晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

御在所 豪雨の後、初歩きの巻き その① 2008.09.20

f:id:ikuyayuuki:20201130110855j:plain

不動滝


<メンバー>

単独

 

<山域>

 

<コース>
スカイライン料金所跡~本谷~御在所西尾根~コクイ谷出合い~鈴鹿上高地~上水晶谷~国見峠~北谷~スカイライン料金所跡
 
 台風13号はうまい具合に大した影響も無く通過してくれた。雨だと予想していた土曜日が晴れマークに変わったので急きょ山行を計画する。そういえば9.2豪雨以来肝心の御在所方面には足を踏み入れていない。被害の状況を自分の目で確かめる必要もあるので御在所に出かけることにする。

 

 中道は無事なことが分かっているのでパス。まだ情報があまり無い本谷を歩き、あとは時間と体力を見て決めよう。仕事の疲れ出寝坊してしまったが、なんとか一の谷茶屋上の駐車地に車をとめることができた。

 

 まったく無人スカイラインを少し歩き、御在所山の家からコースに入る。藤内小屋は壊滅状態だが、こちらは無事でよかった。コース上には蜘蛛の巣がかかっており、どうやら先行者はいないようだ。昨日の雨のせいで谷は水量豊富、いつもはチョロチョロの滑滝もいい感じになっており、どこかの名渓のようだ。

 

f:id:ikuyayuuki:20201130110838j:plain

滑滝が連続する

 

 本谷も大規模な土石流は無いにしても痕跡はあちらこちらに見られる。岸の花崗岩の角に岩がこすれた跡があり、この上を巨石が流れて行ったことをうかがわせる。今日は暑いので汗が噴き出す。沢装備で来ればよかったかな?と思いながら登山靴で滝横を登っていく。

 

f:id:ikuyayuuki:20201130110842j:plain

岩がこすれた跡

f:id:ikuyayuuki:20201130110847j:plain

快適な滑滝


 左岸の登山道がところどころ流されているので谷の中を歩いて行くとあっという間に不動滝に到着。今日は水量が多いのでここも滝らしくなっている。滝したまで行って写真撮影。

 

f:id:ikuyayuuki:20201130110851j:plain

堂々の不動滝

f:id:ikuyayuuki:20201130110855j:plain

不動滝 下から

 

 不動滝を巻き、上部に出ると谷の荒れ具合が増す。倒木に土石流も見られ一気に緊張する。目の前の岩を乗り越えるのに必死になっていると、なんだか違和感が・・。あたりをよく見ると、いつもは頭上に見えるロープウェイが見えない・・左の支谷に迷い込んだようだ。こりゃいかん、と慎重に谷を下り本流へ復帰する。

 

f:id:ikuyayuuki:20201130110859j:plain

荒れた左の支谷

f:id:ikuyayuuki:20201130110903j:plain

残置ハーケンのある岩


 大黒滝を右に見た後これを乗り越し、左手が絶壁になっている本流を歩く。この辺りはほとんど影響が見られず、三角の大岩もいつものように鎮座している。たいていはこの辺りでロープウェイの乗客に手を振ったりするのだが、今日は台風の後のせいか乗客も少なく、静かな本谷だ。

 

f:id:ikuyayuuki:20201130110907j:plain

大黒滝

f:id:ikuyayuuki:20201130110911j:plain

本流を詰める

f:id:ikuyayuuki:20201130110915j:plain

三角の大岩

f:id:ikuyayuuki:20201130110923j:plain

6号鉄塔


 最後のガレを登り、大黒岩で休憩。いつもならここで人に合わないことは無いのだが、今日は全くの無人。休憩していると対岸の山上公園展望台からヤッホーの声が掛かる、手を振って応える。

 

f:id:ikuyayuuki:20201130110929j:plain

大黒岩よりロープウェイ

f:id:ikuyayuuki:20201130110933j:plain

山上公園駅

f:id:ikuyayuuki:20201130110946j:plain

資材運搬用ゴンドラ?


 台風一過の青空を期待したが、今日は湿度が高く山もガスがかかったような状態で展望が利かない。鎌ヶ岳、スカイラインは豪雨の傷跡がはっきりと見える。

 


 山上公園は土曜日にもかかわらずひっそりと静まりかえっている。いつもは必ず見かける登山者もほとんど見えない。ここで引き返そうかとも思ったが、時間的、体力的にはまだ余裕があるのでもう少し歩こう。御在所西尾根を使って愛知川源流域に向かう。西尾根への道は山頂近くにある鈴鹿国定公園選定記念碑の裏から進む。

 

f:id:ikuyayuuki:20201130110956j:plain

これ、どこにあるか知ってる?

 

 西尾根には明瞭な踏み跡としつこいくらいの赤テープがあるので、利用している人もいるのだろう。

 まだ若そうなシロヤシオのトンネルの後はブナの森も現れる。気持のいい2次林を歩いていると鈴鹿を歩いていることを実感できる。ただ、今日は気温が高く、少しでも歩くのをやめるとアブやハエが猛烈にたかってくる・・。そんな虫が好きな臭いを発しているのかな。途中、支尾根に紛れ込んで少しコースアウト。

 

f:id:ikuyayuuki:20201130111007j:plain

シロヤシオのトンネル

f:id:ikuyayuuki:20201130111012j:plain

望湖台が見える

f:id:ikuyayuuki:20201130111018j:plain

気持のよさそうなコバ


 気持のよさそうなコバを見送ると道は本格的な急降下になってくる。気をつかんで歩幅を小刻みに下っていくが、なかなかブレーキがかからない。なんどか腐りかけの立木をへし折って斜面を駆け下ると千種街道に突き当たる。いったん左折しコクイ谷出合いの様子を見に行く。

 

f:id:ikuyayuuki:20201130111043j:plain

千種街道の並木


 空模様はここまで晴れたり曇ったりを繰り返していたが、ここへ来てまた少し暗くなってきた。道は谷からの押し出しで寸断されている個所は何箇所かあるが基本的に問題なし。ただ、コクイ谷出合いを見て愕然・・。きれいなコバルトブルーの淵が砂利ですっかり埋まっていた・・。


 ここの景色はお気に入りの一つだったのでショックが大きい。滋賀県側の影響はそれほどでは無いと思っていたが、やはり無傷という訳にはいかなかった。

 

f:id:ikuyayuuki:20201130111048j:plain

コクイ谷出合い

f:id:ikuyayuuki:20201130111053j:plain

コクイ谷出合い(左がコクイ谷)

 

 この砂利がやがて愛知川本流の美しい淵や釜を埋めていくのかと思うと悲しくなってくる。自然の理とはいえ残念でならない。せめて昼食は明るいところで食べようと思い、上水晶谷右岸の通称「鈴鹿上高地」を目指す。


                                       つづく