晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

空木岳 中ア紅葉縦走 その② 2008.10.11~12

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雲に浮かぶ南アルプス


<メンバー>

サークル

 

<山域>

 

<コース:2日目>
駒峰ヒュッテ~空木岳~木曾殿越~東川岳~熊沢岳~檜尾岳~島田娘~千畳敷


 結局、宿泊客は20人位となり2階はほぼ満員。20時の消灯で全員ぐっすり寝てしまった。幸い強烈ないびきの持ち主もおらず、途中で目が覚めたのは2回だけ。あまりにも心地良すぎて起きたのは5時30を過ぎてしまった。急いで身支度をしていると東の空が白々と明るくなり始める。南アルプスの向こうから富士山がちょこんと顔を出している。
 

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 富士山が見えた
 
 朝飯前に頂上まで行くには少々辛く、幸いにも小屋は東斜面に立っているので頂上まで行かなくても南アルプス越しに朝日を見る事が出来る。防寒着に身を固め、小屋の外で日の出を待つ。

 

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日の出

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赤く染まる空木岳

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輝く稜線

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影が写っている

 

 周囲を赤く染めるモルゲンロートが終わると小屋に戻って朝ごはん。そして身支度をして出発。寝不足が解消したせいか、とりあえずは元気いっぱい。でものんびりしていたので出発は7時になってしまった。

 

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出発

 

 空木岳までの登りは実に気分爽快。背後には真っ青な空が広がり、薄い雲の上に南アルプスが浮かび上がっている。絶景かな絶景かな~。

 

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雲に浮かぶ南ア

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最高の天気

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空木岳山頂

 

 山頂からは宝剣岳目指して縦走開始。まずは木曾殿越までの大下り。せっかく稼いだ高度をここで一気に吐き出してしまう。今朝、木曾殿山荘を出発したパーティーとすれ違う。

 

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目指すは宝剣

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南駒

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南アルプスの山々

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空木岳から木曾殿越の稜線(尖っているなー)

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山腹はきれいに紅葉している

 

 縦走とは言いながら快適な稜線散歩とは程遠く、岩場を慎重に通過しなくてはいけない。緊張するほどの悪場ではないが、がんばっているにも関わらずいっこうにスピードは上がらない。コースタイムとさほど変わらない時間で木曾殿山荘に到着。もう宿泊客は全部出発したようだ。

 

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木曾殿山荘

 

 ここからはアップダウンを繰り返しながら稜線上をじりじりと北へ進む。稜線上のピークに着く度に空木岳を振り返り、歩いた距離を確認するがなかなか小さくならない。反対に宝剣岳はなかなか大きくならない。

 

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登り返し

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まだまだ遠いな~

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空木岳を振り返る

 

 東川岳から熊沢岳まで2ピッチで歩く。今年初めてといっていい高所なので息が切れる。夏は沢登りばかりしていたからなー。途中、岩場をへつったりすれ違いで渋滞が起きそうな狭い場所を何とか通過する。反対方向から来るパーティーは昨日、桧尾小屋に泊まったようだ。

 

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東川岳(まだまだ元気)

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アップダウンあるなー

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空木も少しは小さくなったか

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稜線と御嶽

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痩せた尾根

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稜線散歩とはいかない

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3点確保だよ

 

 大滝山を過ぎると右手に美しい紅葉が敷き詰められたカールが見え出す。伊那川の源流部だ。夏に木曽駒から見た三の沢岳が大きく見える。この頃から何だか薄い雲が出始める。今日一日快晴じゃなかったの?

