりと形を変える周囲の山並みに、自分の進み具合を確かめながら一歩一歩歩いて行く。同じような大きなザックを背負った人と抜きつ抜かれつしているとようやく横尾に到着。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215731j:plain

雲ひとつない

f:id:ikuyayuuki:20210623215737j:plain

前を行くテント泊装備の人

f:id:ikuyayuuki:20210623215744j:plain

やっと横尾に到着

 

 横尾ではたくさんの人が休憩していた。ここでスパッツを付け、日焼け止めを塗り雪対策を行う。ここから先は初めての道なので期待と不安でちょっとだけ高揚してくる。

 

 

 横尾大橋を渡ると右側に屏風岩が聳える。国内有数の岩場だというが、まさに屏風のように垂直に切り立っている。あんな所を登る人もいるもんだな~と、まだ見ぬ世界を想像してみたり。壁には雪が付いており、まだ取り付いている人はいないようだった。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215755j:plain

屏風岩が見えてきた

f:id:ikuyayuuki:20210623215801j:plain

屏風岩の威容

 

 沢沿いの安定した道はすぐに雪道になる。すでにたくさんの人が歩いているようでしっかりとしたトレースは雪の無い、岩ゴロの道よりも随分と歩きやすい。橋を渡って1時間足らずで本谷橋に到着。例年はもっと雪があり、橋を架けるのはもう少し先だという。先行者にならってここで少し休憩。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215806j:plain

すぐに雪道になる

f:id:ikuyayuuki:20210623215811j:plain

本谷橋

f:id:ikuyayuuki:20210623215816j:plain

屏風の頭

 

 ここから沢沿いのトラバース道を徐々に高度を上げて行く。谷の中を徐々に進むに従って穂高の山々が顔を見せ始め、徐々に白銀の雪壁に囲まれていく感じ。気温が高いせいかあちこちから小規模な雪崩の音が聞こえてきてちょっとだけビビる。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215822j:plain

夏道をトラバースしていく

f:id:ikuyayuuki:20210623215826j:plain

前穂北尾根

 

 やがて、右側に延びる緩い雪のスロープが見えだすとそこが涸沢カールだった。写真やTVで何度も見、何度も人の話を聞いた涸沢カール。ついにここまでやってきたか。なんだか、初めて東京へ出たおのぼりさんのような心境。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215831j:plain

ようやく涸沢カールへ

 

 後はヒュッテに向けてひたすら雪の緩斜面を登って行くだけだが、これがひたすらきつかった。朝飯を食ってからすでに6時間以上経過でお腹が空いてきた。おまけに一面真っ白のカールのそこはフライパンであぶられているような暑さだ。目標も見えているのだが、なかなか近づいてこないのも疲労感を一層募らせる。途中、何度も立ち止まり、何度も振り返ってしまう。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215834j:plain

カールの底をジリジリ上がる

f:id:ikuyayuuki:20210623215839j:plain

何度も立ち止まり、何度も振り返る

f:id:ikuyayuuki:20210623215845j:plain

素晴らしい景色

f:id:ikuyayuuki:20210623215851j:plain

太陽がジリジリと

 

 上高地出発から6時間、やっと涸沢ヒュッテに到着。まだ連休も始まったばかりのようで思ったほど混雑していない。テントの受付を済ませ、まずは設営にかかる。週末に降った新雪が積もったようで、テント場はまずは整地が必要だった。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215856j:plain

やっと到着

f:id:ikuyayuuki:20210623215903j:plain

まずはテント設営

f:id:ikuyayuuki:20210623215907j:plain

くつろぐ人たち

 

 テント設営が終わってもまだ13時前。そういえば昼飯を食べていなかった。一応、行動食を準備してきたが、他の人が食べているのを見てラーメンが食べたくなってきた。そして思い切って生ビールも注文。うーん、贅沢だなあ。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215912j:plain

かっこいい

f:id:ikuyayuuki:20210623215918j:plain

穂高を見上げる

f:id:ikuyayuuki:20210623215923j:plain

小屋の人たちが除雪作業をしている

f:id:ikuyayuuki:20210623215927j:plain

これがやってみたかった

 

 後はほろ酔い気分で辺りの景色を眺めて過ごす。初めて来る場所なので山の名前がいまいちはっきりしないので、エアリアとにらめっこ。それにしてもいい景色だなあ。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215932j:plain

続々と人が上がってくる

 

  夕方が近づいて来ると気温が一気に下がってくる。夕日は奥穂高の向こう側に沈むので夕焼けも期待できないようだ。

 

f:id:ikuyayuuki:20210623215937j:plain

賑わいを見せるテント場

 

 テントの中で夕食を済ますと後はやる事が無くなってしまった。ラジオを聞きながら再び文庫本に目を落とす。明日はとりあえず穂高岳山荘まで登ってみよう。それだけを決めるといつの間にか眠ってしまった。