御在所 豪雨の後、初歩きの巻き その② 2008.09.20
御在所北谷
<メンバー>
単独
<山域>
<コース>
スカイライン料金所跡~本谷~御在所西尾根~コクイ谷出合い~鈴鹿の上高地~上水晶谷~国見峠~北谷~スカイライン料金所跡
何となく悲しい気持ちを引きずったまま千種街道を根の平峠方面へ向けて歩く。ふと足もとに目をやると急須の蓋が落ちている。これを使ってお茶を飲んだ人はどの時代のどんな人なんだろう?想像が膨らむ。東芝山岳会の道標を愛知川の方へ向かって歩くとやがて上水晶谷出合に到着。
急須のふた?
上水晶谷出合でも思わずため息がでた。土石流で埋め尽くされたわけではないけれど、流木や砂利でひどく雑然とした出合になってしまった。鈴鹿のお気に入りスポットがまた一つ無くなってしまった。あの美しい流れに戻るにはいったいどれくらい時間がかかるのだろうか?
上水晶谷出合
上水晶谷を渡り鈴鹿の上高地と呼ばれる右岸台地に向かう。この2次林に覆われた静かな平地は、この前の大雨で至るところに池ができていた。水面にまだ緑が濃い木の葉が写ってなんだかいい感じ。池の対岸で大きな牡鹿がじっとこっちを見ていた。
池ができている
去年の秋に昼寝したブルーシート小屋はきれいに片づけられていた。うーん、誰だろう?。桂の巨木に挨拶をして今日はここで引き返す事にする。乳白色に濁った愛知川を眺めながら食べたおにぎりは、全く美味しくなかった。
きれいに片づけられたブルーシート小屋
桂の巨木に挨拶
乳白色の愛知川
帰りは上水晶谷を詰めて国見峠から北谷を降りるつもり。谷沿いの登山道をえっちらおっちら歩く。昨日の雨のおかげで谷の水量は多く、途中きれいな合流する滝を見つけた。尾根の反対側で大災害が起こったにも関わらず、滋賀県側は何事も無かったかの様な様子。ただ、途中何箇所か登山道が崩れている箇所があった。足がずいぶんと重くなってきたが、なんとか国見峠に到着。
上水晶谷の滝
もうすぐ国見峠
当たり前だが国見峠付近は静寂に包まれていた。裏道の入口には通行禁止のロープが張られていたが、もう一度御在所に登り返す気力も体力も無いので先に進む事にする。
国見峠付近から見る岩壁
7合目辺りまでは登山道が残っている。笹の間のV字溝を抜けると谷が見渡せる場所にでた。ちょうど土石流の起点になったところだった。それにしても土石流の破壊力はすさまじい
土石流の起点
下流を見る
想像を絶する破壊力
左岸沿いの登山道は何箇所か寸断されており、脆いガレの上をトラバースするヒヤットする場面もあったが、樹林の中に残る道をつなぎ、藤内沢出合の下までは何とか谷へ下りずに歩く事が出来た。谷は岩床が洗われて露出し、真新しい滝が現れていた。
岩床が洗われて出現した滝
藤内沢出合い
この辺りは登山道が残っている
土石流の中、倒れなかった木
やがて傾斜が緩くなってきた辺りで登山道が完全になくなっていたので谷に降りる。兎の耳のあたりだろうか?広々とした河原はここがいったいどこなのか分からなくなるほどの異景だ。目印に積まれたケルンが何だか墓標のように見えてしまった。
谷へ下りる
広々とした河原に
この岩はどこから流れてきたのだろう
道しるべのケルンが墓標のよう・・
ブルーシートがちらちら見えだしたと思ったら藤内小屋が見えてきた。まるで濁流の中に取り残された小島のように両側から土石に押し流されたようになっている。建物は何とか残っているようだが、下は土石に埋め尽くされていた。
藤内小屋①
藤内小屋②
藤内小屋③
小屋はシンと静まり帰っていたが、ひとり女性が残っていた。小屋の人だろうか?。前の姿が想像つかない程の惨状に言葉を失ってしまう。ただ、周りの流木は片付けられており、少しづつ復旧に向けた活動が行われているようだ。小屋から下は仮設ではあるがしっかり人が歩ける道が付けられていた。
藤内小屋④
藤内小屋⑤
藤内小屋⑥
道ができつつある
途中、片付けの手伝いに来ていたと思われるパーティーを2つ追い越す。挨拶すると御苦労さまですと言われてしまった。野次馬同然で見にきた自分が少しだけ恥ずかしくなる。日向小屋も崖に飛び出した部分を足場で固定していた。補強が済むまで強い雨が降らなければいいのだが・・。
日向小屋①
日向小屋②
日向小屋から下は以前の登山道が残っていた。鈴鹿スカイラインの登山口では復旧に駆け付けた人たちの車が数台停まっていた。許可があればここまでは入れるようだ。
駐車地まで歩きながら今日の行程を振り帰る。今回の豪雨で大事なものがいくつも無くなってしまったが、それらを取り戻そうと頑張っている人たちもいる。やっぱり鈴鹿はみんなに愛されている山なんだなと改めて思った。
おわり
今回のルート(クリックで拡大) カシーバード使用