晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

仙ヶ岳から御所平 初冬の稜線歩き 2007.12.01

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 御所平から仙ヶ岳を望む

 

<メンバー>
山仲間

 

<山域>

 

<コース>
田村川林道-県境稜線-小社峠-仙ヶ岳-御所平-ベンケイ-黒滝集落

 

 早いものでもう12月。今年も残すところ後1ヶ月になってしまった。11月は紅葉見物のんびり山行が続いたので、ビシッと長距離縦走でもしようかと思っていた。が、前日帰宅直前に山仲間から明日どこかへ案内して欲しいとのメール。
 少しだけ考えた後、ストイックになるのはもう少し先でもいいや、とすぐにOKの返事をする。

 

 コースはいろいろ考えたが、紅葉も終わり、雪もまだ降っていない今の時期はいささか行き先に困ってしまう。それならば展望のいい尾根コース、ということで仙ヶ岳から御所平を周遊しようと決めた。
(後から気づいたが、去年も12月の第1週は同じコースだった・・)

 

 鈴鹿峠を越え、細い県道を抜けて、黒滝集落へ到着。ここに車を一台デポし、田村川林道を遡る。工事用ゲートのある所で車を止め、そこから林道を歩く。
この所、暖かい日が続いているせいか周りの紅葉は丁度見頃・・。今年も暖冬かも。
登山口は割谷を少し越え、手製の道標がある所から尾根に取り付く。

 

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割谷

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取り付きは手製の道標から

 

 取り付から少し登ると直径2mを越える大木が現れる。中の大きな洞は大人一人が充分入ることが出来る程の大きさ。中が詰まっていたらさぞかし立派に見えることだろう。

 

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直径2m近くある大木

 

 この辺りは広葉樹の他に照葉樹と杉の植林が混ざる林で、鈴鹿北部とは少し植生が異なる。日差しがぽかぽかと暖かく、すぐに汗が滲んでくる。

 

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快適ではないが悪くない道

 

 石の上で変わったものを見つけた。まるでエビフライのような奇妙な物体。どこかで見たことあるナーと考えていると、リスがまつぼっくりを食べた後であることに気が付いた。この辺りにもリスがいるんだ。辺りを見渡したが見付ける事は出来なかった。

 

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エビフライ?・・リスの食べ残し

 

 尾根がだんだん痩せて来ると稜線はすぐ近くだ。登り始めてから1時間と少しで犬返しの険と小社峠の間に飛び出した。目の前に野登山が見える。

 

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尾根が痩せてきた

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稜線より

 

 ここから進路を南に取り、仙ヶ岳に向かう。稜線上の木々はすっかり葉を落とし、完全に冬の装い。落ち葉の積もったフカフカの登山道を快適に歩く。振り返れば県境稜線のはるか向こうに鎌ヶ岳のかっこいい山頂部が見える。 

 

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県境縦走路は冬の装い

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尾根の向こうには鎌ヶ岳

 

 何回かアップダウンを繰り返し、ようやく仙ヶ岳に到着。最高点である西峰は少し狭いので、仙の石のある東峰で昼食をとる。

 

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仙ノ石

 

 岩陰で風を避けながらおにぎりを食べる。食事の間中、この冬は何処へ行きたいだの、何処へ行こうだの、これからの山の話に花が咲く。でも、実際は半分も実現でき無いのだろうな・・。こうやって話をしている時が一番楽しいのかもしれない。

 

 食事が終わったら御所平へ向けて下降開始。一旦西峰に戻ってから安楽越(難路)の標識に従って下る。御所平と能登ヶ峰が二匹の恐竜が寝そべったような姿を見せている。

 

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手前が御所平、向こう側が能登が峰

 

 御所谷への降り口をやり過ごし、少し登ると御所平の北端に出る。ここからはススキと笹とアセビに覆われた見通しのいい、なだらかな尾根歩きとなる。ススキが斜めから差し込む12月の日差しにキラキラ光ってとても美しい。

 

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仙ヶ岳を振り返る

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ススキに覆われた御所平

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ススキの稜線

 

 午後からは気圧の谷が通過するようで、時折、雲が懸かり冷たい風が吹く。ほんの一瞬だけ冬になったような気がした。振り返ると仙ヶ岳がずいぶん小さくなっている。

 

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風が強い

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だいぶ歩いてきたね

 

 御所平の南端からは左折して小太郎谷の源頭部を迂回するコースになる。小太郎谷の源頭部はたおやかなカール状の地形を笹がうっすらと覆っている。写真で何回か見たが、写真通りの美しい光景にしばらく足を止める。

 

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小太郎谷の源頭

 

 途中、見晴らしのいい場所に船石と呼ばれる石が横たわっていた。下方には開通間近の第二名神の橋脚が見える。

 

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船石より第二名神を見下ろす

 

 船石から先は一般登山道を離れ、黒滝へ向かう尾根を下る。途中ベンケイ(P761.6)と呼ばれるピークがあるが、植林に覆われ何の見通しも無い。この辺りは手入れをしていない杉の植林と朽ちかけた鹿避けネットでとても歩きづらい。杉が切り開かれた場所はススキの原となっており、夕日にキラキラと輝いていた。

 

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ススキが輝く

 

 植林帯の尾根を下っていくと最後は黒滝集落の神社の境内にでた。ずいぶんと立派な神社だ。車に向かう途中、犬を連れたおじさんが「何処を歩いきた」とか、いろいろ聞いてきた。そのおじさんが、「能登が峰から宮指路岳を回って仙ヶ岳、御所平を歩いてきたすごい夫婦がいた」と言っていた。たぶん、ちゃたろうさんだろう。今日歩いた距離のほぼ2倍だ・・やっぱりすごいなー。

 

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植林帯を歩く

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最後は神社の境内に

 

 集会所の前に止めた車に乗り込み、林道終点に置いた車を回収する頃には当たりは薄暗くなっていた。再び鈴鹿峠を越え、関宿道の駅で解散。

 

 今日歩いた仲間とは、もう年内は会えないかも知れないが、「良いお年を」と言うには少し早い気がしたので、「じゃあ、また」といって別れ、帰路に着いた。

 

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今回の地図