晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

鈴鹿 蛇谷 沢登り 連続滝登りから笹の海へ 2007.09.29

f:id:ikuyayuuki:20200819230736j:plain

笹の海へ

 

<メンバー>
山仲間

 

<山域>

 

<コース>
宇賀渓-魚止滝-蛇谷-県境稜線-裏道-宇賀渓

 

 先週の堂倉谷の余韻も覚めやらぬまま一週間。まだまだ沢に行きたいというEちゃんのリクエストに応えて竜ヶ岳の蛇谷へ行くことに。寒冷前線が一気に南下し天気は思わしくないが、どうせ濡れるのだからと強気の判断。三岐鉄道大安駅でEちゃんをピックアップし、宇賀渓へ向かう。

 

 大安駅では80リットルのザックを背負った高校生5人のパーティーがタクシーを待っていた。どこかの高校の山岳部が鈴鹿でテント泊山行でもするのだろう。明日は更に天気が悪いというのにご苦労様です。

 

 さて、我々はいつものように宇賀渓アーチの手前の駐車スペースに車を停めるが、さすがに今日は誰もいない。身支度を済まし、竜ヶ岳への登山道を歩く。気温が低いのですぐに水に入る気はせず、魚止滝の滝見道から落ち口へ入渓。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230607j:plain

宇賀川 魚止滝の上から

 

 そこからしばらくは宇賀川本流を遡る。転石を拾いながらピョンピョン飛んで歩く。コバルトブルーの釜がとても美しいが今日は泳ぐ気に慣れない。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230613j:plain

コバルトブルーの釜(今日は泳げない)

 

 やがて、切り立った廊下状の三叉路にぶち当たるとそこが蛇谷の出合。正面の燕滝、右から流れ込む蛇谷の滝の迫力に圧倒される。ずいぶん前、長尾滝から下山途中にここに迷い込み、息を呑むほど驚いたのを思い出した。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230618j:plain

切り立った廊下状の蛇谷出合

f:id:ikuyayuuki:20200819230624j:plain

本流の燕滝 これは登れません

 

 7m滝、3m滝と超えて15m滝の直下へ立つ。両側は圧倒的に切り立っていてとても登れそうに無い。ルート左側のガレを登っていくとある。最後は木の根を掴んでのモンキークライムだが、しっかりしており、不安は無い。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230629j:plain

蛇谷出合の15m滝

 

 15m滝の上のいくつかの滝を超えると、長尾滝へ向かう登山道が横切る。いつもは登山道から眺めていた滝をこうして登ってこれるのはなかなか感慨深い。いくつ物滝が連なっており、ここから五階滝と命名されたようだ。ただし、滝は5個よりもずっと多い。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230633j:plain

見事な連瀑 五階滝の一部

f:id:ikuyayuuki:20200819230639j:plain

連なる釜を上から

 

 最初の連瀑帯を超えると両側が切り立つ廊下に入る。深い谷底には光が届かず、なんとなく不気味な感じ。写真撮影もままならない。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230646j:plain

廊下はチョックストーンがとうせんぼ

f:id:ikuyayuuki:20200819230653j:plain

暗く不気味な感じ

 

 いったん開けたあと、再び廊下が続く。廊下に懸かる滝はどれもきわどく登れるので楽しい。手と足と頭を総動員して滝を超えていく。途中で雨がぱらついたが谷中にいるのであまり気にならない。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230658j:plain

これは直登

f:id:ikuyayuuki:20200819230704j:plain

きわどいところに立っているね

 

 登りの核心とある第2の廊下にあるCS8m滝は最後の乗り込みが手ごわい。残置ハーケンにシュリンゲを掛けて、力ずくで登る。二人いるのでショルダーを使えばよかったか。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230709j:plain

登りの核心 CS8m

f:id:ikuyayuuki:20200819230714j:plain

最後が手ごわい・・

 

 気温が低く、日も差していないので、なるべく濡れないように歩いてきたがどうしても滝中を突破した方が良い滝が現れた。意を決してシャワーで挑む。Eちゃんは一瞬躊躇したため、ずぶ濡れになってしまった。水遊びが好きだねえ。

 

 廊下を抜けると谷が開けてきて、圧迫感からは開放される。岩質の明るい花崗岩から黒い色に変化し、別の谷にいるようだ。水流はだいぶ小さくなってきたが、最後に連瀑帯が控えており、正直、滝はもう沢山ってな感じ。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230720j:plain

廊下を抜けると明るく開ける

f:id:ikuyayuuki:20200819230726j:plain

最後の連瀑帯の10m滝

 

 最後の連瀑帯を過ぎると源頭は近い。竜ヶ岳頂上部の笹原に突入したようだ。小川状になった流れの二股を右に取り県境稜線の登山道を目指す。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230731j:plain

開けて笹原になってきた(二股を右へ)

f:id:ikuyayuuki:20200819230736j:plain

笹の海に飛び出た

 

 竜ヶ岳は切れ切れの雲がかかる幻想的な雰囲気。比較的雲は高く、視界はいい。笹の海をまさに漕ぐ様に進むのは骨がおれる。途中で獣道を見つけるとずいぶん楽に進めるがすぐに見失ってしまう。なんだかんだで登山道にでた。道標を見ると治田分岐のようだ。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230743j:plain

かすむ竜ヶ岳

f:id:ikuyayuuki:20200819230748j:plain

県境の登山道に出た

 

 谷を詰めて頂上付近まで上がるのはほとんど初めてなので結構時間がかかってしまった。こんな天気とこんな時間ではだれもいないだろうと思ったが、ツアーのパーティーがいたのでびっくり。

 

 下山はヒルを避けて石グレ峠経由を考えていたが、今日は気温も低く、彼らの来襲も無いだろうと思い、裏道で下山。

 

f:id:ikuyayuuki:20200819230754j:plain

蛇谷を見下ろす

f:id:ikuyayuuki:20200819230759j:plain

かっこいい竜ヶ岳

 

 ぬかるむ登山道に苦労しながら約1時間半で宇賀渓へ到着。結構いい時間だ。途中、追い越したツアーのバスが待機していたが、彼らは間に合うのか少し気にかかる(大丈夫だった)。

 

 乾いた服に着替えるとほっとした。天気の悪さも遡行の楽しさで十分お釣りが来るほどいい谷だった。来年はもっと暑い時に思いっきりシャワーで楽しみたいと思った。Eちゃん、遠いとところご苦労さま。