晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

竜ヶ岳 太尾で二次林を漂う 2007.10.20

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シロヤシオの紅葉


<メンバー>

山仲間

 

<山域>

 

<コース>
折戸トンネル-(太尾)-長池-白谷峠-竜ヶ岳-石グレ峠



 竜ヶ岳へに西からのアプローチにはいろいろ魅力的なコースがあるが、いずれも未踏である。その中でも最も気になるのが、竜ヶ岳山頂部から西側へ延々と伸びる「太尾」だ。鈴鹿の山と谷3」によれば鈴鹿の原風景ともいえる広大な二次林の林が広がり、この本の著者西尾寿一氏は、
目的地に至るために、ただ通過するためのみ太尾の林に踏み込んではならない。太尾の二次林を漂泊するためにのみ太尾に入るべきである。
とまで絶賛している。紅葉の時期には少し早いが、偵察を兼ねて早速出かけてみることにする。

 

 石グレ峠に車をデポし、茨川林道の未舗装の道を北へ進む。折戸トンネルで手前の駐車地に車を停め、植林帯の斜面に取り付く。杉の植林帯は例によって日も射さず薄暗いが尾根に乗ってしまうと右半分は二次林が残っている。

 

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気持ちのいい二次林(紅葉には早い)

 

 予想通り、紅葉にはまだまだ早いが太陽も指してきていい感じ。尾根が広くなり、地形がゆったりしてくると長池が現れる。池というより大きなヌタ場といった感じだが、涸れもせずずっとあるようだ。不思議だな。今日は水に緑が映り込んでいる。気持ちがいいのでここでお昼ご飯。

 

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日も射していい感じ

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緑を映す長池


 足元をよく見ると栗のイガがいっぱい落ちている。実はほとんど入っておらず、動物たちに食べられた後のようだ。周りにはたくさんの栗の木があり、まだ木についているイガもある。頭上からイガが落ちてこないか気にしながら快適な尾根歩きを続ける。

 

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山栗のイガがいっぱい


 太尾の二次林はうわさに違わず美しく、落ち葉をサクサク踏みしめて木漏れ日の中を歩くのはやはり楽しい。鈴鹿らしさを思う存分味わうことができる。風がザーと吹きぬけるとどんぐりがパラパラと落ちてくる。

 

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快適な尾根歩き


 やがて緩やかなピークを過ぎると尾根は白谷峠へ向けて下りだす。この峠は現在使う人はいないが、かつては伊勢(三重側)の人が石グレ峠へ越えて又川流域に入るための重要な道だったという。視界がスパッと広がり、峠のマイクロウェーウ鉄塔が間近に見える。

 

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石グレ峠が見える

 

 白谷峠の竜ヶ岳側は花崗岩のザレ場になっている。風化が激しく、ナイフリッジのようになっている箇所もあり、少し緊張する。

 

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白谷峠付近のガレ

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ガレを上から(おっとろし~)

 ザレ場を越えると竜ヶ岳西斜面を急登だ。よく見ると斜面をジグザグにきった獣道や炭焼き道らしき薄い踏み跡があり、それをたどりながらじわじわと高度を上げていく。今までほとんど高さを稼がないのんびり尾根歩きだったので、いきなりの急登に体がきしむ。

 

 高度が上がってくると背後に光る琵琶湖が見える。空にはいつの間にか厚い雲が・・・。

 

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竜ヶ岳 西斜面

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琵琶湖が見える(いつの間にか雲が)


 傾斜がゆるくなってくると頂上部は近い。あせびのブッシュに悩まされているといつの間にか笹原に飛び出した。笹の高さは膝くらいで歩くのにさしたる苦労は無い。笹の海を掻き分けて稜線上にある登山道を目指す。

 

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ようやく頂上部の笹原へ

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笹の海


 硬いしっかりとした地面のある登山道に出るとまるで高速道路のように快適だ。日は傾き、時間は押しているがせっかくなので竜ヶ岳頂上へ向かう。とうぜん、見渡せる範囲には人はいない。

 

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竜ヶ岳稜線


 竜ヶ岳頂上から北側を覗き込むと美しい光景が広がっていた。笹原にポツリポツリと浮かぶシロヤシオの木々が紅葉している。傾いてきた日差しが笹に映え、なんともいえない夕景を見せてくている。あまり時間はないが呆然と景色をながめてしまう。

 

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紅葉したシロヤシオ


 さあ、見るものを見たら後は下山だ。石グレ峠に車をデポしてあるので、ゴールまではあと少し。厚い雲の隙間から太陽が差し込み、光の柱のように見える?(天使の梯子というらしい)。美しいが黒い厚い雲はあまりいい物では無い。鈴鹿上空に寒気が入る込むとよく見る光景だ。

 

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傾いた日が笹に反射する

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天使の梯子


 石グレ峠には16時半ぐらいに到着。デポ車で茨川林道の車を回収し、戻ってくるころには辺りはすっかり暗くなっていた。

 

 今日も何とか日没間際のギリギリセーフだったが、鈴鹿らしい山歩きをたっぷり楽しむ事ができた。高山もいいが、やっぱり私は鈴鹿が好きなんだな~と、再認識した今日の山行だった。

 

<おまけ>
ひろったどんぐりで妻が作ったおみやげ(だれかにあげる訳ではありませんが)

 

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どんぐりのおみやげ