晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

空木岳 中ア紅葉縦走 その① 2008.10.11~12

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夕暮れの空木岳山頂

 

<メンバー>
サークル

 

<山域>

 

<コース:1日目>
駒ヶ根スキ~場林道終点~駒峰ヒュッテ(泊) 
 
 10月の3連休はちょうど高山では紅葉の見頃になるらしい。おまけに今年は台風の直撃が無いおかげで例年に無く見事との事。それならちょっくら出かけてみようという事でサークルの山行に参加する。行先は混雑を避け、アプローチが比較的容易な中央アルプス
 金曜日の予報では3連休の初日の天気は雨のようだが、翌日は晴天が約束されているらしい。ワクワクしながら中央高速を東へ走り、深夜の駒ヶ根高原のとある場所にテントを張り仮眠する。テントをたたく雨音に若干の不安を抱きながらすぐに眠りについてしまった。
 
 翌朝目覚めるとすでにロープウェイ行きのバスが走り始めている。車1台をバス亭にデポ、残りの1台にぎゅうぎゅう詰めになって林道終点まで入る。林道終点はすでに車でいっぱいになっていた。

 

 幸い雨脚はそれほど強くは無く、樹林帯の中にいる事もあってそれほど苦にならない。登山道は森の中の遊歩道の様に歩きやすくまずは快調な滑り出し。約1時間とちょっとで立派な水場に到着。雨の後のせいか水は勢いよく噴き出していた。さっそく喉を潤し、今日の炊事のための水を汲む。

 

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中央アルプス天然水(おいしかった~)

 

 水場からすぐの分岐ではすぐに尾根に乗る道を選ぶ。今日初めての登りらしい登りにたちまち汗をかくが、思ったより足は軽い。樹林の中を気持ちよく歩いて行くと次第にやせ尾根になり、鉄製の階段や橋がかかった難所?が現れる。こんな変化も楽しいなと思いながら歩いているといつの間にか雨は上がり、青空が見え始めていた。予想よりも早い天候の回復に思わずニンマリしてしまう。

 

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こんな難所?もあります

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雨が上がった

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色づいています

 

 標高は2000mを超え始めると樹林の切れ間から対岸の稜線が見え始める。おそらく檜尾尾根だろう。山腹は紅葉のベールを纏ったように色づいており、稜線の向こうには青空が見える。じゅっと樹林の中で展望が利かなかっただけにうれしい。やっと高山に登っているという実感がわいてくる。

 

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稜線が見える

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ずーっと樹林帯


 頭上を覆っていた樹林がいつの間にか背が低くなってきたなと思ったら空木平との分岐についた。後ろを見ると遥か彼方に南アルプスの稜線が見え、下からは雲が湧きあがってきた。頭上の青空はピカピカに光っていてナカカマドの赤が目に飛び込んでくる。駒峰ヒュッテまではあと1ピッチ程なので、ここでお昼御飯にする。

 

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いつの間にか雲の上に

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ピーカン!


 昼食後、再び稜線を歩き始める。植生はハイマツ帯に変わり視界が一気に広がる。目の前に空木岳の巨体が聳え、もう少しで着くはずのヒュッテがとても小さく見える。昨夜の寝不足が祟ったかそれともお昼が多すぎたのか急に体が重たく感じるのは何故だろう。

 

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空木の頂が見える

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ハイマツの中を

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中央アルプスの峰々


 ハイマツの中を太陽を浴びながら登って行く。高度が上がってきたせいか呼吸が浅くなるので少しペースを落とす。中央アルプスの稜線がほぼ目の高さと同じくらいになってきた。あともう少し!

 

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逆光・・・

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明日はあそこを歩くのか

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駒石

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もう少し


 巨大な花崗岩の駒石を過ぎ、ちょっとしたピークを巻くと今日のお宿、駒峰ヒュッテが現れた。地元の山岳会が運営する避難小屋だが、非常に手入れが行き届きまるで営業小屋のよう。この週末で小屋を占めるそうなので小屋番の人が詰めていた。

 

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青空がいいね

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紅葉に染まる山腹

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今日のお宿

 

 ザックを置いて一服する。今日の泊り客は自分たちの他にはまだ5~6人程度。今夜はゆっくり眠れそうだ、なんて話をしていたらいつの間にかウトウト・・。やっぱり寝不足はつらい。夕焼けまでの少しの時間、まどろみながら明日の事をボンヤリと考えていた。

 

 シュラフの中でいい気もちでまどろんでいたらいつの間にか17時を回っていた。太陽の光はずいぶんと傾き、中央アルプスの稜線をくっきり浮かび上がらせている。さあ、夕焼けを見に山頂に向かいましょうか。

 

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稜線がくっきり

 

 駒峰ヒュッテから空木岳の山頂まではほんの10分あまり。外は風が強く、防寒着を着こんで手袋をしないと耐えられないくらいの寒さになっている。その分、空気は澄み渡り展望は最高。伊那谷を見下ろせば、空木岳の影が下界にくっきりと浮かび上がっている。 

 

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山の影が下界に写る

 

 日没まで少々早く来てしまったようなので、ここからは自由時間。みんな思い思いに写真を撮ったり、景色を眺めたり。あ、集合写真を忘れてはいけないね。

  

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 駒ヶ岳

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宝剣、木曽駒

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いい眺め

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集合

 

 夕日がゆっくりと傾きはじめると西の空には雲が湧きはじめ、御嶽が雲海に浮かぶ島のように見える。高い山に登って来ただけの価値はある。

 

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雲に浮かぶ御嶽

 

 夕日がだんだん赤く染まりだすと白い花崗岩の頂上はライトを浴びた舞台のようになっている。雲海に夕日が映えてなんだかいい感じ。北に目を向ければ乗鞍、そして北アの峰々も確認できる。

 

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日が傾いてきた

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うーん、いい感じ

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御嶽、乗鞍、北アも見える

 

 東の空にはぽっかりと月も登っている。日没まであと少し、寒さに耐えながら写真撮影大会は続く。やがて、一瞬あたりが真っ赤に染まったかと思ったら太陽がゆっくりと雲間に沈んでいった。なんだか、荘大な自然のショータイムが終わった感じ。さあ、お腹も空いてきたし小屋で夕食の準備にかかりましょうか。

 

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写真撮影会

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いよいよクライマックス

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月までメール届くかな?

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太陽さん、また明日

 

続く