 

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三の沢あたりの紅葉

 

 桧尾岳で昼食にする。ここまで約5時間。山頂はたくさんのパーティーでにぎわっている。おそらく今朝、千畳敷もしくは木曽駒あたりを出発し、今日は木曾殿山荘で泊まるパーティーだろう。予約がなくて断られた為、木曽駒へ引き返すパーティーもいれば、本当に辿りつけるの?と思わせるほど憔悴しきったパーティーもいる。人が少ないとは言え、これだけのパーティーと出会うのは鈴鹿ではあまり考えられない。さすが中央アルプス

 

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桧尾小屋と南アルプス

  
 今日の予定の半分を少し過ぎ、余裕が出てくると帰りのロープウェイが気になりだす。最終はそんなに遅くはなかったはず・・。みんな翌日は休みとは言え、山上に取り残されるのは勘弁である。そんな事を考え出すと気持の余裕は反対に無くなってくる。今のペースから行くと千畳敷到着は15時を過ぎるだろう。まあ、とりあえずがんばって行くか。

 

 のんびりとはしていられないがお昼御飯を食べると少し元気がわいてきた。さあ、後半戦も頑張っていってみよう!と元気だったのもつかの間・・。檜尾岳から濁沢大峰まで200m下ってまた登り返し。足取りもかなり重くなり、消耗してきた。空にはいつの間にか薄い雲がかかり、朝の青空はどこへ行ったと思ってしまう。左下の伊那川源流部カールの紅葉が美しい。

 

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カールの紅葉が美しい

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鮮やかなナナカマド

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尖った尾根やな

 

 じりじりと歩いて行くと宝剣岳もだんだん大きくなってきた。やはり一歩一歩前に進むことが大切だ。振り返ると稜線にも雲がかかってきた。(早く通過できてよかった~)

 

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いつの間にか雲が

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宝剣は目の前

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御嶽は海に浮かぶ島のよう

 

 島田娘で最後の休憩を取る。時間(体力と根性も)の関係で封建はパスし、極楽平から千畳敷へ下りる事に。今日の縦走のゴールをホシガラスが迎えてくれた。

 

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ホシガラス

 

 ここまで来るとロープウェイのアナウンスが聞こえてくる。最終は間に合うかなーと思っていたら、整理券番号を連呼し、乗客を呼んでいるらしい。すごく混んでる?

 

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ロープウェイ千畳敷

 

 ここで衝撃的な話を聞く。駒峰ヒュッテからずっと少し前を歩いていた若い男性の二人のパーティーによれば、彼らは友達とここ(極楽平)で待ち合わせをしているらしいが、今朝ロープウェイに乗るはずの友達がまだ現れていないという。朝9時にロープウェイ駅について15時現在、まだ下で待っているらしい・・。この時点ではまだ半信半疑。

 

 急いでロープウェイの駅に向かい、整理券を入手しようとするがロープウェイ駅は迷子が出るほどの混雑ぶり。もらった整理券番号と乗車予想時刻を照らし合わせるとなんと2時間半待ち!仕方がないので千畳敷カールの中を少し散策する事に。

 

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千畳敷カールは紅葉中

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観光客で大混雑

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せっかくなので我々も

 

 とは言ってもどこへ行っても人だらけなので、あらかた写真を撮ってしまうともう疲れてしまった。ベンチに座り、コーヒーを入れてしばらくぼーっとする。気温がどんどん下がってきて寒いくらいになってきた。

 

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南アルプスと富士山

 

 17時近くになっても登ってくるロープウェイは満員・・いったいこの人たちは下で何時間待ったのだろうか?駅の出口ではツアーの添乗員が今登ってきたばかりの客に向かって説明をしている。「集合は2時間後、すぐ暗くなるので写真は早目にとってください、山には登らないでください」

 

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夕闇迫るロープウェイ駅(17:45)

 

 17時45分になってようやくロープウェイの順番が回ってきた。やっぱり2時間と少しまった計算になる。駅にある喫茶店、食堂は17時半で閉店してしまった。外は暗く寒いので観光客は全て駅周辺に集まっている。もはや想像を絶する世界・・。自分だったら絶対こんな所には来ない。

 

 ロープウェイ、バスを乗り継いで車を回収し終わったら20時を回っていた。こまくさの湯にギリギリ滑りこんで汗をながしたらすっきりした。
 晴天と紅葉に恵まれた最高の山行だったが最後のロープウェイは衝撃的だった。明日は一日のんびりしてこの二日間の疲れを癒す事にしよう。みなさんお疲れ様でした。